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コアワークシステムによる転換行動の促進

| 作者: Ben Linders フォローする 20 人のフォロワー , 翻訳者 吉田 英人 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2015年9月16日. 推定読書時間: 8 分 |

原文(投稿日:2015/08/27)へのリンク

Mike Orzen氏はLean IT Summit 2015で,コアワークシステムを利用した転換行動(transformational behavior)の促進について講演を行う。InfoQはニュース,Q&A,記事でこのイベントを伝える予定だ。

InfoQはOrzen氏にインタビューして,リーンITの採用に組織が期待するメリット,継続的改善を構築する上で新たな行動の適用と強化が不可欠な理由,IT組織にとってのコアワークシステムとワークプロセス,リーンIT移行を目指す組織に多い誤りとそれを防ぐ方法などを聞いた。

InfoQ: InfoQの読者に,リーンITについて簡単に説明して頂けますか?

Orzen: リーンITは情報やコミュニケーション,テクノロジに対するリーン思考の応用です。リーン思考とは,おもに継続的プロセス改善と人々への尊敬という,2つの中心的要素で構成されるリーンシステムのことです。リーンITが重視するのは,ITスタッフがITプロセスとテクノロジの組織的改善を通じて,顧客により多くの価値を提供できるようにすることです。リーンITはつまり,優れた行動を通じて,組織全体が素晴らしい結果を得ることを可能にする人々とテクノロジなのです。

InfoQ: 組織がリーンITへの移行を計画する場合,それに期待できるメリットはどのようなものなのでしょう?

Orzen: 今日の世界のビジネスは,その基盤となる情報の流れと同じ速さ,同じアジリティで動いています。リーンITで得られるメリットは,組織がオペレーショナルエクセレンスを高いレベルで実行するために不可欠なものです。それによって得られるメリットには,チームの有効性と生産性の改善,IT投資に対するリターン向上,優れたプロジェクトパフォーマンス(品質,ユーザ承認,提供する機能,提供期間,総所有コストなどの面で),関与と責任のレベルアップ,信頼度の向上,コミュニケーション,ビジネスやリクルートとのコラボレーションによるIT人材の確保,楽しさとやりがいのあるIT開発環境など,数多くあります。

InfoQ: 新たな行動を採用し,それを強化することが,よりよい方向への持続可能な変化を作り出す上で不可欠な理由について,詳しく説明して頂けますか?

Orzen: リーン(ITか,他のビジネス領域であるかに関わらず)に着手したほとんどの企業が,まず最初にツール(バリューストリームマッピング,A3,標準作業,5Sなど)を重視する傾向があります。しかしツールだけでは,私たちすべての考え方や毎日の行動の決定に深く根ざした習慣を変えることはできません。この種のパラダイムには,人々を“私たちのいつものやり方”に縛りつけることで,画期的改革はおろか,表層的ではない変化すべてを妨げる傾向があるからです。リーン転換の取り組みの95%が,定めた目標のはるか手前で挫折してしまうのは,こういった理由からなのです。

自分に対して行われる変化は誰も好みませんが,想像的なプロセスの一部であれば,ほとんどの人たちは積極的に参加してくれます。改善の可能性をテストするツールとサポートを私たちが提供して,改善サイクルからの反映と学習について指導した人たちが,毎日対処している障害の改善に心から取り組んでくれている時,私たちは素晴らしいエネルギーと興奮を覚えるのです。

自分ひとりで考えていたのでは,こうは行きません。“新たな行動方法考えるよりも,新たな考え方行動する方が易しい”という格言は誰でも知っています。私たちは行動の影響を受けやすく,それが行動を変える,ということなのです。

InfoQ: 講演ではリーンを志すIT組織のために,コアワークシステムやワークプロセスを取り上げる予定ということですが,その例をいくつか挙げて頂けますか?

Orzen: コアワークシステムは,透過性とコラボレーション,そして関係者やスーパバイザ,マネージャ,敬遠幹部の間の相互信頼を作り上げることで,人々に成功をもたらすものです。これらのシステムによって,人々に期待されている行動がどのようなものか,極めて明確になります。例えば,日々の目標と実際のパフォーマンスの比較を明確にする視覚化管理システムでは,チームが必要とするものと現在のあり方のギャップに注目します。自分たちが勝っているのか,負けているのかが分かれば,修正を実施し,利害関係者と協議し,援助を求め,自分たちのコントロールを越えた問題をエスカレーションすることが可能になります。

視覚化管理システムは,マネージャや幹部が一定の周期で,定期的に作業場所を訪れる環境や状況を構築します。作業をしている立場に立って彼らの課題を理解し,彼らを積極的にコーチし,サポートし,成長させるのです。

もうひとつの例として,問題解決システムがあります。私はよく,共通的な構造化された方法で問題解決する,というアプローチの欠如した企業と仕事をします。10人に問題解決方法を質問すると,最低でも10通り(時にはもっと!)の答が返ってくる,といった具合です。人々が確認し,定義し,理解し,分析し,実験し,最終的に複雑な問題を解決する方法に統一性がなければ,予想を立てたり,根拠のない信念や仮定に基づいた対策を実行したりすることになり,結果として事態を悪化させることも少なくありません!

