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サードパーティ製ツールがAdidasのパフォーマンス(と文化)をいかに損なったか

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原文(投稿日:2017/01/20)へのリンク

Adidasでソリューションアーキテクチャチームを率いるThomas Gieling氏と,SOASTAのパフォーマンスコンサルタントであるKristian Skoeld氏は共同で,先日のVelocity Amsterdamカンファレンスで,靴と服の巨大メーカである同社のグローバルなWebサイトにおいて,パフォーマンスを損なうサードパーティ製ツールのコントロール不能な拡散をいかにして抑え込んだか,という話題のプレゼンテーションを行なった。問題はさらに,ビジネスとIT部門の間に生じる非難の文化にも関係する。解決の鍵となったのは,パフォーマンスデータとユーザエクスペリエンスの検証を重視する,新たなサードパーティのガバナンスプロセスだった。

当初のガバナンスの欠如(および,短期間にサイト数が20倍以上に増加したことによるITチームの処理能力不足)のため,同社では,ビジネスが求める分析やトラッキング,さらには(一部の)機能についても,技術的な品質の検証のないまま,サードパーティ製ツールのさらなる追加による対処が繰り返されていた。その結果としてパフォーマンスの低下が顕在化し,(ビジネスに対してツール数の多さを非難する)技術スタッフと(パフォーマンス不足でITに不満を言う)ビジネススタッフの意見が対立することになった。

Skoeld氏はこの状況を打開する戦略の立案を支援し,使用中のツール(サイトあたり60以上)に関する目録の作成を求めた上で,それぞれをビジネスオーナに割り当て,その目的と影響(サイトへの機能追加か,UX拡張か,あるいはデータ分析ツールか),緊急性のレベルを定義した。ビジネス側の担当者が不明なサードパーティはただちに除外された。

サードパーティへの依存性を低減する手段としてデータ主導のプロセスが導入され,ビジネス部門とIT部門の協力の下で,各ツールの価値とパフォーマンスコストの比が分析された。その中では,重要性が低くてもパフォーマンス上の影響がわずかなツールは残される場合がある一方で,重要なツールだがパフォーマンスコストの高さを理由に排除される(あるいは他のツールを探す)場合もあった。

この新しいガバナンスプロセスでは,ユーザエクスペリエンスへの実際の影響も考慮されている。A/Bテスト(サードパーティ使用時がバージョンA,未使用時がB)を使ってユーザの転換や,場合によっては財務的な影響も比較された。技術的負債(おもにパフォーマンスの面で)を低減するという目標が共有され,ビジネス価値への優先順位付けが組織内に生じたギャップを埋める鍵となった。

そのひとつの例が,サイトユーザからのフィードバックを収集するサードパーティ製ツールだ。このツールは20以上のリクエストを発生し,ページサイズを300KB大きくする。特に問題はないように見えるが,A/Bテストからのデータからユーザエクスペリエンス(要するにセッションの長さ)には影響せず,販売上の数値は(ツールがあってもなくても)同等であることが分かったのだ。

さらにSkoeld氏は,サードパーティとの依存関係を直接管理することを提案した。間接的な依存関係(RequestMapの利用のような)をすべて見つけ出すというのは,困難な作業であるように思われた(Skoeld氏はadidas.deだけでも,2週間で2,800のユーザアクセス可能なサードパーティドメインを見つけた)。直接的な依存関係と,その外部要求を分析することはさらに重要だ。最終的には,重要性の高いサードパーティツールプロバイダとの直接的な関係を構築し,パフォーマンスの期待値の設定と建設的なフィードバックループの確立を目標にする必要がある。つまりビジネスクリティカルなサードパーティツールには,受け身の利用ではなく,積極的なガバナンスが求められるのだ。

 

 
 

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