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Dropboxが一部APIを非推奨化,ユーザコラボレーション優先へ

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原文(投稿日:2015/11/01)へのリンク

DropboxのSync APIとDatastore APIのサポートが10月23日で終了した。これらAPIについては,いずれも今年4月のブログ記事で,Dropbox Core API v2のプレビューに合わせて非推奨となることが発表されていた。従ってDropboxとしては,サポート終了までに6ヶ月,2016年4月のエンドポイント停止までには12ヶ月の猶予を提供したことになる。

Datastore APIでは連絡先(contact)やToDoリスト,アプリケーション状態などの構造データをDropboxに保存することができた。このAPIを非推奨とする理由として同社は,利用者が少ないことをあげている。開発者の利用が少ないということは,同社にとって,APIサポートのコストと労力を正当化できないという意味になる。DropboxではDatastore APIユーザに対して,代替案を同社に直接問い合わせるように呼びかけている,このような行動そのものが,影響を受ける開発者数がそれほど多くないことの証拠だろう。オープンソースアプリケーションrcloneの中心的コントリビュータのひとりであるNick Craig-Wood氏は,いくつかの選択肢を提案したDropbox Supportとの会話の中に,ParseFiebaseなどの代替データストアへの転向も含まれていたことを報告している

Datastore APIより人気のあったSync APIが非推奨となることについては,さまざまな反応がある。Filepickerサイトのブログ記事は非推奨化を歓迎するとして,SyncAPIとSDKが“Syncを選択した時もそうでない時も,何度も(誤った)コアを選択する点が開発者の頭痛の種になっていた”,と述べている。このような意見がDropboxにとって非推奨化とともに,Core API v2の一部である“単一かつ包括的なSDK”に望まれる機能をすべて提供するという目標の,最初の動機になっている。

Syncに対する同社の行動の理由として2番目に強調されているのは,ファイルの同期と競合検出という複雑な問題に対して,”ワンサイズですべてに適合する”ソリューションを提供することの難しさだ。同社の発表によると,SyncAPIの実装は“複雑であったため,開発チームはいくつかのトレードオフを余儀なくされた。それが開発者のニーズをすべて満たすことを難しくしていた”のだという。ニュースに対する否定的な反応も,これが根拠となっている。 しかし開発者が必ずしも,自分で同期処理ロジックを記述することを望んでいるとは限らない。実際にいくつかのオンラインフォーラムでは,Core APIの同期サポートに関する失望や混乱も生じている。

このようなAPI変更という技術的詳細より上のレベルでも,Dropboxの全体的戦略において進行中の新たな動きがある。Dropboxは今年3月から,Dropbox Paperと呼ばれている共同編集者を対象としたプライベートベータプログラムを実施しているTech Insiderなどの早期レビュアはPaperについて,マルチユーザによるリアルタイムのコラボレーションと同期,コメント,マルチメディアコンテンツをサポートする,ミニマリストな文書エディタであると評している。この製品によってDropboxは,Google DocsやMicrosoft Office 365に真っ向勝負を挑むことになるだろう,と多くのレビュアは指摘する。

今月初めにDropboxは,Adobe Acrobat内部からDropboxファイルにアクセス可能にする,Adobeとのパートナシップを発表した。将来的な機能としては,開発者よりも一般ユーザを対象とした新たなコラボレーションプラットフォームを中心として,iOSアノテーションやDropboxに格納されたPDFへのコメントなどを加えていく計画だ。

Steve Nellis氏が“The Information”(有料サイト)に,Sync APIの非推奨化と最新のユーザコラボレーション開発を結び付けた記事を執筆している。氏はDropboxが,サードパーティのアプリのサポートから,ユーザを自身のアプリに囲い込むことを目的とした機能に,その軸足を移行しようとしていると見ている。“Dropbixには,プラットフォームの垣根を越えたストレージとデータベースの同期ユーティリティになるという,ユニークな機会がありました – それがユーザにとって,最も便利な機能だったのです。” しかし同社は,その路線を追求しないことに決めたのだ。

Dropboxの将来がどのようなものになるのかは,時が経てば分かるだろう。差し当たって,SyncAPCユーザはサポートを失って,現在はまだ“プレビュー”状態のCore API v2を待つことになる。

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