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レトロスペクティブを越える継続的改善

| 作者: Ben Linders フォローする 27 人のフォロワー , 翻訳者 吉田 英人 フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2016年11月15日. 推定読書時間: 5 分 |

原文(投稿日:2016/09/29)へのリンク

継続的改善(continuous improvement)を望むならば,まずはレトロスペクティブから始める方法もあるが,マネジメントの変革や文化の改革,イノベーションによって,さらに先に進まなければならない — アジャイルとリーンのコーチでコンサルタント,トレーナでもあるAngel Medinilla氏はこう主張する。氏はAgile Greece Summit 2016で,レトロスペクティブをさらに越えた継続的改善について講演している。

レトロスペクティブはアジャイルチームの改善に有効だが,時には立ち行かず,期待した結果が得られないこともある,とMedinilla氏は言う。同じ問題が何度も挙げられたり,問題を解決するためのソリューションの検討というよりも,問題に対する不満や泣き言を言う場になってしまうことがあるのだ。

Medinilla氏はさらに,レトロスペクティブが失敗する理由や,どのようにすれば改善することができるかについても説明している。氏によれば,最初から問題が始まっていることが少なくない — 例えば参加者がレトロスペクティブの準備をしていなかったり,ミーティングに出席しなかったり,あるいは議題をハイジャックして,自分たちが重要と思うことだけを議論したりするような場合だ。その他にも,アクションが多過ぎる,実行されないなどの理由によって,レトロスペクティブは失敗する。アクションを実行しても問題が解決されないような場合,氏が提案するのは,可能性のある別のアクションを試してみることだ。

アクションには十分に具体的な計画が必要だ。Medinilla氏はその例として,頻繁な中断のために目標を達成できなかったチームのレトロスペクティブを挙げている。“作業に集中する”というアクション定義では役に立たない,と氏は言う。アクションが不明確で,何をするのか分からないからだ。カラフルな安全ジャケットを購入して,中断されたくない場合はそれを着る,というアクションならばより有効だろう。さらに具体的にするのであれば,8人構成のチームに6着のジャケットが必要である,と述べてもよい — 少なくとも2人が割り込み作業を受け入れることで,他のチームメンバの作業が邪魔されなくなる。ジャケットを2日以上着用してはならない,という付加的なルールを定義してもよいだろう。また,例えばスタンドアップミーティングでジャケットの受け渡しを行なうようにしておけば,誰が着るのかをチームで決定することができる。アクションを明確にすることで実施の可能性を高めることができる,とMedinilla氏は主張する。

レトロスペクティブだけが改善のためのアプローチではない — 他にも多くのものがある。Medinilla氏は普及学(diffusion of innovations)や変革パターン(change patterns),リーン変革(lean change),トヨタ式のカタとカイゼンなどについて言及している。変革を実現するには,変革のダイナミクスに対する理解が必要だ。Medinilla氏は,“more fearless change”,“lean change”,“how to change the world”などの書籍を読んで,変革を学ぶように勧めている。

変革を進めるために障害バックログを使用したり,変革のために計画や追跡の可能な実験をデザインすることも可能だ。その実験が失敗すれば,そこからよりよい実験の設計を学ぶことができる。改善実験が成功すれば,その成果を共有することも可能だ。

文化を変えるには,まずその文化を理解する必要がある。ストーリテリングは組織の文化を変える上で非常に効果的な方法だ,とMedinilla氏は言う。うまく行っているもの,成功したものからストーリを語ることは,そのことばを広め,新たな挑戦を促すために有効だ。社内に適当なストーリがなければ,他の場所から探し出して,その会社がどのように変革を成し遂げたかを語ればよい,と氏は勧める。

ストーリによって人はどのようにインスパイアされるか,氏は例を挙げてみせた。個人的な時間を使ってカンファレンスに参加し,自身の時間給でそれを支払っている3人がいた。マネージャには依頼したのだが,会社から費用援助はないと言われていたのだ。彼らはカンファレンスで学んだことをベースに,まわりの人たちの作業改善の支援を始めた。その様子を見て,この活動が会社に利益を与えていることを知った経営陣は,自らの過ちを認識し,彼らがカンファレンスで支払った金額を支給すると同時に,カンファレンスに出席した休日を出勤扱いにすることを決定したのだ。経営陣が3人から事情を聞くと,この行動が実は,彼らが1年前に聞いた,変革を実現するために同じカンファレンスに参加した人たちのストーリに触発されたものであることが分かった。ストーリを聞いた彼らは,会社が費用を出してくれないとしても,同じことをしてみたいと強く感じたのだった。

改善を実現するには,人に対する投資が必要だ。その方法のひとつはトレーニングを行なうための時間と空間を用意することだ,とMedinilla氏は言う。これはトレーニングクラスだけでなく,ラボやハッカソン,新たなスキルを学ぶためにペアアップする人たち,調査研究期間などにも必要だ。

悪いプロセスには無駄が多過ぎる,とMedinilla氏は主張する。それらを見つけて取り除かなくてはならない。そのためには制約条件の理論やバリューストリームマッピング,根本原因解析といったプラクティスが利用できる。プロセス改善に関しては他にも,チームに権限を与える,問題点を表面化しやすくする,学習環境を構築する,などを提案している。

間違った製品を作らないようにする必要がある。これを実現するには,製品に注目するのではなく,むしろ顧客に目を向けることが必要だ。製品を改善するために使用可能なアプローチとしては,デザイン指向,リーンスタートアップ,試験駆動開発などがある。

Medinilla氏によれば,組織の変革を実現する上で最も重要なのは,新たな習慣を作り上げること,文化を変えること,この2つだ。

第2回のAgile Greece Summitは9月16日にアテネで開催された。 InfoQではこのカンファレンスについて,Q&Aや要約,記事を通じてお伝えする。

 
 

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