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アメリカ企業はイギリス企業よりもクラウドを使っている

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原文(投稿日:2013/02/15)へのリンク

 

94%の企業がビジネスプロセスの自動化が全体の生産性の重要な一部を占めると考えているが、自動化ソリューションでのクラウド技術の役割については意見が異なる。Redwood Softwareが代表して行った調査によれば、アメリカとイギリスでクラウドの利用に多くの違いがある。また、産業の間でも違いが見られる。

この調査は、1000人以上の従業員を抱えるさまざまな業界の組織のITに関する意思決定者300人(100人はイギリス、200人はアメリカ)からのフィードバックを受けている。この研究結果のプレスリリースで、Redwood Softwareはクラウドの導入について地理的な偏りがあるというとても興味深い発見を発表している。

  • イギリス企業の35%はプライベートなデータのストレージとして、すでにクラウドを使っている。一方、アメリカでそのような使い方をしている企業は58%にのぼる。
  • イギリスの24%の企業はキャパシティ管理のためにクラウドを利用している。アメリカでそのそうな使い方をしているのは47%。
  • アメリカ企業の半分のイギリス企業がより統合されたサプライチェーンをクラウドで実現することを構想している(イギリス企業41%に対してアメリカ企業81%)
  • 2倍のアメリカ企業がクラウドを使ってビジネスプロセスの自動化を行っている(アメリカ企業30%に対しイギリス企業14%)

ビジネスプロセスの自動化にクラウドを利用していないと答えた回答者のうち、アメリカの14%の企業がクラウドは十分に制御できなさそうと感じています。イギリス企業の場合、同様に感じているのは27%でした。これはイギリス企業がクラウドを導入するのを怖れていることを示しています。一方、アメリカ企業の場合、ビジネスプロセスの自動化にクラウドを導入していない最大の理由は“リソース不足”でした(28%)。

何らかの理由でクラウドを使っていないイギリスとアメリカの企業でセキュリティを問題にしている企業の割合はほぼ同じ(78%と75%)。ビジネスニーズを満たさないという理由で利用していない企業の割合もほぼ同じ(44%と38%)。しかし、イギリスの56%の企業はデータがどこにあるかについて不安だからと理由で利用しない一方、同じ理由で利用しないアメリカ企業の割合はたったの13%だった。同じような偏りがクラウドの利点についての回答にも見られる。クラウドを利用していないイギリス企業の22%はクラウドにビジネス価値を見いだせていない。ビジネス価値が見いだせないという理由でクラウドを使わないアメリカ企業が1社もいないのと対照的だ。

Redwood SoftwareのCEOであるTijl Vuyk氏はこの調査結果について次のように言う。

アメリカの組織はクラウドについての知識や使い方、信頼性について世界の最先端にいるようです。興味深いのはイギリスもそのように最先端に近づいていくのか、クラウド導入に対する障害は克服されるのかということです。また、考え方の変化を時系列で追いかけるのも面白いでしょう。また、イギリスがアメリカに追いつくかそれともアメリカがリードしたままになるのかも興味深いです。

また、この調査は企業の大きさで回答者を分類している。それによれば、プロセス全体を自動化している小さな企業は少ないが、クラウド利用への熱心さは大きな企業とかわらない。従業員数が1000人から3000人の企業のたった13%が支払いや請求を自動化している。人事/給与で自動化ソリューションを使っているのは9%だけだ。従業員が3000人以上の会社の場合は対照的に、26%が支払いや請求に自動化プロセスを使い、同じく26%が人事/給与で自動化ソリューションを使っている。大きい企業にとっても小さい企業にとってもプロセス自動化には似たような利点がある(“時間の節約”, 企業のSLAの改善)。そして、実際に自動化しようとしたときに直面する問題も同じだ(“レガシアプリケーションの統合”, 内部の知識)。クラウドの一般的な用途を考慮すると、小さな企業はブラウザベースのアプリケーション(小さな企業40%に対して大きな企業29%)とデータストレージのためにクラウドを使う傾向が強い(小さな企業35%に対して大きな企業29%)。大きな企業の方が小さな企業よりもSaaS型のビジネスアプリケーション用にクラウドを利用する割合がわずかに大きい(大きな企業27%に対して小さな企業24%)。人事や給与、支払いのようなビジネスプロセスの自動化にクラウドを利用している割合も同様だ(大きな企業27%に対して小さな企業24%)。素早さ(小さな企業66%に対して大きな企業59%)やより速くROIがわかること(小さな企業54%に対して大きな企業)をクラウドの利点と感じているのは小さな企業の方が多い。一方で、労働コストの削減(大きな企業45%に対して小さな企業34%)や電気代の削減(大きな企業41%に対して小さな企業)をクラウドの利点と感じているのは大きい企業の方だ。

今回の調査結果は産業別にも集計されている。中には驚くに値しない結果もあった。金融サービス企業の40%は50%以上のビジネスプロセスやITタスクを自動化している。一方、製造業企業は17%しか自動化していない。アメリカとイギリスの小売り業企業の33%はITプロセス自動化をさらに推し進めることに利点があると考えている。一方、金融サービス企業の場合、同じように考えているのは63%にのぼる。クラウドの用途については、製造業企業はSaaSビジネスアプリケーション(製造業36%に対して小売り業13%、金融サービス29%)としてクラウドを利用している。企業ソフトウエアのホスティング環境としてクラウドを使っている企業が最も多かったのは小売業企業だ(小売り41%に対して金融サービス31%、製造業32%)。すべての産業が何らかのクラウドの利益を見いだしている。製造業はROIが素早くわかることを、金融業は労働コストの低減を、それぞれ利点に挙げている。

この調査は同じようにクラウドい興味を持ち、利点を享受していても地理、企業規模、産業ではその度合い異なることを示している。クラウドの安全性やデータ管理への懸念もあるが、企業はクラウドが提供してくれる俊敏さやROIに対して楽天的なようだ。

 

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