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Spark the Changeカンファレンス主催者へのQ&A

原文(投稿日:2014/06/17)へのリンク

 
Spark the Changeカンファレンスが7月3,4の両日,ロンドンで開催される。カンファレンスのテーマは"信頼できる組織の構築(Create an Organisation you can Believe in)"だ。各界のビジネスリーダを対象とするこのカンファレンスの目標は,より優れた強靭なビジネスの構築,改革意識を持ったリーダ,さらには幸福な作業環境の創造に向けて,参加者の意識を向上することにある。

カンファレンスはGameveyの主催,Software AcumenDate Festの協賛の下で行われる。
Gamevyは,マネージャを配置しないラジカルなビジネス手法を採用した従業員所有の技術系スタートアップで,Helen Walton, Dan Rough, Paul Dolman Darrallの3氏によって創設された。Software-acumenは,Agile CambridgeやLean UX,UX Scotlandなど,英国近辺でいくつかのカンファレンスを行っている。Dare Festは,人々がより幸福な仕事場所を構築することを支援する,世界的な活動だ。

InfoQではカンファレンスの目標と内容について,Helen Walton氏に話を聞いた。

InfoQ: カンファレンスのテーマは"信頼できる組織"という大胆なものですが,今日の組織において変革すべき問題点とは,どのようなものなのでしょうか?

世界中の企業が現在,自らの構造をどうするべきか,所属する人々の採用や報酬,管理をどのようにすべきか,といった面での試みを続けています。経済がより知識をベースとしたものになるにつれて,社員の創造性や才能を引き出す能力が,これまでになく重要になってきているのです。企業は迅速に変化し,迅速に反応できなければなりません。状況を一変させるようなイノベーションは,その頻度を増しています。しかしながら,大企業や成功した企業にも,自己満足に浸る余裕はありません。
私たちがSparkで議論したアイデアは,一般的には理想論と言われるものですが,本当は実践主義に根付いています。スタッフが意欲的で高い"自主性"を自認している組織は,成長も早く,より多くの利益を生み出しながら,同時にコストを削減します。ラディカルなビジネスメソッドを採用する組織は,総じてイノベーションの先頭に立ちますが,これは不思議ではありません - 企業が最高の人材を引き付けて保持する能力と,その才能ある人々の提供する最高の仕事とは,切り離して考えられるものではないのです。従来型の組織では,これとは対照的な官僚型の構造を作り上げています。組織に属する人々を事実上ブロックして,働く意欲を失わせた上に,無駄な管理機構を何層も積み重ねて,非競争的で効率の悪いものにしているのです。こういった企業は職場として楽しくないだけでなく,ビジネスの競争にも敗れ去る運命にあります。

InfoQ: そのような変革を呼び起こして,影響力を行使するために,一般の社員としては何をすればよいのでしょう。あるいは,これはマネジメント側の仕事なのでしょうか?

普通,物事を首尾よく進める方法を一番よく知っているのは,その最前線にいる人たちです。一般社員が適切な判断を下すには情報が必要ですし,その判断を実行に移すには権限が必要です。ですが,情報や権限といったものは,大々的でなくても,小さな部分から始めてもいいのです。Sparkの講演は,根本的な構造改革を行った実例だけではありません。あなた自身の行動が文化を変えるのに影響を与えるような,小さなステップもたくさん紹介されています。Sparkには14以上のワークショップがありますが,多くは参加者の実践スキルの開発支援を目的にしています。悲観的な見方への対処方法や,周囲を説得するための視覚化などです。その他にもブレーンストーミングやイノベーションゲーム,変化を測定する方法の決定,アクションプランの立案などのワークショップがあります。

InfoQ: カンファレンスの中心的なメッセージは何でしょう。それは誰が講演するのですか?

