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Agile 2014閉会のキーノート

| 作者: Shane Hastie フォローする 18 人のフォロワー , 翻訳者 徳武 聡 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2014年8月24日. 推定読書時間: 8 分 |

原文(投稿日:2014/08/05)へのリンク

Bjarte Bogsnes氏がAgile 2014で閉会のキーノートを行った。氏はBeyond Budgetingと題して、新しいビジネスと現実に根ざしたアジャイルのマネジメントモデルについて話した。

氏の講演の前提は現在の予算のモデルや予算策定のプロセスはおかしくなっており、組織のアジャイルさを達成するためには、議論の仕方を変える必要があり、支出を管理するツールを変える必要があるということだ。

氏はアジャイルの利点を組織へと拡大するための議論は幹部にとっては合理的でない、という。議論に必要な言葉は技術的な領域の言葉であり、経営幹部にとっては必要のない言葉だからだ。氏はアジャイルの手法ではなくビジネスのアジャイルさの必要性について講演し、幹部との話し合いの仕方を変えるように聴衆に忠告した。

氏は3つのトピックについて話した。

  • 変化の根拠 – 何が問題なのか
  • 超予算モデル
  • Statoilのモデル – 行動への意志(Statoilはどのようにして超予算モデルの考え方を獲得したか)

変化の論拠

氏は予算プロセスは組織運営の中核であるいう。組織は支出のはるか前に固定の予算を確保し、その動きを追跡している。

氏は、多くの組織で現在の予算モデルが次のような徴候を示していると説明する。

  • 予算は戦略ととても弱い関係で結びついている。
  • 予算策定には時間がかかる。
  • 意思決定は組織の間違ったレベルであまりにも事前に行われる(時期は早すぎ、決定者は高位すぎる)。
  • 予算の前提はすぐに崩れてしまう。
  • 価値を生み出す行為の妨げになる場合がある。
  • 予測範囲が“アコーディオン”のように伸縮する。予算のサイクルが回るに従い、縮む。
  • パフォーマンスの物差しとして機能しない。

これらの徴候は、それぞれが問題の原因なのではなく、ひとつの根本的な問題があるということの証拠なのだ。

氏は町の交通量の増加に例えて話した。町の交通量はふたつの制御の仕組みがある。信号機と円形交差点だ。

信号機はルールに基づいた仕組みであり、そのルールはこの仕組みに組み込まれたプログラムによってあらかじめ決まっている。現在の状況に応じて動作することはない。運転手はこのルールに従わなければならない。

円形交差点は運転手が状況に応じて判断する必要がある、動的な環境だ。どのように振る舞うかについての意思決定はそのときの状況に応じて運転手が行う。

氏はこのふたつの仕組みのどちらが効率的でどちらが難しいかを比較する。研究によれば、円形交差点のほうが効率的のようだが、運転手がひとつの信号だけではなく、周囲の交通の流れに気を配る必要があり難しい。氏は簡単であるということは必ずしも良いことてはなく、効率性にとっては適性が重要であるという。円形交差点を運転するのは価値ベースであり、自分自身でルールを決めて活動するということであり(周囲に配慮して、他の運転手と協調する)、ルールに従って行動することではない。

氏はこの喩えを使って、マネージャの組織の人々に対する考え方について説明する。

氏は、今日の組織の環境は円形交差点に似ているという。VUCA(Volatilityつまり流動性、Uncertaintyつまり不確実性、Complexityつまり複雑さ、Ambiguityつまり両義性)に満ちているのだ。このような動的な環境では従来のマネジメント手法は通用しない。

氏はふたつの次元をもつ4事象を示した。静的、または、動的なビジネス環境とマネジメントの態度だ。マネジメントの態度はふたつの理論に基づく。理論X(人々は生来惰性であり、なるべく楽をしようとする)か理論Y(人々は信用でき、自分自身で動機付けを行い、良い仕事をしようとする)のふたつだ。

動的

  • 非伝統的な予算策定
  • 相対的で指向性のある目標
  • 動的な計画作り、予測、リソースの確保
  • 全体的なパフォーマンスの評価

 

 

超予算

安定的

従来のマネジメント

  • 融通が効かない、詳細な年次の予算サイクル
  • ルールに基づいたマイクロマネジメント
  • 中央からの指令・制御
  • 秘密主義、信賞必罰
  • 価値ベース
  • 自主性
  • 透明性
  • 内側からの動機付け

 

理論X

理論Y

氏曰くは超予算はリーダシップ(態度と振る舞い)とマネジメント(ルールと構造)の両方に対処することを目的としている。このふたつを効率的にするために変化が必要だからだ。リータシップの態度が変化しても構造と制御の仕組みが変わらなければ、どんな変化も効果を生まない。逆も同じだ。

