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John Willis氏のDevOps"一般教書演説"より

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原文(投稿日:2014/06/22)へのリンク

DevOpsコミュニティの指導者のひとりであるJohn Willis氏が,DevOpsDays Amsterdamで"DevOps一般教書演説"を行った。最初に"2014 State of DevOps Report"の調査結果について述べ,"Software Defined Everything"について論じた後に氏は,DevOpsの未来は"Consumable Composable Infrastructure (消費財で構成可能なインフラストラクチャ)"にある,と断言した。

9,000以上の回答を集めた"2014 State of DevOps Report"は,ITパフォーマンスとビジネスパフォーマンスに直接的な相関関係が存在することを示唆している。DevOpsプラクティスがITパフォーマンスを向上することは実証済みなので,DevOpsの将来は極めて重要だ。さらに,組織のパフォーマンスに対する最大要因が仕事の満足度であることも,この調査から明らかになった。

我々はハードウェアとソフトウェアが分離する過程を目撃しているのだ,と氏は主張する。すべてのものがプログラミング可能になりつつある。これが転じて"Software Defined Everything”(あるいは"Software Defined Data Center")のコンセプトが生み出されたのだ。

このトレンドの向かう先は"Consumable Composable Infrastructure"だ,と氏は見ている。それはすなわち,独立した小さなモジュールで構成されたインフラストラクチャである。高度な経験を必要とせずに利用できることから,従来よりも広いコミュニティからのアクセスが可能になるのだ。技術の水準は今,その理想に近づきつつある。

"Software Defined Everything"

John Willis氏は,アプリケーションがCPUやメモリ,ネットワークセキュリティといったインフラストラクチャ要件を,単に宣言すればよいようなポイントに到達する必要があると考えている。これらの要件に対して,将来的にはアプリケーションを含むサーバだけではなく,それを取り囲む仮想的境界の設定を行うためのツールやサポートインフラストラクチャの開発が必要だ。この仮想的境界は,ファイアウォールやロードバランサなど,必要なソフトウェアすべてを含むものでなければならない。

"Software Defined Everything"(あるいは"Software Defined Data Center")を構成する主体は,"Software Defined Computing(ソフトウェア定義コンピューティング)","Software Defined Networking(ソフトウェア定義ネットワーク)",そして"Software Defined Storage(ソフトウェア定義ストレージ)"である。

"Software Defined Computing"(すなわち仮想化)はITコミュニティ,あるいはChefやPuppetといったツールの注目するものとなっている。Willis氏はこの分野に関して,さまざまなコンテナによって混乱状態にあるものの,長い目で見た場合,もっとも急成長するテクノロジはDockerに違いないと考えているこのトレンドを裏付けるように,数年前からさまざまなコンテナを使用し続けているGoogleも,今後はDockerに利用を絞っていくことを公約している。コンピューティングは,ハードウェアとソフトウェアの分離が図られた最初の実例である。x86サーバの登場は,無数のOSを誕生させることになった。

ネットワークの側では,ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)によって,コントロール面とデータ面の分離が図られている。データ面はパケットトラフィックを管理し,コントロール面はスイッチあるいはルータと近接機器との相互作用を決定する。OpenFlowはこの分離を活用している。氏の表現を借りるならば,WebにおけるHTTPに相当するものが,SDNにおけるOpenFlowなのだ。OpenFlowは,ネットワークスイッチやルータの遠隔プログラム性を実現する通信プロトコルである。ソフトウェアコントロールされることを意味するベアメタルスイッチやペアードダウン(pared-down)スイッチの興隆によって,その分離はさらに強固なものとなる。

ストレージの分野でも,ハードウェアとソフトウェアの分離は根付きつつある。IPプロトコルを使用してストレージインフラストラクチャの管理を簡易化するIPベースストレージによって,ソフトウェア定義ストレージのアプローチは容易なものになった。

"Consumable Composable Infrastructure"

数年前まで,8週間を要することもあった物理サーバの立ち上げ期間は,仮想マシンやIaaS,PaaSといったものから,500msで起動するコンテナに至るまでの改善の成功により,現在も着実に減少している。

Dockerはいくつもの重要な改善を実現している。コンテナをコモディティ化し,インフラストラクチャ管理にソフトウェア開発メタフォを導入した。コンテナの変更はGit風のワークフロー似よって行う。バイナリのように動作するポータブルなコンテナイメージはまさに革新的だ,と氏は評価している。ポータブルイメージは,アプリケーションとしてパッケージされたインフラストラクチャだ。Dockerがコンテナ導入の障壁を低くすることにより,インフラストラクチャはますます消費可能,構成可能なものになる。さらに氏は,コンテナに置き換えられることによってハイパーバイザは将来的に不要になるのではないか,とも指摘している。

Dockerコンテナはサーバ上で実行する必要がある。しかしどのサーバだろう? TwitterやAriBnBが使用しているApache Mesos,あるいはGoogleが先日オープンソースにしたKubernetesなどは,オーケストレーションあるいはスケジュールを行うアプリケーションだ。Wilkes氏はプレゼンテーションを行って,Googleのコンテナクラスタ管理方法を説明する予定だ。

コンテナ化されたクラウド対応の世界では,オペレーティングシステムもコンテナに適応することが必要となる。CoreOSProject Atomicは,このような新たな現実の実例だ。

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