LGがwebOSを買収する。SamsungはBadaを捨ててTizenに注力する。Firefox OSは多くのキャリアの注目を集め，MWC 2013では最初のデバイスがお目見えした。
ここしばらくの間，モバイルプラットフォームに関する大きなニュースが続いている。この市場がいかにダイナミックであるかを再確認させるものだ。
webOS
最初のバージョンがローンチされたのは2009年，Palm OSの後継としてだった。HPが120億ドルでPalmを買収した2010年以降，開発は加速された。そしてHPが webOS TouchPadを発売した2011年の 後半，webOSはオープンソースとなった。HPは同時に，フレームワークのEnyo，ブラウザのIsisもオープンソース化している。HTML5/JavaScriptプラットフォームとして，機運が高まることを期待したのだろう。
HPがその後GoogleのモバイルOSに目を向け，Slate 7という名称のAndroidタブレットを発表していることから見ても，同社にとってwebOSは，成功したとは言い難い。さらにWindowsタブレットも販売したHPは，結果的にデバイスメーカの仲間入りをしただけだったようだ。
そうしている間に，LGがwebOSを買収 – おそらくはいくつかの特許と，HPが所有すると思われる非公開ソースを入手するのだろう – することになった。同社はwebOSをHD TVに搭載する意向を発表している。CNETの伝えるところでは，LGはGoogle TV陣営から離脱するつもりのようだ。その理由は "テレビジョンプラットフォームをルック＆フィール面でコントロールしようという，Googleの目論みに対する懸念" からだという。OSを自身で所有することによって同社は，それを好きなように使用できる自由を手に入れることになる。
このような状況の変化にも関わらず，Enyoサポートチームは数日前，Windows 8およびBlackberry 10用アプリケーションの開発を新たにサポートした Enyoバージョン2.2をリリースしている。Enyoプロジェクトについては，引き続きHPがスポンサーだ。
Tizen
Samsungは現在もなお，Tizen を前進させようと苦闘を続けている。その最新ニュースが Bada開発終了の意向の発表 だ。Bada関連の開発はTizenに統合されるという。BadaはSamsungのスマートフォン数機種に搭載されているOSである。Gartnerの調査によると，スマートフォン市場におけるシェアは2012年第４四半期で1.3%と，前年同期の2.1%からダウンしている。実行可能なアプリケーション数を増やすための手段として，Tizenは現行のBada用アプリケーションもサポートする予定である。
先週リリースされた Tizen 2.0 Magnolia SDK とそのソースコードには，HTML5フレームワーク，フルスクリーンとマルチウィンドウのサポート，BluetoothとNFCのサポート，その他のものが含まれている。
Firefox OS
レースに一番遅れて参加した Mozilla Firefox OS は，FirefoxのレイアウトエンジンであるGecko上で動作するHTML5，CSS，そしてJavaScriptをベースとしたWebプラットフォームだ。Firefox OSは完全にオープンなWebプラットフォームであることを約束している。誰でも自由に利用，修正が可能であり，そしておそらくはもっとも重要であろう，誰でも自由にアプリケーション用のマーケットプレース持つことができる。この点が評価されて，MWC 2013 では 18のキャリアが，このMozillaのモバイルOSへのサポートを発表している。
Mozilla CEOのGary Kovacs氏は，最初のFirefoxスマートフォンが2014年中に現れると予想しているが，MWCにおいてすでに２機種 - AlcatelのOneTouch FireとZTE Open というローエンドモデルが公開されている。これらはいずれも，新興市場において販売されることになるだろう。これらのデバイスが成功を収めれば，Firefox OSはより多くのキャリアからの支持を受けて，同社のアプリケーションや広告収入のシェア拡大に貢献することだろう。