先日リリースされたBitKeeper 7.3ceには,Gitリポジトリの高速インポートやタグの削除といった新機能の他,いくつかの既存機能の変更が含まれている。
Gitからのインポートには制限がいくつかあるため,まだ開発途上の機能と理解するべきだ,とBitKeeperの開発者であるWayne Scott氏は述べている。具体的には,サブモジュールを含むGitリポジトリはインポートできない,git fast-export
で移動検出を行うオプションである-M
がサポートされていない,2つ以上の親を持つようなオクトパスマージがサポートされない,といったものだ。
BitKeeper 7.3ceで新設されたbk untag
コマンドは,これまで不可能だったタグの削除を可能にする。BitKeeperのタグはバージョン管理されており,タグを別のチェンジセットにアサインするタグ移動や,タグの削除といった変更履歴はリポジトリに格納される。これに関連してbk changes -t
が,現在タグ付けされているチェンジセットのみを表示するように修正されている。その代わりとしてbk changes -tt
を使用すれば,移動や削除されたものを含む,タグ付けされたすべてのチェンジセットを表示することが可能だ。
またBitKeeper 7.3では,GNUのdiff
やpatch
,zlib,pcre,,lz4ライブラリなどのOSSプログラムのバンドルが廃止されている。これらのバイナリはすべて,実行時のシステムにすでに存在しているという前提だ。例外はWindowsのdiff
プログラムで,システムにGNU diffが存在しない場合に使用されるGNU diff 2.8.7が組み込まれている。
BitKeeper 7.3では,いくつかのバグフィックスやパフォーマンスの向上も行われている。例えばbk fast-export
が高速化され,大規模なリポジトリの処理速度が数桁のオーダで向上した。また,シンボリックリンクの並行的な削除に関するpull
の動作が修正されている。
BitKeeper 7.3ceはオープンソースのBitKeeperとして,2016年5月にApache Licenseバージョン2のオープンソースとして始めてリリースされたバージョン7.2ceに続く,2番目のリリースになる。GitHubにミラーリングされているソースコードは,BitKeeper自身の開発でも実際に使用されている。
BitKeeperは2002年から,コミュニティへの無償提供を停止した2005年まで,Linuxの公式なバージョン管理ツールとして使用されていた。この決定が,現在のLinuxカーネルのソースコード管理ツールであるGitプロジェクトをローンチする動機にもなっている。
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