企業のアジリティ移行を指導する組織改革エージェントのDavid Dame氏は,企業規模拡大に関する活動のアジリティに関して,人材管理のプラクティスの面から説明する。
アジリティはもはやITや技術的動向に留まらず,企業全体を包含する必要のあるものです。効果的,長期的にこれを実践するには,人材や組織指導者,変革エージェントらによる最大限の関与が不可欠です。この新たなペースの速い環境に,人材管理のプラクティスも適応する必要があります。‘リーン’で‘フレキシブル’,そして‘アジャイル’にならなくてはなりません。
OpenTextのシニアマネージャで,グローバルでの人材雇用を担当するJames Cleaver氏は言う。
従来のHRは,組織の体制や構造を構築することを目的と考えてきました。それに対してアジャイルは,構造や体制の破壊による迅速な変化を標榜しています。
CIPDの調査報告書では,アジリティをサポートする上でHRが果たすべき役割として,特に2つの領域を挙げている。
1.戦略的なアジリティ施策をリードする – 新たなビジネスニーズを予見し,それに対処する。
2.アジャイル方法論を活用し,擁護する – 試行と段階的変化を通じて,現在および将来的なビジネスニーズのサポートに向けた人材管理ソリューションの適用と構築を図る。
ここにおいて,雇用主と被雇用者の長期的関係を保証するものはもはや存在しない,とDame氏は言う。今日の世界で企業が求めるのは,雇用主と被雇用者のバランスなのだ。雇用者との関係の迅速化と継続性に関して,氏は次のような説明をする。
1.ジョブモデル: 5年先や10年先のキャリアを予見するのではなく,HRは視点をもっと短く,2,3年先におく必要がある。人材は可能な限り無駄のない,柔軟なものでなければならない。オープンでフレキシブルなモデルを維持することにより,絶えず変化を続ける組織の中にあっても,社員が自分自身を認識することが可能になる。
2.トレーニング: 企業が新たな機会に向かう上で,プラスになるようなトレーニングを社員に奨める必要がある,と氏は指摘する。
Ford Motor Companyでプロセスマネージャの職にあるAshish Mahajan氏は,自身のブログの中で,自らのドメインにおける能力開発に努めるよう,社員に奨励している。社員が自らの能力を決定する,ボトムアップのアプローチをサポートするべきだ。予算ありきで義務的に行うトップダウンのトレーニングでは,そこから価値を見出すことは難しい。
3.パフォーマンスレビュー: 迅速かつ継続的に変化する今日の環境では,最低でも年2回,可能ならば連続的なパフォーマンスレビューが必要だ,とDame氏は考えている。フィードバックループは今や,マネージャとユーザの間に限ったものではない。すべての人々の間で実践し,360度の視野を社員に提供するためのものだ。
4.周囲との関係構築: 社員との定期的な接点を頻繁に,かつ彼らの話題において持つことが必要だ,と氏は主張する。これはタスクやプロジェクトではなく,彼らのために必要なものだ。
最高の社員を雇用するには,アジャイル組織においてもHRが重要な役割を持つ,とMahajan氏は言う。
適切な態度と信条を持った社員の雇用は,アジャイル組織構築ための第一歩です。組織やチームの分化に合った人を選ぶよう,正しい選択を行う必要があります。