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遠隔チーム管理に関する書籍シリーズ

| 作者: Ben Linders フォローする 27 人のフォロワー , 翻訳者 吉田 英人 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2014年11月3日. 推定読書時間: 9 分 |

原文(投稿日:2014/10/09)へのリンク

書籍シリーズ "The Art of Managing Remote Teams" では,遠隔チームの確立と作業について,著者らが自らの経験とアドバイスを提供している。想定している読者は,オフショアないしニアショアチームを立ち上げたい,あるいはすでに管理している遠隔チームを改善したいと考える人々だ。

このシリーズの書籍は,クラウドソーシングプロジェクトを利用して書かれている。書籍の各章を3~5人の著者が担当し,それぞれのトピックに対する自身の見解を提供する形式だ。初刊の"How to not screw up when managing a remote team"は無償でダウンロードすることができる(登録が必要)。

InfoQでは,シリーズの編集者であるHugo Messer氏に,書籍シリーズのストーリ収集やアウトソーシングを改善する方法,アウトソーシングにおけるコミュニケーションや文化の違いを管理する方法,さらにシリーズの今後についてインタビューした。

InfoQ: アウトソーシングに関する書籍シリーズを刊行しようと決めた動機は何でしたか?

Hugo: 私はグローバルソーシング業界で10年ほど仕事をしているのですが,すでにある書籍やブログはほとんど読んでいます。その中で見つからなかったのが,オフショアを"どのようにガイドするか"ということです。オフショアに従事する人たちから繰り返し聞かれる,もっとも大きな課題は"コミュニケーション"です。近くにいる同僚から遠隔地の同僚まで,彼らの習慣を変えるというのは非常に難しいことなのです。コミュニケーションには多くの人が苦労していますし,たくさんのプロジェクトで課題になっています。そこで私は,遠隔地にいる同僚との関係をもっとスムーズにする方法を開発しました。この知識を共有して,多くの人を支援したいと思ったのです。

InfoQ: 書籍で紹介しているストーリはどのような方法で収集して,掲載するものはどのように選択したのでしょうか?

Hugo: 私自身のもの以外の経験やメソッドを加えるために,専門家のコミュニティと一緒に本を書くことにしました。これまでに25名の著者が,彼らの経験を記事として提供してくれています。コンサルタントとして,(運用あるいは戦略上の)'バイヤ'として,あるいは'ベンダ'として,遠隔チームと作業した経験のある専門家を探します。そして彼らに,5~8ページの記事を書いてもらうのです。記事は実践的で現実的,実用的なストーリにしてもらいます。セオリではなく,'ハウツー'です。

InfoQ: 刊行済みの3冊では,遠隔チームの管理とオフショア,ニアショア作業の組織化を取り上げています。これらの書籍で紹介されている実例を使って,企業のアウトーソーシングの方法を改善するために何ができるか,説明して頂けますか?

Hugo: すべての著者に共通するテーマのひとつは,"お互いに足を運んで直接合うことによる,結束したチームの構築"というものです。これは当然のことなのですが,現在の技術ツールを使うことで,すべてをPC上で行うことができると考える人もたくさんいます。ですがお互いの個人的バックグラウンドを知る上で,夕食やビールを共にすることに代わるものはありません。企業はこの投資をする必要があります。Amanda Crouchが書いてくれた "Making offshore collaboration work" には,このチームスピリットを開発するための強力なフレームワークが提供されています。

繰り返し指摘されているもうひとつのポイントは,プロセスとしてスクラムを使用することです。これまではほとんどのソフトウェア開発が,ウォーターフォール的なメソッドを使用してきましたが,スクラムはそれよりもはるかに多くの柔軟性とコミュニケーション,共同責任を実現して,優れたソフトウェア開発を可能にします。分散型チーム構成の場合,頻繁な"ミーティング"がチームの精神に加えて,開発チームの成果も向上させてくれます。そのようなコミュニケーション改善に役立つミーティングのひとつがレトロスペクティブです。ソフトウェアの一部分を提供するために何ヶ月も作業するのではなく,作業の方法(生成した結果だけでなく)を2週間ごとにレビューするのです。作業の過程において,何がうまくいって,何がそうではなかったかをチームで議論します。このリズムを維持していけば,不効率な作業や遅延の常習化,チームへのただ乗りなどといった行為は,はるかに少なくなります。このようなミーティングを特に,チームの"目に見えない"部分(遠隔チーム)と設定することによって,チーム内には理解と結束が生まれます。このテーマに関しては,私自身の'working together, sitting apart'と,Abhilash Cによる'setting up a distributed agile team in India'を読んで頂きたいですね。

InfoQ: シリーズの4巻では,オフショアないしニアショアチームを管理する上での文化の違いを取り上げるということですが,これらがどのような問題なのか,どうすれば対処することができるのか,詳しく説明して頂けますか?

