大型IT企業のCA Technologiesは先日,ITを含む事業部門(LOB/Line of Business)の役員を対象とした,DevOpsに関する調査結果を公開した。1年前と比較すると,DevOpsを採用している(24%),あるいは採用を検討中(64%)という回答は,調査対象の66%から88%に増加している。
Vason Bourneに委託して実施されたこの調査では,収益5億ドル以上の企業幹部(経営陣,VP,取締役など)の視点に立つことで,DevOpsをこれまでとは違う視点から捉えている。
DevOpsを採用している,あるいは採用過程にある中の46%が,デプロイメントの頻度が増加したと回答している。その一方で,アプリケーションの品質向上や製品化までの時間短縮などのメリットを認めているのは,30~40%の範囲に留まっている。この不一致はデプロイメントの増加が,必ずしもビジネス指向のメリットだとは解釈されていないことを示唆している。調査対象の32%が,DevOpsを導入したことによって,それまで不可能だった新しいソフトウェアやサービスを開発できるようになった,と答えている点も興味深い。
DevOpsを採用した理由として最も多く挙げられたのは,品質とパフォーマンス向上の必要から(42%)であり,次いでエンドユーザのエクスペリエンス向上のため(34%),さまざまなプラットフォームに対する同時デプロイのため(29%),となっている。開発チームと運用チームのコラボレーション拡大を理由に挙げたのは,2013年の第1位(47%)から6位(25%)へとダウンした。
DevOpsの採用は簡単ではない。それが大企業であれば,なおさらだ。大きな障害となっているのは,セキュリティとコンプライアンス上の懸念(28%),ROI算出が困難であること(27%),組織の複雑さ(27%)といったもののようだ。採用プロセスを適切に支援してくれるコンサルティングを見付けることの難しさも,大きな問題となっている(26%)。驚きではないが興味深いのは,大企業がDevOps採用に際して,専門的なサポートを求めているということだ。2013年の調査報告時の最大の障害は,組織の複雑さが35%で圧倒的に多かった。
大企業の出した結論は,適切なスキルを備えた人的リソースを,新たに採用する必要がある,ということのようだ。2013年の53%に対して,2014年の調査では63%がこの必要性を回答している。この変化に反比例するように,トレーニングに対する投資は73%から46%に低下している。また調査対象の51%が,DevOpsの中心的な信条に合わせたプロセス再設計への投資を予定している。新たなツールを購入する価値があると考えているのは,回答者の30%に留まっている。
最後に,最も重要なDevOpsツールに関する質問に対して,リリース自動化ツールという回答(28%)は,企業のセキュリティ(30%)や機能テスト(33%),パフォーマンステスト(37%)という回答より少ない結果となっている。最も多いのはアプリケーションのパフォーマンス監視で,38%だった。