組織上の肩書きや背景に関わらず、経験を能力のある人の多様なアイディアや観点、経験を活用するのは組織の実力を上げることだ、とコンサルタントのShaheen Akram氏は主張する。ビジネスの目的を達し、社会的責任のある組織に見られるために多様性と包摂性がなぜ重要なのか、何人かの識者が指摘している。
"What We’re Doing To Keep Building A Diverse Editorial Operation"と題したブログ記事でBuzzfeedの編集長であるBen Smith氏は多様性を以下のように定義している。
十分な人数が集まったグループの中に、民族や性差、性的指向、宗教、性同一性、社会経済的背景、障害などについて、そのグループの視点を代表する人を必要としない状態です。
QCon New York 2016ではBuzzFeedのエンジニアリングディレクターであるSwati Vauthrin氏が多様性について話した。氏によればBuzzfeedでは多様性を確保することは倫理的な義務だ。
テクノロジーに興味があり、ハードワークを厭わず、学習し、製品を作り提供するという意志がある人であれば、だれでも同じ機会にアクセスできるべきです。
また、このような実践にはビジネス上の役割もある、という。優秀なエンジニアを見つけるのは難しいのだ。
組織の多様性についてのインタビューで、Silicon Valley BankのバイスプレジデントであるRegina Chien氏は次のようにいう。
組織の上級幹部は行動と物語を通じてなぜビジネスの目的を達する上で多様性が大事なのかを語ることで組織を方向付けます。これは簡単なことではありませんが、ビジネスの目的を明確にして多様性と包摂性が成功への戦略へ適合するということを示すのは重要です。多様性と包摂性は、独立した動きではないのです。
AtlassianのSven Peters氏はコーディング文化についての記事でより良い製品を開発する文化を確立するためになぜ多様性が重要なのかについて説明している。
ある種のステレオタイプにはまった人だけを採用するべきではありません。たくさんのプログラマーが必要ではなく、自分のバディを採用したいときに、このようなことになってしまうかもしれません。文化と生産性は多様性と共に成長します。新しい影響力の持ち主によって活気づけなければ文化は死にます。女性、異なる年代の人、異なる背景の人、様々な教育と就業経験の人を採用しまし、彼らを歓迎しましょう。
Akram氏はSpark the Change London 2016で多様性と包摂性を促進することについて話す予定だ。InfoQは氏にインタビューして多様性と包摂性を促進するためのリーダーの役割や包摂的な環境を作るために組織ができること、多様性と包摂性が互いをどのように強めあうか、多様性と包摂性を支援する戦略によって企業が得られる利点について話を聞いた。
InfoQ: 多様性と包摂性を促進するためのリーダーの役割とは何でしょうか。
Shaheen Akram: 肩書きのあるリーダーもないリーダーも多様性と包摂性のための雰囲気、ビジョンを作り実践するための素晴らしい機会を持っています。リーダーの目的は、ビジネスの目的に従いつつ、多様性と包摂性という言葉を日々のやりとりの中に組み込んでいくことです。私の経験では、この役割がほとんどです。何を言ったかではなく何をしたかが重要です。内部と外部の環境の変化を知り、この変化が組織の思考や革新、行動にどのような影響を与えるのかを理解するのはまずはリーダーからです。強烈な個人的物語と"発見"の瞬間を共有するのは強力なインセンティブになります。
さらに、"娘が入って成長できるような場所を職場に作りたい、息子には可能なすべての機会にアクセスできるようになってほしい"というような実際の例を共有することは、皆人間であり、変わり続ける環境に対応することはビジネス上生き残るためだけではなくに必要なのではなく、元気にやっていくためにも必要なのだということを示します。組織が変化を確実にするには、進捗の計測も大事です。誰もが"測定できれば、実行できる"という言葉を聞いたことがあるでしょう。進捗は定期的にレビューされるべきであり、組織に広く公表され、良い仕事、優れた個人は知らしめられるべきです。
