Agile on the Beach 2016カンファレンスで、Elizabeth Pope氏は”10%タイムの賛否”について講演し、Googleの’20%タイム’で知られているようなR&Dや学習に費やすというコンセプトを履行した自身の経験を話した。
Holiday ExtrasのWebチームリードであるPope氏は、’10%タイム’とは、週労働の中で本質的に割り当てられた時間のことで、’いつもの仕事(BAU - businnes as usual)’ではなく、研究開発や学習、専門能力開発にフォーカスを当てるものである、という説明で講演を始めた。典型的なUKベースの週労働からすると、週のうち4時間(半日)をこれらの活動に充てられる。
Pope氏はHoliday Extrasで’Project Lounge’と呼ばれている10%タイムの実施を省みて、その時間で行われた実験の結果として生まれたモバイルアプリを紹介した。ユーザが次の休みの詳細を提供することができ、それによりカウントダウンがスクリーンに表示されるというものだ。現在までこのアプリは10万ダウンロードを超え、専任の開発者がプロジェクトに配属されている。10%タイムで行われたプロジェクトの全てが成果を出しているわけではないが、ゴールは組織の革新に役立つスキル、知識を開発すること、そして個々人のプロ級な開発を促進することである。
Pope氏は10%タイムであることの利点を説明した。個々人の開発、専門的技術の開発や新しい学び。会社のイノベーションを駆り立てられる実験的な活動。BAUでは正当化されないであろうが、開発者がタスクの自動化に時間を充てたことで上昇した効率性。複数のチームの人々がたびたびプロジェクトに取り組むようになることで増えたコラボレーション。人々が自分の仕事を選択、計画、優先順位付けをしなければならないことで上昇したエンゲージメントと’自己組織’スキルの開発。そして優先度が高いものとされないが開発チームをイラつかせる、バグの修正と技術的負債の解決。
10%タイムの難点は:初めに何に取り組むかの選択肢が多すぎて混乱する。賛同を得ること、価値を測ること(そして上級幹部へ正当性を見せること)が難しい。優先度の高い問題の発生により10%タイムを中止する。当たり前のように時間を使い、初めのときほど学ばなくなる。開発チームだけ(例えばテスターやプロジェクトマネージャではなく)が参加できるということがよく見られ、組織内に亀裂が生じる。10%タイムは、求められているようなスキル開発を継続するにはペースが遅いと感じる。
Pope氏は、10%タイムを最大限に活かすために次のようなアプローチや策が重要であると講じた。
- 設立を手伝い、トピック/仕事を提案し、参加をサポートすることで始める障壁を減らす
- 非開発チームをサポートし、参加を促す
- コラボレーションを促し、自分が必要とされていると感じさせる - 全員がこのときに何をすべきかわかっているのはではない
- 全ての開発チームを巻き込み、アイデアと複数チームのプロジェクトが交わることを促す
- 価値を明確にし(例えば新しい学び、バグ修正、実現した自動化)、悪いプロジェクトから学ぶ
- ビジネスと個人のニーズのバランスを取る
- もし10%タイムを中止しなければならないときは、理由(やモチベーション)をはっきり伝える
- 10%タイムを定期的に割り当てられるよう努力する
Pope氏は、困難はあるけども、10%タイムは個人にとっても、関連組織にとっても高い効果があると信じていると述べて講演を締めくくった。ビジネスの多くがそうであるように、リスクはあるが、それを認識し、考察し、軽減しなければならない。開発チームからのフィードバックは圧倒的にポジティブなものとなっている。
’Agile on the Beach’の追加情報はカンファレンスウェブサイトやTwitterハッシュタグの’agileotb’で参照できる。カンファレンスの講演ビデオはAgile on the BeachのYouTubeチャンネルに上がる予定である。
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