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アジャイルを導入する上で助けを求めるということ

| 作者: Ben Linders フォローする 25 人のフォロワー , 翻訳者 永瀬 美穂 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2014年5月11日. 推定読書時間: 8 分 |

原文(投稿日:2014/04/17)へのリンク

組織がアジャイルを導入するにあたっては、コーチングやメンタリングがその助けとなる。しかし人々が助けを受け入れる状態でなければうまくいかない。人は時々コーチの助けを受け入れないことがあるが、何がそうさせるのだろうか? 組織の助けになるような行動を促すために、あなたにできることは何だろうか?

Bob Galen氏は「アジャイルプロダクトマネージャー—すみません、お手伝いをお願いしてもよろしいでしょうか?(the agile project manager—please sir, may I have some help?)」というブログ記事の中で、コーチに助けを求めることを渋る人にまつわる話をいくつか書いている。1つの例として挙げられているのは、研修を受けアジャイルへの船出の準備ができて半年後、アジャイルといいながらコマンド&コントロール型のマネジメントスタイルを使っていた組織の話だ。

マネージャーたちはスプリントをマイクロマネジメントし、チームの見積りや計画を調整していました。チームは疑い深く不透明で、マネジメントを誤った方向に導いていました。そこには、誠実さやオープンなコラボレーションや信頼は無いも同然でした。

その半年間、人々からコーチに助けを求めることもなかったし、コーチの助けを受け入れようともしなかったのだ。

アジャイルコーチは助けが必要なのではないかと何度も尋ねましたが、答えはいつも「いや、うまくいってますよ」でした。たった一度、10スプリント連続で失敗しチームメンバーが反乱を起こした時に、取締役がコーチに助けを求めてきたことがありました。コーチは戻り、比較的短期間でチームを‘基本’に立ち返らせ、彼らがアジャイルにデリバリーするための調和、信頼、協力、コミットメントを取り戻すのを手伝いました。後に、皆こんな問いかけをしていました。「なんでこんなに時間がかかったんだろう? なんでもっと早く助けを求めなかったんだろう?」

ブログ記事の中でBob氏は、なぜ時に人は助けを求めなくなってしまうのか、その理由をいくつか挙げている。

専門的な立場から見て私が気づいたことは、人々は実に助けを求めたがらないものなのだということです。それは自尊心なのでしょうか? 恥ずかしさなのでしょうか? 信頼なのでしょうか? 認識なのでしょうか? 私は、そのすべてでもそれ以上でもあると思います。(中略)組織のあらゆる階層で見られることであり、私が実例で説明しようとしているのがこれです。最高幹部レベルでも起こるし、管理職レベルでも、チームレベルでも起こります。それは多くの場合、経験豊富だろうが関係ありません。むしろ、あなたがより経験豊富であることと、何かを知らないとか次の一歩を策定するために助けが必要だと認めることに対する抵抗感には、関連があるように見えます。

これに関してパート2と題した記事でBob氏は、助けを求めないことと、アジャイルにおけるチームワークの重要性を理解することには関係があると説明している。

少なくともアジャイルなチームやプロジェクトの見方からすれば、個人の話ではありません。チームの話です。助けを求めるということは、あなたのチームが個々のパーツの集合よりもすごいということを認めることであり、課題を特定しチームとして立ち向かう責任があることを認めることなのです。課題を早いうちから頻繁に挙げることに抵抗があるのなら、あなたには共通のゴールを目指す協同的なチームワークの全体像が見えていないということです。

助けにはいろいろな方向があるとBob氏は言う。助けを求めることと助けを与えることはお互いに支え合っているのだ。

あなたが援助や協力を申し出るようになれば、あなた自身、チームメンバーに助けを求めたりチームメンバーから助けを得たりするための能力が上がるようになると私は考えます。“より良くなる”ための簡単な方法は、自分のチームメンバーを助けることです。たとえば、チームの課題をはっきりさせるような質問をしてみたり、代わりに実際の仕事を終わらせてみたり。

「この世で最もパワフルな3つの言葉(the three most powerful words in the world)」というブログ記事の中でMike Edwards氏は、自分が知らないということを認めることが、いかに助けを求めやすくし人を成長させるかということについて語っている。彼は自らのコーチの経験から1つの例を挙げている。

助けを求めたり、スクラムに対する自分の知識について現実的になろうとして努力するスクラムマスター。その人のプロジェクトマネジメント経歴がこれをより悪くさせるのです。古いPMグセを壊すのは難しいものですが、助けが必要だとあなたが認めなければそれは一層難しくなります。これでは、新しいスクラムチームは苦闘し、プロダクトオーナーは大して大喜びもせず、プロジェクトがウォーターフォールっぽい結果に終わる運命にあるような環境を残すことになってしまいます。もし何かを変えなければ、このチームは昔の心地良い場所に再び戻ってしまう運命にあるのです。