InfoQ: 誰もが同じ機会にアクセスできるようにするため、包摂的な環境を作るために組織は何ができるでしょうか。
Akram: 組織がより包摂的な環境を作りための試みには、多くの実例があります。銀の弾丸はありませんが、私の経験では、包摂的な環境を作るだけではなく実際に包摂性を感じるためにはマネージャと従業員の関係が重要です。従業員は事情通であり、ママネージャが本当に自分たちのことを理解しているかを知っており、いつ心を開いて話せばよいのかを知っています。従業員は企業を去るのではなくマネージャの元を去る、とはよく言われることです。従って、マネージャを優れたマネージャに仕立てるのが重要であり、私の経験ではこれが第一歩です。従業員とより良い関係を築き、信頼し、育て、潜在的なバイアスやステレオタイプに注意するようにマネージャを促すことでマネージャの経験も従業員の経験も強化されます。雇用、コミットそして目的達成という観点でよい結果をもたらすでしょう。加えて、方針や手続き、仕事は"包摂的な視点"からレビューされることを保証することで従業員を意図せずに排除しないようにするのも必要なステップです。
InfoQ: 多様性と包摂性は互いにどのように補強しあうのでしょうか。
Akram: リーダーが"私たちは多様性のある組織です"と発言するのをよく聞きます。しかし、職場を見てみると同じような人々が集まっています。年齢層や仕事の経験という観点からです。私の経験ではこれは職場の思考や意思決定に大きな影響を与えます。では上級幹部チームはどうでしょうか。多様で包摂的でしょうか。私はまだやるべきことがたくさんあると思います。大きな機会が残っているということです。
優れた組織は能力のある人の多様なアイディアや視点、経験を組織構造に関わらず取り上げます。このような企業には"多様性"を持ち込む余地も排除する余地もありません。考える必要がないのです。目的は人々が十分に生きるようにし、貢献できるように、価値が生み出せるようにすることなのです。
InfoQ: 多様性がチームの協力を改善した例を教えてください。
Akram: さまざまな経験を持つ異なる人たちは自動的にチームに多様な意見と働き方をもたらしてくれます。アイディアが生まれる場所でこの動きは有効に働きます。アイディアの発散は衝突を生み出すこともあります。正しい方法で管理できなければ混沌としてしまうかもしれません。
私の考えでは、多様性のあるチームが効果的に協力するためにはいくつかのステップがあります。
- チームが足並みを揃えて中核にある目的と働き方に合意することが大事。
- 全員がまとまるためには協力なスチュワートシップ、あるいはマネジメントが必要。
- アイディア、議論、アイディアの試験、先に進むための合意について、条件を作っておくこと。
- 破壊することを促す。私の経験では、思考に挑戦することは重要です。考えていることを話すのは重要であり、チームの成果を強力にします。
InfoQ: 多様性と包摂性を支援する戦略を持つ企業にはどのような恩恵があるのでしょうか。
Akram: 多様性と包摂性の力を示す研究はたくさんあります。世界中の大企業から小さな企業まで、この力を強化しています。組織にとっての問題は、この領域で流れに従うか、競い合うか、流れを作り出すかです。
人口動態の変化、激しい競争、新しい市場に新興市場、顧客需要の変化、優秀な人の野心の中で、組織は顧客、人々、コミュニティとよりよく結びつく方法を探さなければなりません、技術革新もコラボレーションも労働のパートナーシップも重要な要素です。顧客と従業員に最高の結果をもたらすには、企業は差異を強化し、異なるやり方を実践し、計算できるリスクを負う必要があります。こうすることで組織のボトムラインが上がり、顧客にも従業員にも成果を提供し、コミュニティの中で責任あるビジネスをしていると見られるようになります。
Spark the Change London 2016は7月6日から7日に開催される。このカンファレンスにはリーダーたちが集まり、持続的で包括的な変化を生み出す働き方について探る。障害を取り除き、変化を生み出す技術に関する実践的な支援を提供し人々を啓発するのが目的だ。InfoQはセッションを録画し、取材をする予定。
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