技術は協力を簡単にしたが、邪魔にもなり、個人間のやりとりの品質と内容にネガティブな結果をもたらすこともある。単に携帯電話があるだけで、仕事の邪魔になり集中が途切れる、とJeffery Hackert氏はいう。氏はチームで働くときに注意力、気づき、共感を養うことを勧めている。
Soylentでエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるJeffery Hackert氏はGOTO Berlin 2016で、邪魔の多い世界での倫理について語った。
Hackert氏はGOTO Berlinであるエクササイズを開催した。このエクササイズで氏は参加者にデバイス(携帯電話やタブレットなど)を置き、足の裏をしっかりと地面につけて、まっすぐに立つように指示した。次に深呼吸をして、呼吸を感じ、リラックスする、というのを1分間繰り返すように言った。1分は考えている以上に長い、と氏は言う。
人はミーティングで注意力を失っている。ラップトップや携帯電話に邪魔され、窓の外を見ている。氏が言うには、職人技には自分のしていることに対する注意力が必要だ。注意と気づきを養うことで、より倫理的な選択に導かれる。
InfoQはJeffery Hackert氏にインタビューし、コミュニケーションに対する新しい技術の影響と技術を使った協力の利点、注意力や気づき、共感を養う方法について話を聞いた。また、不断の注意力を与えたり受けたりする方法についても話を聞いた。
InfoQ: 新しい技術はどのようにコミュニケーションに影響を与えるのでしょうか。
Jeffery Hackert: 新しい技術は、ほとんどすべてのやりとりに第3者を導入することで私たちのコミュニケーションに影響を与えます。デバイスの影響は深刻ですが、単にスクリーン(モバイル、タブレット、コンピューター)だけではありません。私が読んだある研究によれば、認知の能力はスマートフォンの存在によって減少します。そのスマートフォンが誰のものであるかに関わらず、です。スマートフォンの存在自体が注意力を削いでしまうのです。できるかもしれないことや過去にしたこと(twitter、Facebookなど)を想起させるからです。私が仕事や家庭で10年観察してきたことを踏まえると、社会的なやりとりをデバイス中心のやりとりに置き換えるのは、個々人のやりとりの品質と内容にネガティブな結果を生み出すのは明らかです。
InfoQ: 協力のために技術を使うことの利点とはなんでしょうか。どのようなリスクがあるのでしょうか。
Hackert: 利点は多いです。Marc Andreessenが"ソフトウェアが世界を食い尽くす"と発言したのは有名です。ソフトウェアが介在しないほうがよさそうなやりとりの形態はほとんどありません。介在することによって、さらなる自動化や素早い事実確認、知識労働のハイパフォーマンス化、新しい学習機会を得ることができます。実際のまたは潜在的な価値は計り知れません。多すぎるのでここでは一覧できないでしょう。そして、現在、私たちとこの技術との関わりの洗練され具合は市場に駆動されています。これは技術との関わりに深刻な影響を与えています。UXと振る舞いの設計(友人のBJ Foggの仕事やアプリを中毒的にする科学者たちについての記事を参照ください)はアプリを使うのがやみつきになるアイディアを最上位に置きます。そのアプリによって実行されるタスクの性質は関係ありません。利用者をセールスのファネルに流すための労力に影響するのはある種のやりとりの中毒性です。世界とのすべてのやりとりがスロットマシンのようなゲームみたいになるべきではありません。
InfoQ: チームで働くとき、注意力や気づき、共感を養うために何ができるでしょうか。
Hackert: これは、とてもシンプルです。まず、すべての注意力をチームに向けます。デバイスを机(ポケットやテーブルではなく)から片付けます。デバイスが必要のないようにミーティングを設計します。ワンオンワンは歩きながらします。ノートや記録は少しにします。このようなやり方は、人生に対する瞑想的なあるいはマインドフルなアプローチと大きな意味で同じです。邪魔なしに人間とやりとりするのが鍵です。これは難しいです。私たちのほとんどは空いた時間を何かの活動(ソーシャルメディアやGoogle検索)に費やすように訓練されているからです。そのような習慣を手放す必要があります。
InfoQ: 不断の注意力を与えたり受けたりしたい人にアドバイスをお願いします。
Hackert: 日に3回、3分から5分、ひとつのもの(自分の呼吸や歩行、お好きならジャグリングでも)に注意を払おうとしてみてください。全身で実践をしてください。座って感情や物理的な感覚、体の感じを識別するのは役に立ちます。注意が払われ、気づきがあるときに生はリアルであり倫理的であり、可能であるということを理解することが鍵です。ヒッピーのようですが、ソフトウェア開発者、芸術家、アスリート、ゲーマーとしてフロー状態を経験したことがあるなら、私の話していることを理解できるでしょう。
プロ向けのヒント: 隗より始めよ。他の人の振る舞いを変えようとして尻もちをつかないように。すべて自分にかかっている。
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