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ApacheCON NA 2014,テーマは”コミュニティ"

| 作者: Carlos Sanchez フォローする 0 人のフォロワー , 翻訳者 吉田 英人 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2014年5月22日. 推定読書時間: 9 分 |

原文(投稿日:2014/05/15)へのリンク

今年のApacheCON North Americaカンファレンスの基調講演のおもなテーマは,オープンソースとそのコミュニティだった。400人以上の参加者と70を越えるプロジェクト,180のセッションが用意されたカンファレンスでは,Apache Software Foundation (ASF)のプロジェクトと同じように,さまざまな話題が数多く取り上げられていた。

PivotalでHadoopオープンソースプラットフォームのシニアマネージャを務めるRoman Shaposhnik氏は,参加者のプロフィールについて,自身のブログで次のようにコメントした

開発者の参加するソフトウェアカンファレンスは数多くありますが,中でもこのカンファレンスは,実際に大量のコードを書き,さまざまな規模のオープンソースコミュニティをリードする人々が,もっとも多く集まるもののひとつです。

カンファレンスには10以上のトラックがあり,それぞれがOpenOfficeやビッグデータ,あるいはhttpdなど,さまざまな種類のテクノロジをテーマにしていた。"Apache Way"のモットーに基づいた"コードによるコミュニティ"という特別なトラックも用意された。さらにハッカソン用の部屋がカンファレンス全期間を通じて予約されていて,ASFプロジェクトが主催するミートアップとともに,誰でも立ち寄って,他の参加者やASFコミッタの中に加わることができるようになっていた。

基調講演

Linux FoundationのJim Zemlin氏は,オープンソースにおける財団(Foundation)の役割をテーマに基調講演を行った。そこではリソースと知的財産の公平かつオープンな収集,共有を可能にすることによって,財団がポストGitHubの時代に果たすソーシャルコーディングのメリットと中立性,開放性,公平性に焦点が当てられた。標準開発組織が長年にわたって果たしてきた役割を,今はオープンソースの財団が担っているのだ。

Pivotal Softwareの製品責任者であるJames Watters氏は,企業におけるオープンソースと,オープンソースにイニシアティブを持つ企業間のコラボレーションについて,自身がOpenSolarisと現在のPivotalで経験で学んだ教訓をもとにプレゼンテーションを行った。OpenSolarisが失敗したのはオープンにするのが10年遅かったためだ,という意見を持つ氏は,Pivotalではこの過ちを避けようと努力している。Apacheソフトウェアなど,オープンソースプロジェクトを活用してPaaSプラットフォームを開発する同社の使用しているソフトウェアは,企業によるロックインと著作権の問題を回避するため,大部分がApacheライセンスで公開されているものだ。氏はまた,オープンソースが新たな標準であるとするZemlin氏の考えを支持している。

企業とオープンソースの関係に注目した基調講演がもうひとつあった。Citrix Systemsでオープンソースソリューションを担当するシニアディレクタのMark Hinkle氏によるものだ。OpenStackをASFに寄贈した理由について氏は,両者の望むものが同じであったこと,すなわちコア機能を促進し,Apacheおよび企業のブランドを確立し,企業とコミュニティの利益を合わせたより大きな利益に対して慈善的であることを挙げた。

Accel Partnersに招聘されているデータ科学者のHilary Mason氏は,データエンジニアリングの過去,現在,未来について講演した。氏にとってビッグデータとは,人の問題を解決する目的で定義された有効なデータであり,必ずしもサイズを意味するものではない。例えば,データ科学者と言語学者が共に協力して取り組む古代言語の解読,というようなものがビッグデータ的な問題だ。TMC(Tabulating Machine Company)の計数機を使用してもなお,編集に7年の歳月を要した,1880年の米国国勢調査もひとつの例だろう。同社はその後,有名なIBMになったのだ。人々は現在,あらゆるデバイスやセンサから,これまでにない量のデータを収集している。これまでさまざまな場所で起きたように,将来的には自然言語を使用したデータシステムによって,データエンジニアリングがより簡単になることを氏は望んでいる。

Red Hatでコーポレートマーケティングのプロジェクトマネージャを務め,Opensource.comの管理リーダでもあるJason Hibbets氏は,都市および政府レベルでのコミュニティにおけるオープンイニシアティブについて講演した。オープンソースの手法は,複数の領域で市民のエクスペリエンスを向上させる方法として,他の分野にも適用することができる。オバマ大統領の就任初日に連邦政府で開始されたOpen Government Initiativeは,このようなオープンソースの原理原則に基づいたものだ。この活動はその後も続けられ,例えば昨年にはすべての政府機関に対して,オープンかつマシン可読な形式のデータを作成することを義務付ける行政命令が,政府によって発表されている。地域レベルではその他にも,自治体や地域団体のイノベーションに注目したアンカンファレンス(unconference)であるCitycampや,住民と政府機関によるテクノロジ利用を促進するCode for Americaなど,いくつかのイニシアティブが存在している。これらの動きに共通する要素として重要なのは,文化と参加の促進,開かれた政府,オープンデータの原則,オープンソースのカンファレンスとユーザグループ,そしてそのような活動の結果としての経済的発展だ。

