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Eclipse Luna - OSGi移行10周年の新しい年次リリース

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原文(投稿日:2014/06/25)へのリンク

Eclipse財団は本日,Eclipse Luna(4.4)のリリースを発表した。Eclipseとして7回目となるこの統合リリースは,EclipseがOSGiランタイムとして成功を収め,その名の由来となったIDEとしてのみでなく,リッチクライアントプラットフォームとしても幅広く認知されるに至ったEclipse 3.0のリリースから10年目にあたる。さらに先日は年次報告書も,2014 Community Surveyの結果と合わせて公開している。

Eclipse Standrad, C/C++, Java EE,Xtendなどのビルド済みパッケージもダウンロード可能になっている。EclipseはJava 1.6ランタイム上で動作し,OSX. Linux, 32ビットおよび64ビットアーキテクチャのWindowsをサポートする。

Eclipse Lunaには多数のプロジェクトが統合されていて,開発者,プラットフォームユーザを問わず,さまざまな改良や機能強化を提供する。変更点は次のようなものだ。

  • UX: 新たにダークカラーテーマが導入された。新しいダークカラービューを持つエディタやメニュー,テーマバーなどが提供される。
  • UX: エディタでは行番号表示がデフォルトになった。"クイックアクセス"検索ボックスが非表示可能になり,リソースのコンテキストメニューからプラットフォームのネイティブなファイルシステムエクスプローラがオープンできるようになった。
  • UX: エディタを水平あるいは垂直に分割可能になった。これまでは2つのエディタで同じファイルを開き,並べてドッキングする必要があったが,今後はエディタを分割することができる。分割モードはタブエディタでも有効なので,対象とするファイルを別々のタブ上の2領域に表示することも可能だ。
  • Java: JDTとPDEでJava 8がサポートされる。匿名内部クラスをラムダ式に変換するリファクタリングも用意されているので,ラムダあるいはメソッドリファレンスで実装されたSAMインターフェースへと移行することができる。
  • Java: Java 8のコンパイラは.classファイルにメソッドのパラメータ名を生成することが可能なため,インタラクティブな呼び出し時の引数の自動生成は不要になった。デフォルトの設定はオフになっている。
  • Java: Java 8の提供するNullタイプアノテーションのNullable@NotNullを使用して,潜在的なnull式の逆参照を静的にチェックする。これは従来のnull宣言アノテーション(v1)を,型宣言アノテーション(v2)で置き換えるものだ。詳細は互換性に関する注意事項を参照してほしい。
  • Java: 新たにSnipMatchサービスを備えたCode Recommenders 2.1が同時にリリースされた。最も可能性の高いメソッドコールを推奨表示する機能のCode Recommendersに対して,SnipMatchには,さまざまなプロジェクトから選りすぐられたパターン例が数多く備えられている。
  • Plug-ins: プラグイン開発としては,EclipseのビューをE4コンポーネントとして使用することが可能になった。これにより,Eclipseランタイムにコンポーネントを挿入する場合には,E4プログラムモデルが利用できる。E4コンポーネントはさまざまなワークベンチで利用できるように分離されているので,サービス取得用のコードを記述しなくても,インジェクションを通じてオブジェクトやサービス(BundleContextを含む)を提供することができる。さらに現在10年以上を経たEclipse 2.0プラグイン(META-INF/MANIFEST.MFファイルを持たないものなど)のサポートが削除されれて,スタートアップ時間やメモリのオーバヘッドが減少した。
  • Git: EGitとJGitのサポートが改善された。Eclipseプロジェクトの大部分がGitにマイグレーション済であることに加えて,Eclipse Community Surveyの結果からも,SubversionからGitに移行する開発者が圧倒的であることは明らかだ。今回のリリースでは,ヒストリビューからの編集やスカッシュ,リベースコミットなどの機能,HTTPを越えたリポジトリアクセスのためのSPNEGOサポートなどが追加されている。

プラットフォームは,Java 6への依存を最小限にするためにアップグレードされている。コアOSGiランタイムも,先日リリースされたRelease 6にアップグレードされた。

いつものようにIan Bull氏が,Lunaの新機能と改善機能のトップテンを報告付きで公開している。

  1. Java 8サポート
  2. 分割エディタ
  3. Gitの改善
  4. Snipmatch
  5. Eclipseダークテーマ
  6. リモートアプリケーションプラットフォーム
  7. TCFターミナル
  8. EMFフォーム
  9. Siriusグラフィックモデラ
  10. RCPの改善

ソフトウェア開発ツールとしての高い認知度に加えて,Eclipseはモノのインターネット(Internet of Things)に関しても,よく知られた存在になりつつある。今回の統合リリースに含まれているのは,Luaをベースとした組み込み機器用の開発環境であるKonekiや,プロトコル実装をさまざまな言語で提供するPahoライブラリなどだ。開発者がプロトコルの接続性試験を行うためのサンドボックスも用意されている。

2011年のInfoQの記事"Eclipseの10年"に書いたように,Eclipseにおいて最も目覚ましい成果は,創設されて以来,リリースが規則正しく行われていることだ。年次のリリーストレインに移行してからは毎年6月25日,あるいはその近辺に,新たなEclipseコンポーネントセットが確実に提供されている。Eclipseは単なるIDEではない – コミュニティがオープンソースソフトウェアを中心として成長し,アジャイル手法で再現性を持った成果を提供できることの証明でもあるのだ。

  • Eclipse 1.0 – 2001年11月7日 (Win32/Linux32 Motif)
  • Eclipse 2.0 – 2002年6月27日 (Linux32 Motif + GTK, Solaris/QNX/AIX)
  • Eclipse 2.1 – 2003年3月27日 (OSX 初版)
  • Eclipse 3.0 – 2004年6月25日 (最初の OSGi バージョン,R3ベース)
  • Eclipse 3.1 – 2005年6月27日 (最初のOSGi R4リリース)
  • Eclipse 3.2 – 2006年6月29日 (Callisto)
  • Eclipse 3.3 – 2007年6月25日 (Europa)
  • Eclipse 3.4 – 2008年6月17日 (Ganymede)
  • Eclipse 3.5 – 2009年6月11日 (Galileo)
  • Eclipse 3.6 – 2010年6月8日 (Helios)
  • Eclipse 3.7 – 2011年6月22日 (Indigo)
  • Eclipse 4.2 – 2012年6月27日 (Juno)
  • Eclipse 4.3 – 2013年6月26日 (Kepler)
  • Eclipse 4.4 – 2014年6月25日 (Luna)

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