Hugo: このテーマについて書かれた書籍はたくさんあります。ですが全部読んでみても,事が明確になるどころか,かえって混乱するだけでしょう。文化的な違いを過度に考えてしまうと,いろいろやり過ぎてしまったり,類似点よりも相違点にあまりにも重点を置いてしまう可能性があります。

私の経験上,重要なことは2つあります。

A. 文化的相違を受け入れて,違いの存在を認めることが必要です。人は旅をして,新しいものを見て,違う人々に合うことが好きです。同じ好奇心を,異文化コラボレーションに活用するのです。このような容認に基づけば,組織化の方法も見つかるでしょう。

B. 個々人を見ることです。文化は個人の行動に影響しますが,それがすべてではありません。それぞれの長所と短所,興味,特別な行動を見て,役割とタスクを分配してください。そうすれば,本当のチーム精神を得ることができます。ローカルでこれを行っても構いません。

InfoQ: コミュニケーションはチーム内でもチームメンバとステークホルダとの間でも重要です。コミュニケーションを改良する上で遠隔チームには何ができるのか,例を示して頂けますか?

Hugo: ほとんどの変化をもたらすものは"ミーティングのリズム"です。毎週,毎日のミーティングの固定されたスケジュールを確立することが必要です。これはスクラムでは,すでに中心的な部分です。前述したように,スクラムのミーティングにもうひとつ,プロセスマネージャ(プロジェクトマネージャ,あるいはそれ以上のオンショアのエグゼクティブ)の参加する週次の例会を加えるとよいでしょう。私たちの会社では加えて,チームとスクラムマスタ,プロセスマネージャの参加する日次のスタンドアップをデリバリオフィスで行っています (これはオンショアのプロダクトオーナや,スクラムマスタと行う日次ミーティングからは独立したものです)。プロセスマネージャはチームメンバのコーチの役割をして,彼らがオンショアメンバと効果的なコミュニケーションを行うことを支援します。

これに加えて,各チームメンバとの個人的な開発ミーティングをスケジュールするのも効果的です。私たちはこれを,四半期ごとに行っています。私たちは毎月,各個人の行動に対するフィードバック(ユーザとのコラボレーションの確立と,メンバごとに重要なものに応じた5項目)の提供をユーザにお願いしています。このフィードバックを毎月の個人的な開発ミーティングで収集して,次の四半期に向けての個人計画の立案に使っています。このような方法で作ったフィードバックによって,各チームメンバの行動を,チームとコラボレーションに必要なものに合わせていくことができるのです。

コミュニケーションに使用するツールについても,慎重に検討する必要があります。私たちが学んだことのひとつは,コミュニケーションの手段としてEメールを使うことは,有効ではあるがトラブルの原因ともなる,ということです。要件やプロジェクト状況に関する通信に使用すると,長いスレッドが作られて混乱することが珍しくありません。失ったり無視されることもあります。これを回避するためには,JiraやBasecamp,Redmineといった管理ツールを使う方法があります。顔を合わせたコミュニケーションも不可欠です。技術系の人たちは書いたり,チャットしたりすることを好みますが,一般的なビデオコールを使って直接会話する方が,コラボレーションはより効果的になるようです。この目的にはSkypeが有効です。webExのような行動なビデオ会議システムも,このエクスペリエンスを向上してくれます。

InfoQ: 遠隔チームとのコミュニケーションを改善するために,ステークホルダには何ができるのでしょうか?

Hugo: 私の考える"チーム"とは,(例えそれがクライアント - サプライヤのコラボレーションであっても),オンショアとオフショアの人々で構成されているものです。実行メカニズムがもっともよく見えるのはこの角度からです - ひとつのチームであり,すべてのことが両方のショアに関連するように計画されています。チームを別々のものと見た途端に,"私たち対彼ら"という意識の危険性が存在するのです。ですから,先程の質問に対して私の説明したコミュニケーション手段が,チームには必要なのです。オフショアの日次スタンドアップのようなミーティングは,コミュニケーションを高めることができますし,共同のミーティングとは別に行うことが可能です。

InfoQ: 遠隔チームの管理に関する書籍シリーズで取り上げる今後のトピックについて,簡単に紹介して頂けますか?

Hugo: 文化に関する本がちょうど完成したところで,9月前半にローンチされます。インド-オランダ間のコラボレートに特化した,経験豊富なカルチャトレーナから記事が寄せられています。それから,英国のGed Roberts氏からも,ドイツとインドの文化を自身の"自然な"観点から説明した,非常に洞察深い(かつ面白い)記事を受け取っています。次の本はコミュニケーションについて,6巻は人々についてのものになる予定です。コミュニケーションに関しては,上述したミーティングのリズムや使用するツールについて,もっと深く掘り下げた記事があります。人々についてでは,自己管理型の遠隔チームの構築や,遠隔チームメンバ間の信頼関係の確立について取り上げる予定です。どちらの本についても,より一層の貢献者を募集しています。遠隔チームの管理経験をお持ちで,記事の公開を希望されるのであれば,Eメール(h.messer@bridge-outsourcing.nl)を送ってください。

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