ドイツのマインツで先週、PHPとウェブコミュニティに関するヨーロッパ最大級のカンファレンスが行われた。日曜日にワークショップが行われ、続く3日間で7つのトラックが平行して実行されるカンファレンスが開催された。
カンファレンスのテーマはPHP全般とJavaScriptやRubyのような他のウェブ言語、プロトコルのようなウェブ標準関連技術やデータベースなどだ。
今年はMySQL関連の発表が多く、MySQLだけの日もあった。多くのプロジェクトがNoSQLを使っているが、リレーショナルデータベースに保存するべきデータを持っているということを自覚している開発者も多い。また、継続的統合や継続的デリバリが多くのセッションで取り上げられ、特にPuppetの使用が推奨された。このカンファレンスの第3のテーマはWebSocketsやSPDYのような新しいプロトコルだ。これらのプロトコルは性能を引き上げ、今まで実現困難だった機能が実現できるようになる。
3つのキーノートはそれぞれ異なるトピックを取り上げた。月曜はLukas Kahwe Smith氏とHenri Bergius氏が"The Internet is your Application Blue Print"と題して、インターネットのようなシステムを真似てアプリケーションを構造化することの重要性を発表した。PHP Standards Working Groupが互換性の問題に対処するのではなく、コーディング標準の策定で時間を無駄にしてしまったことを批判し、サービス指向アーキテクチャが今のような形になったかを説明した。現在開発されているウェブアプリケーションは多くの既存のサービスを利用できる。ログイン(oAuthプロバイダを使う)、フィードやコメント(disqus),、ビデオストリーミングのホスト(YouTube)、アクセス解析(Google Analytics)などだ。しっかりと定義されたプロトコルを利用することで、サービスプロバイダとして自分たちのサービスを外部へ提供することができる。マイクロフォーマットを利用しているサイトが良い例だ。Google検索はマイクロフォーマットを使って検索結果に画像やメタデータを表示できる。
火曜はMarko Schulz氏、Bernd Schiffer氏、Sebastian Sanitz氏がKataを紹介し、芸術やモノ作りでは繰り返しが大切だという考えを説明した。Kataは空手から生まれた概念なので、空手5段のBenno Schöfl氏が実際に空手の型を披露し、その後、デモが行われた。このキーノートでは技術的な情報を多くは紹介されなかったが、面白く啓発的な内容だったため、参加者にとって3つのキーノートの中で最も印象に残ったようだ。
水曜のキーノートはTobias Schlitt氏、Stefan Priebsch氏、Johann-Peter Hartmann氏、Ilia Alshanetsky氏によるパネルディスカッションだった。残念ながらしっかりとした議論は行われなかった。
その他、特筆すべきセッションは、
- Jan-C. Borchardt氏: Essential Interaction Design ユーザビリティの中心的なコンセプトについて
- Joshua Thijssen氏: Puppet for Dummies Puppetを使ったサービスとソフトウエアの管理に必要な基本的な知識について
- Mike Willbanks氏: Varnish Cache: the good, the awesome, and the downright crazy Varnishの紹介
- Ilia Alshanetsky氏: Introducing PHP 5.4 Traitsを含むPHP 5.4の新しい機能や変更点の紹介
- Bastian Hofmann氏: API Authorization with OAuth 2 - How it works and how to use it クライアント側から見たOAuth 2の紹介
IPCのいつものハイライトはPHPopstarsのイベントだ。一般人が競い合うテレビ番組と同じフォーマットで著名なスピーカーが競い合う。このイベントを思いついたCarola Köhntopp氏は、多くの人々が自分たちの知識を発表して欲しいと考え、テレビ番組と同じフォーマットでイベントを行うことで経験豊なスピーカーと審査員がその発表を面白くしてくれると考えたそうだ。
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