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アジャイル最大の課題はコミュニケーションと継続的改善 - 調査結果から明らかに

原文(投稿日:2012/10/13)へのリンク

 

先日テキサス州ダラスで開催されたAgile 2012 において Serena Software が新たに実施した調査から,アジャイル適用プロジェクトは成功を収めてはいるが改善の余地が大きく,上流と下流とのコミュニケーションなど重要な課題を抱えていることが明らかになった。

今回の調査は,現在の企業内 IT 組織において実施されているアジャイル開発方法論への取り組み,アジャイルの適用状況,抱えている最大の課題などを中心としたものです。調査結果から,開発チームにはアジャイルプラクティスに向けた団結が見られる一方で,ユーザや運用担当,他プロジェクトなどとのコミュニケーションを欠き,結果的にそれがプロジェクトとアジャイルの成功を妨げている,ということが明らかになりました。

調査結果から得られた第1の重要テーマは,"アジャイルは十分機能しているが,改善の余地が大いにある" というものだ。顧客満足の項目からは,52% のユーザがアジャイルプロジェクトに満足している (15% が不満) という結果が出ている。さらに企業全般を対象としたアジャイル採用が,大方の予想ほど広く普及していないことも明らかになった。アジャイルを組織全体あるいは大部分で採用している,という回答は,全体の 49% を占めるに留まっている (他の 51% は多少または一部,という回答だった)。

第2の重要テーマは,コミュニケーションが依然として大きな課題であることだ。ユーザ要求への優先順位設定,非アジャイルチームとの共同作業,この2つが管理,開発いずれのスタッフからも指摘された最大の問題だった。次いで挙げられたのがユーザとのコミュニケーションと,他チームとのコード統合に関する問題だ。興味深いことに,十分なスプリントテストの実施に関連して,管理者と開発者には意見の相違が見られる。これを課題として報告している管理者は 25%,開発者は 49% であった。おそらくは,アジャイルプラクティスとツーリングが未だ発展途上であること,さらには品質の作りこみの重要性を管理者に教育するためには更なる取り組みが必要であることを示しているものと思われる。

コミュニケーションに続く3番目のテーマは,利害関係者 (上流と下流) がリリースにもっと関係を持つ必要がある,という点だ。今回の調査では,ユーザとサポート担当,IT運用担当が立ち会いに関与する時間比率はわずか 22%,リリース時に姿を見せる時間は 45% 以下,という結果が出ている。

IT 運用担当やサポートはシステム対応の最前線にいるにも関わらず,リリース計画への関与比率は 40% にも達していません。しかしながらアジャイル宣言にある "最優先事項は顧客満足" を考慮に入れたとき,それにもまして驚きなのは,ユーザがリリースに関与する時間がわずか 45% であることです。

Kevin Parker 氏は,調査結果に関する自身の考えを BizTechFuturist ブログ にまとめている。それによると,

私たちのコミュニティで起きていることを知る上で,これが重要な手がかりであることは間違いありません。アジャイル宣言はプロセスやツールへの言及を避けていますが,組織の方ではアジャイルチームの効率に関する計測,追跡,報告に注目しているようです。対話,顧客協力,変化への対応能力などを拡張するように設計されたアジャイルツールを提供することによって,アジャイルチームの自己組織化能力を促進する方法を見いだす,おそらく今がその時なのでしょう。

調査の生データは公開されていないが, Serena の ウェブサイトでインフォグラフィックスが確認 可能だ。この結果は,読者の組織にアジャイルを適用する上での課題と一致しているだろうか?

 

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