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ITプロジェクト : 400%の予算超過で得られるのは利益の25%

原文(投稿日:2011/10/31)へのリンク

ハーバードビジネスレビューに掲載されたFlyvbjerg氏とBudzier氏の研究は誰もが注目する内容だ。この研究によればITプロジェクトは考えられているよりも遥かに危険だ。

1400を超えるプロジェクトを調査したこの研究によれば、約27%のプロジェクトが予算を超過していた。16%のプロジェクトは明らかにブラックスワンに分類できる。つまり、コストは200%を超え、進捗はほぼ70%も遅れている。大失敗を引き起こし、会社の業績を悪化させかねないプロジェクトなのだ。

Boris Gloger氏はこの研究結果は恐ろしいと書いている。

重要な結果ですが、もっと恐ろしいのはハーバードビジネスレビューの記事で著者たちが下した結論です。彼らが言うには、ITプロジェクトが引き起こす緩慢な死を回避したいのなら、計画していた予算の400%を用意するだけでなく、刈り取れる利益も25%になることも覚悟しなければならない。このことを常に念頭に置いていれば、企業がITプロジェクトに殺されないようにできるだろう。

Paul Glen氏は予算超過しているプロジェクトの分布は正規分布になると考える人もいるが実際には違うという。考えられているよりも多くのITプロジェクトが組織を破壊するほどの巨大な失敗を引き起こしている。

Ed氏はこの15年間、IT産業の大規模ITプロジェクトの遂行は改善していないというのは驚くべきことだ、とコメントしている。このようなひどい結果に見えてしまうのは、この研究の対象にはプラットフォーム変更を伴うプロジェクトが多く含まれているからだ、というのが氏の考えだ。

私の考えでは、プラットフォーム変更を伴うプロジェクトは問題を起こしやすいのです。このような大規模プロジェクトは多くのシステムや世界中の独立したビジネス部門と関わります。さらにカスタマイズの要望も受ければ、変更が不可能になってしまいます。

氏が言うには、同じような大規模なプラットフォームプロジェクトでもアジャイルのすべての要素を備えている場合、成功しているプロジェクトもある。

2006年のEmirates bank氏の成功しているプロジェクトについての記事で紹介されている例は、巨大で複雑なプロジェクトを成功裏に遂行する方法を示しています。この例から学べるのは、
1. スケジュールを守る
2. プロジェクトのスコープ変更に耐える
3. プロジェクトを個別のモジュールに分ける
4. チームを正しく構成する
5. チームのメンバの離職を防ぐ
6. 技術的な試みではなく、ビジネスの試みとしてイニシアティブを確立する
7. ひとつの課題に注力する – その課題に対し十分に準備し、課題解決へのすべての活動を見積もる

Boris氏はこの失敗プロジェクトの多さは間違った人に対する申し立てに起因するかもしれないという。

しかし、Schwaber氏が近日発売の新しい本で言っているように、私たちは間違った人々に申し立てをしているのかもしれません。ITの顧客、ソフトウエア開発、製品開発はIT部門や品質保証部門が2週間ではっきりした計測可能なの作業結果を生み出せないことをこれ以上認める必要はないのかもしれません。

Mary-Ann Massad氏は優れたガバナンスのモデルは多くの組織にとって助けになるという。氏によれば、

真のガバナンスはリーダシップのことです。真のガバナンスとは、受け入れがたい真実でもしっかりと伝える勇気を持つということです。多くの"上手くいっている"組織は恐怖と"集団的意思決定"の文化の下に運営されています。しかし、この文化が原因でITプロジェクトや他のプロジェクトは組織を崩壊させる能力を持ってしまうのです。誠実さ、様々な選択肢、統合的な思考を歓迎する組織風土を構築する必要があります。

欠点を分析してそこから学ぶこともできるが、これらの研究や議論はITプロジェクトの遂行に深刻な再考を促すものだ。

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