問題を定義し,現在の状況を分析し,可能な解決策の定義とテストを行うための共通的アプローチが存在すれば,組織の社会的構造の変革が実現し,新たなレベルの関与と結果に向かうことが可能になります。PDCAやDMAIC,ケプナー-トリゴーなどはすべて,問題解決作業システムの一例ですが,本当に重要なのは形式やテンプレートではありません。同じ問題や改善のチャンスに出会ったものとして,チームのメンバが共有する言葉と行動なのです。

ワークプロセスは,作業を完遂するために採用されるべき方法であり,シーケンスであり,ステップです。ワークプロセスが定義されていなかったり,適用に一貫性がなければ,作業の実施に大きな労力が必要となり,製品やサービスの品質は極めて不安定なものになります。リーンITは品質を向上し,その結果として作業フローを拡大します。 これが実現すれば,自分に迫る問題が何であるかを,すばやく明確化できるようになります。リーンITの作業環境では,ワークプロセスは安定的で有意性があり,標準化されていると同時に,継続的に改善されるものでなくてはなりません。これは最終目的よりも,野望といった方がよいようなものです。誰かが言ったように,“フィニッシュラインはない”のですから。

InfoQ: リーンITへの転換を図る企業にありがちな過ちとは,どのようなものでしょうか?なぜそのようなミスを犯すのか,それを防ぐにはどうすればよいのか,詳しく説明して頂けますか?

Orzen: すでに述べたように,最も一般的な過ちは,意識をツールに集中し過ぎることです。成功する移行はいずれも,基本原則に基づいてワークシステムを通じて構築され,ツールを使って調整されています。もうひとつの間違いは,幹部やマネジメントの参画が,正しいタイミングで適切に行われないことです。リーダやマネージャ,スーパバイザなどはすべて,リーンITに移行する上で重要な役割を担っています。シーケンスやタイミングがとても大切なのですが,多くの組織がこれを逃しているのです。

3つ目に見落とされがちなのは,リーンを理解するのは簡単でも実現に成功するのは意外に難しい,という点です。情報とテクノロジの性質,機能的サイロの相互依存性,ビジネスとの共同作業,技術的な複雑性などが,さまざまなドメインに渡って,さまざまな課題を提示します。

製造やサプライチェーンといった領域でリーン導入に成功した組織を知っていますが,それらはいずれも,リーンITへの移行を開始しようとして行き詰まっています。その原因は移行の行動要素にある,と私は考えています。この点がこれほど顕著なものは,ITを除いて他にありません。テクノロジは本質的にツールを基本としたサイロであって,仕事は本質的に人を基本とした統合です。このふたつには,高いレベルのコミュニケーション,コラボレーション,そして信頼が必要なのです。

ITでは多くの組織がロードマップの必要性に気付きます。適切なことを適切な順序で,適切なタイミングで,適切なペースで行うためには,ロードマップが必要なのです。私たちの新刊の“The Lean IT Field Guide”は,このために書きました。すべての転換はその状況をベースとしています。ですから,そのための組織の足取りは,それぞれユニークなものになります – インフラストラクチャのアーキテクチャ,テクノロジスタック,コンフィギュレーションがユニークですから! その一方で,私たちがこれまで確認したリーンIT移行の成功例では,すべてに共通する要素も存在しています。

InfoQ: リーンITについてもっと学びたいと思う場合,何を見ればよいでしょうか?

Orzen: お勧めできるリソースが5つあります。

  1. 私たちの最初の著書である“Lean IT: Enabling and Sustaining Your Lean Transformation”では,リーンITの原則や基本的な考え方を紹介しています。
  2. 次の著書“The Lean IT Field Guide”(2015年11月出版予定,現在は予約受付中)では,ワークシステムのロードマップについて議論しています。
  3. 私のWebサイトmikeorzen.comにも情報やリソースがあります。
  4. 私のTwitterフィード@mikeorzenもチェックしてください(リーンITやリーン,関連するトピックを取り上げています)。
  5. Lean IT Associationのサイトも見てください。Lean IT Associationは,リーンITプラクティスの高度な標準のサポートを目標とした,国際的な非営利団体です。 情報開示 – 私は先日,彼らのカリキュラムアドバイザリボードに任命されました。

最後に,私への連絡はmike@mikeorzen.comで可能です。

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