コーチで技術系ビジネス専門家のBob Marshall氏は自身のブログにおいて、多くの組織でスクラムマスターが失敗する理由は、スクラムの導入と組織の機能不全に取り組むスクラムマスターの責務の認識不足である、と説明する。
スクラムの目的は、組織の機能不全を明らかにすることだ。機能不全とはその名の通り、正常に機能しないということだ。つまり、組織において、リーダーシップ、プロセス、コミュニケーション、プログラムといったものが機能していないことを意味している。
Patrick Lencioni氏は著書「The Five Dysfunctions of a Team」において、責任回避と役割の不明確さが、組織の機能不全の一因だと述べている。
Bob氏によると、組織の機能不全は開発チームに影響を及ぼす。その原因は一般的に、直接制御できないところにある。彼自身の経験によると、スクラムマスターとチームは組織の機能不全に取り組むことにフォーカスしていないと述べている。Yahooのアジャイルコーチ、Tobias Meyer氏はこう言っている。
スクラムは組織の機能不全を明らかにするためのフレームワークである。
Abiggergaのアジャイルコーチ、Deborah Hartmann-Preuss氏はこう言っている。
スクラムは組織の機能不全に光を当て、居心地のよくない方法で私たちをたしなめる。
Bob氏は、スクラムマスターはスクラムチーム内および外部の人たちとのコミュニケーションに気を配る必要がある、と言う。スクラムガイドによると、
スクラムマスターは、スクラムチームとやり取りを するときに役に立つこと/立たないことをスクラムチームの外部の人たちに理解してもらう。スクラムマスターは、こうしたやり取りに変化をもたらすことで、スクラムチームの作る価値を最大化する。
スクラムマスターの責務は障害を取り除くことだ。Bob氏によると、開発チームに影響を及ぼす障害の80%はチームの外部からもたらされるものであり、これら障害の解決は、その組織におけるチーム外部の人、マネージャ、シニアマネージャの肩にかかっている。したがって、スクラムマスターはそうした障害にも気を配らなくてはならない。
スクラムマスターの絶対的に重要な役割は、チームから幅広いマネジメントに向けたチャンネルを築いて育てることだ。これほど重要なものは他にない。