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アジャイルはなぜアジアで普及しないか

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原文(投稿日:2016/06/24)へのリンク

アジャイルがアジアで普及しないのはなぜかということが近年,議論の的になっている。プロフェッショナルスクラムトレーナのJoshua Partogi氏は先日,Scrum does not work in Asia”という記事を書いた。その中で氏は,アジアの銀行の中でアジリティに全力で取り組んでいるものはほとんどない,と主張する。

Partogi氏はスクラムやアジリティがアジアで普及しない理由を説明している。スクラムがアジアで完全に機能しない大きな理由として,氏は,アジアの人々が階層的な組織構造と,その中で自身の位置や行動習慣/ルールが明確であることに慣れているからだ,と指摘する。

何をすべきかを人に言われて,何をすべきかを人に伝えたいのです。階層的なシステムが機能するには,それが必要だからです。

アジアの人々は仲間との調和を維持するために,対立を避けようとする。これがアジアのアジャイルチームのスプリント計画,スプリントレビュー,スプリントレトロスペクティブなど,毎日の作業に影響している。氏が言うには,彼らは間違いを犯しても安全な環境に慣れていないため,自分自身の意見を遠慮する傾向があるのだ。

Goodwill Group FoundationのCTOであるClaudio Caballero氏は,自身のブログ記事“Agile adoption in Asia faces tough obstacles”で,アジア文化の中で真実を伝えることの難しさについて言及している。

アジャイルでは,財布の紐を握る人たちに対して,不都合な事実を伝えられることが必要になります。アジャイルテクニックが開発された西洋に比較して,服従や尊敬,“顔を立てる”ことを重視するアジアの文化では,これが決定的に困難なのです。

スクラム開発者のひとりであり,scrum.org代表者のKen Schwaber氏は,自身のブログの中で,スクラムの思想を中国で普及させる上での文化の壁について述べている。予測可能性を期待する人たちは,アジャイル環境において問題に直面することになる,と氏は言う。

文化的に予測可能性に親しんでいる人たちは,将来は予測できると信じようとします。そのため彼らは,人々やリソースに対して,その予測を実現するように求めます。一方でスクラムの利用者たちは,ソフトウェア開発が扱うような複雑で創造的なシステムでは,予測は不可能であることを知っています。その結果は,劣悪なソフトウェア,守れないスケジュール,資金の浪費,開発者のモチベーション低下という,悲惨なものになるのです。

Partogi氏は,アジアの教育システムも開発環境における人々の思考や行動に影響を与えている,と言う。

アジアの教育システムは総じて評価や順位を重んじており,アジャイルに必要な実験や自己発見,誤りを犯すことなどは重視されていません。

アジアではアウトソーシングモデルが普及しているため,多くの企業が開発コスト圧縮を目的としてアジャイルを採用している。しかしアジリティには優秀なメンバが必要であり,そういった人々の賃金は総じて低くない,と氏は指摘する。アジャイルへの移行によってコストが削減できると考える限り,ここアジアではスクラムは普及しないだろう。

 
 

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