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Vodafone Turkeyにおける大規模アジャイル導入事例

| 作者: Ben Linders フォローする 27 人のフォロワー , 翻訳者 吉田 英人 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2015年11月1日. 推定読書時間: 6 分 |

原文(投稿日:2015/10/01)へのリンク

Agile Greece Summit 2015で,Erhan Köseoğlu氏が,Vodefone Turkeyでのアジャイルスケーリングに関するケーススタディのプレゼンテーションを行った。InfoQは氏にインタビューして,Vodafoneがアジャイル導入を決定した理由,アジャイルに抵抗のある状況への対処方法,アジャイル転向とユーザとの関係,Cレベル幹部へのアドバイスなどを聞いた。

InfoQ: Vordafone Turkeyでアジャイル導入を決定した理由について,詳しく説明して頂けますか?

Erhan Köseoğlu: Vodafone Turkeyはトルコ第2位のモバイル通信企業で,2,040万人の加入者にサービスを提供しています。トルコの通信業界の競争は熾烈で,T2M(Time to Market)は極めて重要です。Vodafone TRとしても,加入者に最高のエクスペリエンスと最高のサービスを高い品質で提供し,競争の中で素早く行動するためのイノベーションを必要としています。そのためにVodafone TRのIT部門では,T2Mの短縮と品質向上を通じてビジネス上の競争優位性を提供するために,アジャイル転向の取り組みを始めました。当社の社員にフォーカスして,効率性と運用の面での卓越性を実現し,積極的に行動することによって顧客満足を創造するべく,ビジネスをサポートしていくことが活動の目標です。その結果として,Vodafone TRはトルコのデジタル転換を喚起するとともに,それをリードし続けているのです。

InfoQ: アジャイルに対して,反発を受けるような状況があったと思いますが,それにはどのように対処しましたか?

Erhan Köseoğlu: 規模が大きく,十分に機能する構造を持った企業ならば,変化に対する抵抗は避けられません。しかし,それは悪いことではないのです。抵抗は新たな挑戦を行うためのチャンスなのですから。私たちがアジャイル移行のパイロットステージに着手した時点で,反発があることは想像していました。ですから,大きな成果を出来るだけ早く獲得する努力をしたのです。当初パイロットチームで作業している時,私たちは,スクラムフレームワークを非常に厳密に適用すると同時に,透明性とチームワークの確立に努めていました。これが功を奏して,移行作業の最初の3ヶ月が終わる頃には,最終的に3倍の生産性を実現することができたのです。期間中にパイロットチームは,数百万というコストの削減と,真に満足のいくカスタマエクスペリエンスを実現しました。

このように重要な成果を短期間であげることが,変革に納得してもらう上では有効です。事実,このような結果が出た後は,皆を納得させるための努力は必要なくなりました。結果が関心と賛同を自然に作り上げたのです。もっとも,アジャイル移行を全社規模に展開するには,ひとつだけのサクセスストーリでは不十分です。ですから私たちは,アジャイル導入後の変革について,メンバや内部ユーザ,マネージャといった人たちと対話を続けました。彼らの持つ不安について話し合い,可能な限りのサポートを得られるように努力したのです。

つまり基本的には,早い段階で成功を収めて,コミュニケーションを十分に管理しさえすれば,反発そのものは大した問題ではないのです。また,社内において役員レベルのサポートを受けることも重要です。先見性を持った少数チームによる高いレベルのサポートや,導入への意欲がないならば,第一歩を踏み出すことさえおぼつきません。

InfoQ: アジャイルをサポートする文化を確立するためには,どのようなことを行ったのでしょうか?

Erhan Köseoğlu: 本当にたくさんのことをしました。まず第一に,移行期間全体を通じて,プロのコーチやコンサルタントのサポートを受けながらの社員教育を実施しています。その中では,アジャイルは単に新しいプロセスであるだけでなく,仕事を行う新しい方法,新しい文化であることを特に強く訴えました。教育への投資を通じて,社員が変革の全体像を確認し,私たちがどこへ向かっているのかを理解した上で,現在がその一部であることを納得してもらったのです。

そのようにして,6ヶ月間で8つのアジャイルチームを軌道に乗せることができた後に,新たに自律的な組織単位の設立を決定して,それを実施に移しました。アジャルソリューション(Agile Solution)と呼ばれるその自律型ユニットは,IT部門に所属しています。アジャイルチームが存在して,アジャイル管理の考え方を実践しているのはIT部門だけなのです。これは社内において,アジャイル文化を育てるための安全で保護された領域となります。それが後には,変革のエージェントとして,アジャイルのメッセージを全社的に広める活動を始めるのです。

もう少し例をあげるならば,スクラムマスタを育成するために始めた向上プログラムや,全社の変革エージェントとして社内コーチを含めて組織されたアジャイルスタジオ(Agile Studio),新しいアジャイルやソフトスキルを学ぶトレーニングへの投資,大学やアジャイルコミュニティとの共同作業,といったものがあります。

そして最後に,幹部層による強力なサポート,あるいは今回の文化的な変革を多くの面で支援してくれた人事部門についても述べておきたいと思います。文化の変革はすべて社員に対してのものですから,私たちの場合のような,HRの人たちからの積極的なサポートを期待できるでしょう。

InfoQ: アジャイル移行においてユーザとはどのような関係を持ったのか,例をあげて頂けますか?

Erhan Köseoğlu: ユーザは計画の立案や成果の提供などで,これまでも全スプリントに関与していますし,一緒に作業もしています。ユーザの参加は,時々行うものとして計画していたのでは意味がありません。継続することが必要なのです。ユーザ参画の下でチームを編成して,彼らの関与の有無を気にしなくて済むようにしなくてはなりません。

私たちはスプリントを通じて,ユーザとは親しくしています。また,定期的に集まって彼らのビジネスニーズや今後の中期経営計画を確認することで,共同作業の方法の改善やコミュニケーション強化を図っています。 具体的には日常作業の廃止や代替方法を検討することや,ミーティングなどで高いレベルのレトロスペクティブや戦略的な意識合わせを行うことなどが,双方にとって,毎回のミーティングをより明確に,真剣なものにする上で大きな効果があります。

同時に私たちは,ユーザに対して,外部のコーチによる対面形式での調査を定期的に実施して,彼らの理解や考え方を確認するとともに,共同作業の方法についての提案を行っています。ここでは主として,私たちの生産性のレベルや商品化能力,応答性,品質,可視性レベル,コミュニケーションレベル,ビジネスとの整合性といったものを探っています。このような外部調査の結果も,ユーザとの関係を強化し,私たちの提供する価値を向上する上で非常に役立っています。

InfoQ: Cレベル幹部に対しては,何かアドバイスがありますか?

Erhan Köseoğlu: アジャイルがプロセスのひとつであるという誤解をしないで欲しいと思います。アジャイルはそれ以上の,文化や人々に対するものなのです。プロセスのメカニズムを導入するのは容易な部分であって,問題はその後,文化的な部分に現れます。その点を過小評価せず,プロフェッショナルのサポートを受けて,社員を中心に,彼らの成長に対して投資してください。幹部として私たちがするべきなのは,社員が協力し,共に成長し,幸福になり,素晴らしい成果をあげられるような環境を作り上げることです。そうすれば,結果がすべてを語ります。何の心配もありません。一言で言うなら,“アジャイルであれ,リーンであれ”,ということです。

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