興味深くて刺激的な講演がいくつもあります。"The Undercover Economist"の著者として有名なTim Harford氏は,階層組織と"ヒーロー的"人物の持つ魅力と合わせて,結果としてそれがもたらす問題点について講演します。BBC1の番組"Ban the Boss"で知られるPaul Thomas博士は,マネジメントが組織化に失敗する理由と,それに代わるべき自然な人間システムについて話してくれます。

いくつかの講演では,大きな変革を生み出す上での,個人の集合によるパワーに焦点を当てています。ひとりの人が文化やプロセス全体を動かそうとするのは,あまりにも大きな作業ですから! "Management 3.0"を著したJurgen Appelo氏は,他とは違ったマネジメントを実践したい人のために,練習用のツールキットを提供してくれます。change.orgのBrie Rogers Lowery氏は,この世界でひとりの人が作り出すことのできる,さまざまな意義深い物語を伝えます。さらにFINCAのRupert Scofield氏は,自身が小さなマイクロ・ローン銀行を2人から12,000人にまで拡大した経験から,そこで求められた信頼について語ってくれます。

Sparkには非常に実用的な面もあります。講演者のほとんどは学者や理論家ではなく,日常的にさまざまなやり方で実務を担当している企業のリーダで,自らが学んだこと – 成功も失敗も – を積極的に公開してくれるのです。Red Gate SoftwareのGareth Marlowe氏は,社員による組織の再構成をテーマに講演します。Geoff McDonald氏は,Unileverが利益から安定性へと目標を再定義した方法について語ってくれます。"Extreme Culture of Employee Engagement"と題したJack Hubbard氏の講演では,PropellerNetを英国でもっとも働きやすい小企業にした"社員参加による究極の文化"を取り上げます。さらにSteve Parry氏は,超大手のIT企業におけるボーナスと中間管理職の廃止について講演します。

そして最後に,Sparkはいくつもの異なるコミュニティが一堂に会したカンファレンスなのです。特定の方法論やソリューションを推奨するのではなく,さまざまな人たちがそれぞれの方法を探求し,仕事をする理由や,各組織に特有の環境について真剣に考える機会を提供します。そして変革と,そのために必要となるスキルについてのプランを作り上げるのです。

InfoQ: 技術カンファレンスだけではないのですね?

開発系やWeb系企業の参加が多いのは事実ですが – そういった企業は,採用した社員が勤続し,その潜在能力を最大限に発揮できることの重要性を強く意識しているようですね – 本当にさまざまです。政府や大学関係,住宅協同組合,保険会社,銀行など,いろいろあります。正直にいって,これまで会ったことのない人たちとネットワークできる,そんなカンファレンスのひとつです! ITやUXだけでなく,さまざまなタイプの産業からビジネスを越えた人々が集結する場にしたいと思っていましたので,その意味では成功したと思います。

InfoQ: カンファレンスに関連したコンペの発表もありましたね。Spark Awardについて,詳しく教えてください。

先ほど話したように,Sparkは行動そのものです。単なる理想論ではありません。それを明確にしたくて,表彰という形を取ることにしました。変革を実現した個人の実績を顕彰すると同時に,彼ないし彼女のさらなる変革を期待するものになると思います。賞品は,変革を広める上で当人がベストと思う方法への1,000ポンドの資金提供,InfoQへの記事の掲載,専門的なケーススタディ,Spark 2015での講演枠の用意,といったものになる予定です。

私たちが求めている変革の種類の基準はとても広いのです – 成功さえも必須条件ではありません! 失敗を恐れず,学び,経験を繰り返すことは,変革を実現する最良の方法のひとつです。審査委員にはInfoQやGamevy,Conscious Business Peopleからも加わる予定です。カンファレンスでのアイデアやひらめきの瞬間に,幅広い変革が生まれるのを目の当たりにできれば,と期待しています。

InfoQ: 本日はお話を頂き,ありがとうございました。

InfoQではカンファレンスでセッションのいくつかを録画するとともに,Spark Award獲得者の記事を公開する予定である。

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