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大規模な組織にアジャイルを導入するには

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原文(投稿日:2016/05/19)へのリンク

GlobalLogicでデリバリマネージャを務めるYuriy Koziy氏がAgile Eastern Europe 2016カンファレンスで講演し,組織の変革は上層部からではなく,チームのレベルから始めるべきだと主張した。

“真の変革は低いレベルからトップへと向かうべきだと,私は信じています。” と氏は言う。“影響力と積極性を持つ人たちが注目を集めれば,その企業には遠からず変革の時が訪れます。”

経営者の“トップダウン”アプローチで行われる変革がプロジェクトチームに影響を与えることは,実際にはほとんどない,とKoziy氏は言う。チームは製品開発を通じてクライアントと毎日対峙しているのだから,変革が起こるのはチームのレベルであって当然なのだ。

Koziy氏はキエフにあるGlobalLogicのオフィス内で,同じような考えを持つ技術マネージャとアジャイルコーチを集めて,(トップダウンで命令される変革に対して)プッシュ戦略よりプル戦略で対抗するため,Agile Geeksというグループを結成した。彼らは変革のエージェントとして行動し,組織を内側から変えていく。Agile Geeksはいわば,GlobalLogicの中のスタートアップ企業なのだ。

ボトムアップでのアジャイル活動を始める前に,Koziy氏はGlobalLogicのデリバリ担当VPと話をした。そのVPはアジャイル転換について,自分の課題ではないとする一方で,どのようにして達成されるものなのか,どのようなメリットがあるのかを詳しく知りたい,と言った。

Koziy氏がAgile Geeksの目的を説明すると,VPは氏に,自分は何を行なう必要があるのかを尋ねた。そこで氏は,中間管理職を対象とした講演を計画していること,幹部のサポートが必要であることを彼に話した。

経営層とのミーティングを準備する時,Koziy氏は,チームの満足度やユーザニーズの問題といった,経営側を突くべき点を前もって考えておくように勧めている。

このような具体的な問題を取り上げたことは,Koziy氏が経営陣にアジャイル採用を納得させる上で非常に有効だった(事前に用意すべきだという理由もここにある)。経営側から指摘された問題点は,製品の品質や生産性,市場投入時間といったものだった。

中間管理職に対しては,チームの(そして中間管理層の)業務支援が目的であることを説明した。ここでは,実行したいことをマネージャにプッシュするのではなく,プル戦略を活用し,何をすべきかの選択肢を提示して,それらがどのように実施されるのかを説明した上で,チームに対してトライする余地を与えてくれるように要求した。

氏はイニシアティブの手始めとしてワークショップを開催し,チームが打ち解けて団結するための1時間のゲームと,2時間のレトロスペクティブを行なった。ここでチームは多くのことを学んだ – レトロスペクティブが終わって部屋から出る時,彼らは,さまざまなアクションを試してみたいと強く願うようになっていた。

Agile Geeksは6ヶ月前,ボランティアチームへのスクラムトレーニングの提供を通じてGlobalLogicにアジャイル哲学を注入する,時間外の活動として開始された。メンバは現在8人で,ソフトウェア開発以外のものを含む16チームを指導している。チームのひとつは人事(HR)担当者で構成されている。このHRチームがアジャイルの効果を人々に伝えることで,Agile Geeksのエバンジェリストの役割を果たしている。

ワークショップの提供とは別に,Agile Geeksでは,アジャイルプロセスやツールに関するコンサルタント,リリースレトロスペクティブや製品戦略セッションなどのミーティング支援,顧客とのコラボレーション改善を目的としたマネージャやチームのコーチングなどを行なっている。Agile Geeksに社内ワークショップを要請している顧客もある。

Agile Geeksの活動成果は次のようなものだ。

  • ワークショップと社内のアジャイルコーチングを通じて,GlobalLogicに開放感が生まれたこと。マネージャが変革に対して,より積極的になった。
  • スクラムマスタの数が増えたこと。これまで同社ではマネージャが担当していた作業に,スクラムマスタが関与するようになった。
  • アジャイルコーチの潜在的価値が顧客に認められたこと。アジャイルコーチに対して顧客から,プロジェクトの運営だけでなく,製品の品質や市場投入時間,製品提供の予測可能性などの改善支援が求められるようになった。
  • Agile Geeksの活動がGlobalLogicの他のエンジニアリングセンタに拡大したこと。その中には,新たに買収した企業も含まれている。

“長期的な成功を考えるならば,ボトムアップで始めなくてはなりません。”,とKoziy氏は言う。“しかし,このような活動を行なうには,企業としてのゴーサインと経営層の支援が不可欠です。” もしマネージャが,自らの部門が参画することに疑念を持っているならば,上層部が承認していることを伝えればよい。“大抵の場合は,これでうまく行きます。”

講演を終えたKoziy氏に,Agile Geeksが成功した理由を尋ねてみた。

  • 経営トップのサポート。トップからのゴーサインがなければ,どのような組織変革も実現しない。キエフのGlobalLogicの場合,経営トップはチームの活動を積極的に支援している。この活動がエンジニアの関与に対して,そしてその結果がサービス品質やユーザの満足度に対して,いかに影響を与えるものであるかを理解しているからだ。
  • 中間管理層とそのチームへのプル戦略の活用。 Agile Geeksのコンサルタントたちは,ランチ時に気軽な会話を交わしたり,時にはコーヒーブレークで始まるような1時間程度のコーチングセッションをカンファレンスルームで開催するなどして,中間管理層にアプローチした。コンサルタントたちの素直な好奇心やスマートな疑問が,マネージャ側の興味深い洞察を引き出したことが,結果的に彼らチームにとってのアジャイルトレーニングになった。

講演に参加したひとりがKoziy氏に,レトロスペクティブを含むワークショップをチームに承諾させた方法と,それによって実現したメリットについて質問した。氏の答は,同意を得るために特別な努力をしたのではなく,単にその面白さを伝えてチームを誘っただけだ,というものだった。徹底したレトロスペクティブによっていかに多くを学ぶことができるのかは,実際にやってみなければ理解できないものだ,と氏は述べている。レトロスペクティブは,本当の問題が何かを明らかにする。レトロスペクティブを終えたチームが,自分たちの望む活動について決定した時,氏はその価値について彼らと議論をした。

 
 

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