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“Arrow"かんばんボードの導入

原文(投稿日:2015/07/05)へのリンク

Aptilo Networksのプロジェクト管理ディレクタを務めるTomas Rybing氏は先日,自身のブログ記事に,‘Arrow’と題した独自のかんばんボードのコンセプトを発表した。Arrowは優先順位ピラミッドのアプローチをベースとして,バックログとかんばんボードを組み合わせることで,作業プロセスを視覚化したものだ。

複数のスイムレーンを持ったかんばんボードに,エントリポイントとして,ローテーション型の優先順位ピラミッドが追加されている。上記の例のボードには3つのスイムレーンがある。スイムレーンはWIP(Work In Progress,仕掛品)を制限するために使用する。

スイムレーンがいくつ必要なのかは,チームの規模や,希望する流れ効率によって異なります。スイムレーンがひとつであれば,チーム全体がひとつのストーリを実行することになり,最高の流れ効率が得られます。実際にはチームの各メンバがアイドル状態になる時間が異なりますから,これは現実的ではないかも知れません。アドバイスとしては,チーム内のコラボレーションを促進するために,スイムレーンの数をメンバの数よりも少なくすることです。

ボードには,タスクを次の欄に移動する前に満たすべき基準を定義したDoD(Definition of Done, 完了の定義)が記述されていて,タスクを移動する前に実施する項目のチェックリストとして使用される。このアプローチを使うことで,不完全なタスクがプロセスの次の段階に移動することを防止する。

さらに氏は,完了(Done)の列を矢印の形に変更した。

完了を宣言された付箋は,“完了”欄から取り除かれるのが普通です(スクラムでも同じく,各スプリントの開始前にはボードを“クリーン”にします)。でも,矢印のように“完了”欄を大きくしておけば,自分たちの作業の成果を長い間,眺められますよね!それに,“Done”欄の付箋を数えて,特定のイベントにそれを結び付けることもできます。“完了欄の付箋が50枚になったら,ケーキでお祝いしよう”(つまりケーキ境界)というように。あるいは,完了欄の付箋が20枚に達する毎に(20, 40, 60, など)レトロスペクティブを行うのもよいでしょう。

矢印の前には,チームの全体目標のプリントアウトが貼られている。 それぞれの目標は,毎日の仕事のガイドとなるように記述することが必要だ。

氏はプレゼンテーションの中で,Arrow方式のかんばんボードのストーリの流れについてSlideShareで説明した。

Arrowかんばんボードから学んだこととして,氏は次のような項目をあげている。

  • ファーストライン(Fast Line)に何もルールを設定しなかったため,予想された結果ですが,開始後に多数の作業がここに配置されることになりました。通常のスイムレーンに設定するほどの“重要性がある”かどうか確証が持てなかったために,他に移すべき場所がなく,ファーストレーンに留まることになったのです。ファーストレーンにルールを設定して,通常のスイムレーンの使用方法に基準を設けておけば,このような状況は回避できるでしょう。
  • スイムレーンによる新たな制限が発生するため,新しい作業を開始するときに(スイムレーンが利用可能なことが条件であるために)ブロックされることが多くなりました。その対策として,チームメンバの主要なタスクが一時的にブロックされたとき,優先度の低い作業を簡単にピックアップできる(そして残しておける)場所として,“スローレーン”を試験的に運用することにしました。
  • 矢印の独立したセクションとして,週毎のデモセッションで見せることの可能な“デモ可能(ready to demo)”セクションを用意しました。ここにタスクがひとつもなければ,その週のデモはキャンセルされることになります。

David J. Anderson & AssociatesのCEOで著作者,かんばん方式のトレーナ兼コンサルタントであるDavid J. Anderson氏は,矢印のかんばんボードというアイデアに,次のようなコメントをしている。

WIPを物理的に制限する必要のあるような,規律のない,成熟度の低い組織では,優先度のトライアングルはよいアイデアでしょう。

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