その他の基調講演としては,Apache Stratosを取り上げたSamisa Abeysinghe氏マインドフルネスに関するUpayavira氏の講演,あるいはHPのチーフテクノロジストであるAlison Randal氏による”クラウド”の過去,現在,未来に関するものなどがあった。

トラック

ビッグデータのトラックにはイベント全体で2つの部屋が用意されていて,おもにコンピュータクラスタ上で巨大なデータセットの分散処理を可能にするフレームワークであるApache Hadoopと,その関連プロジェクトによる広大なエコシステムに焦点が当てられていた。 ビッグデータのインフラストラクチャに関する講演もいくつかあり,構造化データのためのスケーラブルな分散データベースであるHBaseや,データウェアハウスインフラストラクチャのHive,リソースのアイソレーションと分散アプリケーションに渡る共有を実現するためのクラスタマネージャであるApache Mesosに関する話題がカバーされていた。MesosはTwitterで使用されていて,数万台のコア上で動作している。さらにAribnb(訳注: 世界最大の宿泊先予約サイト)でも,同社のすべてのデータインフラストラクチャ上で稼働し,ペタバイト単位のデータを処理している。MesosはHadoopやJenkins, Spark, Auroraといったアプリケーションを,共有ノードプールを使って動的に実行することができる。

その他で取り上げられたプロジェクトには,ビッグデータのデータをもっとも効率的な方法で扱うためのものがあった。例えばApache Phoenixでは,典型的なmap-reduceのバッチ指向アプリケーションとは対象的な,低いレイテンシを必要とするApache HBase用のアプリケーションに注目している。Apache PhoenixはSalesforce.comでビッグデータ処理に使用されているテクノロジであり,特にHBase用に開発された最初のSQLクエリエンジンである。

TomcatのトラックではTomcat 8が話題となっていた。最新のJavaサーバ仕様であるServlet3.1, JSP2.3, EL 3.0とWebSocketを実装し,Java 7以降が対象だ。またTomcat上に開発されたApache TomEEは,TomcatのJava EE 6 Web Profile準拠バージョンとして,Java EEの能力を追加したものだ。

現在もなお,世界でもっとも利用されているHTTPサーバであるApache httpdについては,パフォーマンス拡張やクラウド機能,最新リリースにおけるリバースプロキシの改良などを議論する独自のトラックが用意されていた。さらにHeartbleedの影響もあって,セキュリティも取り上げられていた。

Webテクノロジを使用したモバイルアプリの開発を可能にするApache Cordovaは,モバイル開発に関する別のトラックで注目されていた。HTMLやCSS, JavaScriptなどを使っていながら,携帯電話やモバイルデバイスのすべての機能を管理することができる。

クラウドトラックでは,IaaS(Infrastructure as a Service)クラウドコンピューティングのプラットフォームであるApache CloudStackや,異なるクラウドプロバイダ上のクラウドリソースを統一的なAPIで管理するライブラリであるApache Libcloud(Python用)とApache jclouds(JavaおよびClojure開発者用)なども簡単に紹介されていた。ApacheCONの直後に同じ場所で開催されたCloudStack Collaboration Conferenceでは,3日間のハッカソンと基調講演,Apache CloudStackプロジェクトに関するカンファレンスセッションが行われている。

Apache Way

コロラド州デンバーを場所とした今回のカンファレンスは初めて,Linux Foundationとの共同開催で行われた。カンファレンスの議長を務めたApache Software Foundation執行副社長のRich Bowen氏が,この共同イベントについてInfoQに語ってくれた。

私たちはこれまでの15年間,ボランティアの努力を中心としてApacheConを開催してきました。その結果は素晴らしいものです。しかし本業ではない以上,何かが忘れられていたり,期日に間に合わなかったりすることもありました。参加者にとって,必ずしも最高のエクスペリエンスではなかったのです。今回Linux Foundationと行動を共にすることで,過去何年間にわたって関わってきたストレスをほとんど感じることなく,すばらしいカンファレンスを開催することができました。

httpd, Hadoop, Tomcat, あるいはCloudStackといったビッグプロジェクトから,log4jやCommonsのような小規模ライブラリに至るまで,ASFの何らかのコードを使用していない開発者を探すことは不可能に近い。3,800人を越えるさまざまなASFコミッタと多数のプロジェクトの関与したApacheCONを終えたApache Software Foundationでは,すでに次のカンファレンスであるApacheCON Europeの準備中だ。同カンファレンスは11月17日~21日,ハンガリーのブタペストでの開催が予定されている。講演者の募集(call for papers)はすでに始まっている。また,CloudStack, Traffic Server, Apache OpenOfficeなどいくつかのプロジェクトは,ApacheConと並行して独自のイベントを開催する予定だ。

セッションの様子を収めたビデオがASF YouTubeチャンネルで公開されている。

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