氏が示した組織のリストには超予算を使っている企業が一覧されている。氏はこれらの組織が獲得したビジネス上の利点について説明する。

超予算の原則

次の12が超予算の原則だ。

リーダーシップの変化

プロセスの変化

1. 価値 - 詳細なルールと予算ではなく明確な価値、目的を通じて統治する。

7. 目的 - パフォーマンスについて固定的な契約をするのではなく継続的な改善のために相対的な目的を設定する。

2. パフォーマンス - 特定の状況を想定せずに、相対的な成功に基づいて、高いパフォーマンスが発揮できる環境を整える。

8. 報償 - 特定の状況を想定せずに、相対的なパフォーマンスに基づき、共有された成功を報償する。

3. 透明性 - 情報を階層的に制限せずにオープンにして自己管理を促進させる。

9. 計画 - 計画作りを継続的で包括的なプロセスにする。トップダウンの年次のイベントにしない

4. 組織 - リーンで説明責任を持つチームのネットワークを組織化する。中央集権的な組織にしない

10. 協調 - 年次の計画サイクルを通じて、ではなく、動的なやり取りを促進させる。

5. 自主性 - チームに自主性と自主性を発揮できる環境を与える。マイクロマネジメントしない/strong>。

11. リソース - 年次予算の確保の時ではなく必要な時にリソースを確保する。

6. 顧客 - 全員が、組織内の上下関係ではなく顧客への価値に注力する。

12. 制御 - 計画に対するばらつきではなく相対的な指標、トレンドを制御する。

氏は従来の予算策定の方法はコストであり、価値の提供を毀損していることについて説明する。

氏が強調するのは、テーブルの両側を調整することだ。リーダシップとプロセスの間の一貫性の重要性を指摘する。

そして、聴衆に対して予算策定の目的を考えてほしいと言った。

  • 目的を定める
  • 予測を提供する
  • リソースの確保を支援する

氏は従来の予算策定では単一の数値が割り当てられ、この数値が上述の3つの目的すべてに使われる、と説明する。これによって、数値自体が自己実現的になり、諍いの種になってしまう。氏の挙げた例は、年次で営業目標をたてる必要があるセールスパーソンだ。セールスパーソンの収入が目標に達成するかどうかに依存する場合、目標は収入を確保できるくらいに保守的なものになってしまう。また、氏は支出の予算についても例を挙げた。多くの組織では会計年度の終わりに使われていない予算は次の年では割り当てられない。その結果、会計年度の終わりには無駄な支出が行われる。

氏は3つの別々の数値を使い、それぞれを関連させない方法を推奨する。3つの要素を別々にすることで成果を改善するのだ。

分離

異なる目的に異なる数値を使う

改善

カレンダーで決めずに、イベントで決める

目的: 何をしたいか

  • 啓発と動機付け
  • Relative where possible
  • 全体のパフォーマンスの評価

予測: 何が起こると考えるか

  • バイアスのない、期待値
  • 限定された細部

リソースの確保

  • 動的。年間単位で確保しない。
  • KPIの目標。目的、権限、決定ゲート、決定の条件。
  • トレンドを監視する。

3つの数値を分離することで、繊細な意思決定を実現し、コストに対する意識を醸成することができる。この意識によって、“これについての予算はあるかな”という考えから、“この支出は本当に必要か、必要ならどうやってこの支出の価値を最大化できるか、何が十分なのか、期待のフレームワークに収まっているか”という考えができるようになる。

氏は支出について優れた意思決定をするためのツールを提供した。支出についての活動をKPIと目標にリンクさせるのだ。

KPIの種別

絶対的なKPI

相対的なKPI

利用可能なKPIがない

報告する指標

野心のレベル/燃え尽き度

単価 / 成果

単価対同僚

最終損益のみ

戦略的な目的、行動のみ

1000ドル

ドル/バレル

ドル/顧客

ドル/従業員

第一四分位点

平均より上

EBIT

RoACE

“シンプルでコストを意識した働き方”

“旅行ではなく、動画”

正しい意思決定が促進されればされるほど、働き手に自主性や柔軟さが与えられ、強い価値と明確な方向性の必要性が高まる。

行動へ野心

氏はStatoilを例にして、戦略が運用レベルへの行動へ変換する方法を説明した。この方法では、柔軟さを守り、チームのメンバ一人一人に名永覚なガイドラインと価値とリーダシップの原則を活用して、行動を起こす余地を与える。

価値の流れには4つのレベルがある。

戦略的目的

KPI

アクションと予測

個人、またはチームの目的

どこへ向かい、成功はどのように見えるか。

進捗をどのように計測するか。

どのようにして目的地に達するか。

自分はどのように貢献するか。

最も重要な戦略的変更エリア

中期的な視野

戦略的デリバリの計測

5-10のKPI

短期、長期の目的

集中的なアクションと期待される成果(予測)

明確なデッドラインと説明責任

デリバリに対する個人的な目標

振る舞いに対する個人的な目標

氏はこれらのレベルが価値に基づき、単なるバランススコアカード方式よりも優れていることを説明した。計測するべき数値はあるものの、成果は単なる数値だけではなく幅広い視点でレビューされる必要がある。これが本当の意味での、すべてのレベル、全体の価値の流れを踏まえた全体てきな評価の仕方だ。

氏はStatoilのCEO、Helge Lund氏の言葉を引用して、キーノートを終わりにした。

私たちは乱気流と素早い変化に対応できるマネジメントモデルを有しています。これによって素早く行動して優先順位を変え、危機に対応し、機会をつかみます。従来の‘予算の世界’では難しかったことです。

 

 

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