Eclipse ide-devメーリングリストにおいて,Eclipseをより競争力のあるものにするにはどうすればよいか,という議論がある。発端はWhy we dropped Eclipse in favor of IntelliJ というブログ記事である。そこで議論されている項目の概要は次のようなものだ。
パフォーマンス向上
パフォーマンスに不満を持つ開発者は多い。リリース当初のEclipse Juno(4.2)にはパフォーマンス上の問題があった。現在ではすでに解決されているが,それでもより速く,よりスリムなEclipseこそが,プラットフォームを助ける唯一の方法なのだ。
スマートなUI
UIに利便性やスマートさが欠如している点にも不満が多い。典型的な例が,開発者の期待に十分応えていないプロポーザルのソート機構である。クイックフィックスその他のコンテントアシストにも改善の余地がある。どのような改善も十分なパフォーマンスが必要であると同時に,アドオンやプラグインとしてではなく,Eclipse本体に組み込まれるべきだ。
より多くの開発者
コントリビュータ,コミッタ,レビュアの役割を果たす開発者がもっと必要だ。自身の時間や経験を提供してさまざまなEclipseプロジェクトを支援してくれる個人の開発者でもよいし,開発者の活動を支援する意思を持った,大企業に勤務している人たちでもよい。現在のEclipseチームのメンバには,新しい貢献者たちのサポートや対応を行う時間が必要だろう。それによって彼らが専従開発者やレビュアになることも期待できるからだ。
ワーキンググループ
IDEワーキンググループ(IDEWG)の必要性については,すでに合意が取れている。IDEWGはオープンかつ透明性を持ったワーキンググループとして,複数のプロジェクトにまたがったIDEの長期ロードマップを作成することになる。最初のフィードバックと議論の対象とするため,Eclipse wikiにはすでにプロポーザルのドラフト版が掲載されている。関与を希望する企業や個人開発者には,ide-devメーリングリストの購読と参加を求めたい。IDEWGの資金調達は,ワーキンググループが個々の開発者に報酬を与えるための大きな目標のひとつである。作業時間的な貢献も大いに歓迎する。
IDEWGは,現行のさまざまなEclipseプロジェクトがすでに実施している計画/貢献プラクティスを置き換えるものではない。コミッタによる既存チームはプロジェクト自体とともに,各プロジェクトの進むべき方向を判断するオーソリティであることに変わりはない。
レビュー
Eclipseには現在,レビューに関するバックログが存在している。レビューのスキルを備えた人たちの数が現在は少ないために,レビューの実施に時間が掛かっているのだ。プロジェクトのロードマップに含まれないコントリビューションについては,特に時間を要する。ひとつの提案は,レビューをリリーストレインへの参加やバグトレードと同じように,コアEclipseプロジェクトの要件外のコントリビューションとする,というものだ。もうひとつは,Eclipseチームを短期的に,コミッタになる可能性のもっとも高い個人によるコントリビューションのレビューないし受け入れ作業に集中させることで,チームのキャパシティの拡大を図る,という方法だ。
商業化
(収益を必要とする)小企業のコミュニティ参加を奨励するためには,アドオンによるビジネスを促進する必要があるだろう。ひとつのアイデアは,EclipseのWebサイトで有償アドオンのナビゲートと発表を行うための手段を提供することだ。フリーでオープンソースであるというソフトウェアの性格上,現時点でEclipse上の製品に投資することにはリスクが伴う。Visual Stuidoのような商用ツールと異なり,何かを買うという行為にはどうしても不本意な部分があるのだ。
読者が開発者で,Eclipseのプラットフォームの改善に興味を持っているなら,Eclipseのide-envメーリングリストに参加して,自己紹介をしてみてはどうだろうか。