Mike氏は、自分が何を知っていて何を知らないのかについて理解しそれに対してオープンになるようにさせることで、そのような状況に対処することを提案している。

面接をするとき私は相手の知識の境界を探り見つけようと質問をします。その人が自分にはよくわからないことがあるということを認めるのを見たいのです。もし居心地が悪いながらもそういう気があるのなら、チームメンバーとして居心地の良い状態になった暁には話してくれる可能性がより高まります。こうするとチームが知識のズレに素早く対応し前へ進むことができるようになるのです。

Harvard Business Reviewに掲載された「IDEOの助け合い文化(IDEO’s culture of helping)」で、著者のTeresa Amabile氏、Colin M. Fisher氏、Julianna Pillemer氏は、組織の中で人々の助け合いの行動を奨励するために何をしたらいいかについて話している。彼らはこのためには心がけが必要だと思う理由をまず説明している。

また一方で、他人の力になる心構えは組織の中で積極的に助成されるべきです。なぜならそれは仲間内で自然発生的に起こるものではないからです。社会的なグループの中で個人は相容れない衝動を経験します。たとえば、潜在的なヘルパーとして競争志向も持っているかもしれません。潜在的な援助希望者としては独力でやることにプライドがあるのかもしれないし、援助してくれる人を信用していないのかもしれないのです。どちらの立場でも、助けのためには見返りがあるかも不明なことのための時間的なコミットメントが必要であり、苦労の割には得るものが少ないように見えます。組織はその構造や誘因を通じて、いかに無意識であっても、助けを与えたり求めたりすることへの抵抗感を増加させてしまうのです。

記事では、人々が助けを求めたり与えたりするような文化を作るためにIDEOがしたことについて説明している。

プロジェクトの開始時から、デザイナーたちは当然自分たちに助けが必要になると思うように促されます。注文の多い顧客を抱えたプロジェクトチームは、顧客の仕事を精査するとき、その顧客をよく知る同僚に尋ねないことは無責任なことだと学びます。チームメンバーはプロジェクトの初めから終わりまで、15分から半日ぐらいの会議を開き、その同僚からの情報を求めます。IDEOでは助けを求めることは恥ではなく、この心理的安全装置は多くの階層で見られます。たとえば皆「スペイン語のラジオの聴いたことある人いる?」とか「誰か新しい即効ダイエットやった人いる?」みたいな全社員宛に頻繁に送られてくるDMを楽しそうに受け入れてたりします。

IDEOは社内にいるすべての人々にアンケートをして、お互いがどのように助けあっているのかを調査した。結論は、同僚を他人の力になるような心構えにするためには、信頼と利便性がもっとも重要だということであった。

(中略)人々はランキング上位のヘルパーをランキング5位のヘルパーよりも信頼しており、そのどちらも、ヘルパーでない人よりはずっと信頼していました。(中略)助けを求めるということは少なくともどこか弱みがあることも意味するので、考えや感じ方が信頼できるヘルパーに頼るというのも理にかなっています。

利便性には、手が空いていること、手を貸す気があること、手を貸すことができることが含まれます。(中略)チームが助けを獲得しそこなったのは必要とされていた人が単にいなかったから、というのはよくある理由です。たとえば、オフィスに居なかったとか、メールでつながらないとか、単純に時間的にオーバーコミットしすぎだったとかです。(中略)しばしばチームにとって最高のヘルパーは、プロジェクトのスタート時にはとてもそうは思われていなかったような人であることがありました。

Len Lagestee氏の「お気に入りのコーチングテクニック(The favorite coaching technique)」は打ち解けた状況を利用することだという。

ランチの時間を使ってできるだけ頻繁に、休憩室の席にいるようにしていました。私が現在働いているところには各階に小さな食堂があるので、最も近いところを見つけて座り、ただ待っていたのです。メールを読んだり細かい仕事を片付けたりしていたこともありましたが、忙しすぎるとか、“邪魔しないでくれオーラ”を出したりすることにないように気をつけていました。

手を空けたり姿を見せておくことで、人々はチームに対してまたは組織の中で自分の経験をオープンにしやすくなる。そうすることで、あなたがコーチとして人々の日々の仕事の助けをする機会が作られるのだ。

人々が助けを求めるように促すために、あなたがしてきたことはどんなことだっただろう?

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