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組織を超えた組織づくり

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原文(投稿日:2017/02/23)へのリンク

これから数年間で組織の数は減っていくだろうが、組織づくりが減ることはないだろう。組織づくりは物事を完了させるための日常的な活動だが、何かを行うために組織は必ずしも必要ではない。個人が組織に所属するとき、組織は現代のマネジメントのアプローチを取り入れるための阻害要因となる。

Jaap Peters氏はDeLimesの組織活動家であり、Agile Consortium Belgium 2017で組織的な開発について語った。InfoQはこのカンファレンスについてQ&A、要約、記事でカバーしている。

もし、アジャイルでありたいのに依然として頭の中に伝統的な組織モデルがあるのだとしたら、それはうまくいかないだろうとPeters氏は述べる。組織を変えるということは組織についての会話を変えることなのだ。

InfoQはJaap Peters氏に組織と組織づくりの違いについてインタビューし、彼にRhinelandのモデルについて述べてもらった上で、それを組織の製品開発にいかにして組み込むことができるかを説明してもらった。加えてInfoQはPeters氏に、組織において現代のマネジメントのアプローチを採用するための阻害要因について、またそれをいかに減らすか、あるいは取り除けるかについて、そして彼が人をマネジメントするということに関して将来に期待することは何か、を尋ねた。

InfoQ: 組織と組織づくりの主な違いはなんですか?

Jaap Peters: まず、組織づくりは日常的な活動であり、私たちは必ずしもそのために組織に頼る必要は無いということです。実際の問題として、私たちはミッション、ビジョン、そしてコアバリューを、それらがありふれたものであったとしても受け継いでいます。一方で実際は、それらは共通の目標を達成したいと思う人々のために設計された、価値あるリソースでもあります。あるプロフェッショナルのサイクリストやサイクリングチームが同じ野望を共有している、といったことは想像に難しくありません。同時に、ミッション、ビジョン、そしてコアバリューをこの問いの元、すなわち自転車に結びつけるのはいくぶん馬鹿げているようにも見えます。

第二に、組織、特に階層構造によるものは、組織づくりのスキルが欠けていることが多いのです。そう言った組織は一般に、個別の部門をそれぞれ横並びのものとして扱うサイロとして配置され、トップやミドルのマネジャーの言葉にしがみついてトップダウン式にコミュニケーションをとります。末端の人間にとってマネジャーが不足しており、そういった人材であれば立派なソリューションを考案、提供できるとでも言わんばかりです。

第三に、従来の組織は企画とパターンの制御に頼る傾向にもありますが、ここに”事実”という言葉は存在しません。企画が長引けば長引くほど、事実の概念は関連がなくなっていきます。まるで最近のディーゼルゲートのスキャンダルで用いられた、組み込みの"ディフィートデバイス"ソフトウェアのように。

InfoQ: Rhinelandのモデルについて説明いただけますか?

Peters: Rhinelandのモデルを”伝統的な”アングロサクソン系の組織と比較してみましょう。

  1. アングロサクソン系の組織
    このタイプの組織では、熟練のプロフェッショナルやスペシャリストたちが、よく確立された一連の指示に従った上で、マネジャーへの回答が可能です。
  2. Rhinelandの組織
    Rhinelandの組織では、熟練のプロジェッショナルたちが企業を経営し、前衛のスペシャリストたちは後衛やバックオフィスから(水平的な、または同水準のアプローチで)援護します。

InfoQ: 組織はこのアプローチをどうやったら製品開発に取り入れられるでしょうか?

Peters: この課題については完全に明確にしておきましょう。すなわち、組織は、曖昧で形のない構造物(触ったり味わったり、匂いを嗅いだりできない)であると考えられているということです。ITによって、何かを共同で達成したいという野心をもった人々が横のつながりとしてコミュニケーションをとる機会が与えられています。多くの場合、WhatsAppがあれば十分だったりします。

例えば、オランダには、多くのサービスの中でも非常によい機会を与えてくれるPart-Up(Permanent Start-up)と呼ばれるものがあります。Agile Consortiumのイベントでは、私はいくつか追加で代わりとなるものを紹介しました。

オランダでは、”協同組合”や”参加型コラボレーション"と呼ばれるものが増えています。ここでは異なる組織の個人がロッテルダム駅を安全に(都市警備隊、警察、鉄道警察、国際警察(タリス)、駐車場警備隊、そして特殊探偵部隊)保つため働いており、事故が発生したら即座に対処するためにチーム横断で動くというアジャイルな原則を完全に取り入れています。必要なときに連絡を取る際はコミュニティで購入した携帯電話しか使用していません。

InfoQ: 組織においてモダンなマネジメントのアプローチを取り入れる阻害要因になっているものとしてどのようなものがありますか?

Peters: 残念ながら、熟練のプロフェッショナルたちが部屋を出て自らを解放するのでなく、個人が組織に従属するということ(初めのシステムは1911年のTaylorから)、また個人が組織内の人間として参加することがそれに当たります。人々は自らをマネジャーに指示される"ヒューマンリソース"として貶めています。Apple、Tesla、またはGoogleで働く人々が言われたことだけを行うという考えに身を震わせている人もいます。

InfoQ: そういった阻害要因はどうやったら減らしたり取り除いたりできるのでしょうか?

Peters: Matrix(1999年)ではそのために赤の薬品を飲んでいました。しかしこれはただの映画です。熟練のプロフェッショナルたちは辞表を提出したり従業員組合、労働組合(スペインのMondragon 2.0と同様の)を共同で設立したりしたほうが良いかもしれません。私たちは新しいものを取り入れる必要があります。もしかすると、古い組織を修復しようとするのを止め、初めからやり直したほうが良い可能性もあります。

InfoQ: 人を管理するということについて、将来に何を期待しますか?

Peters: 管理すること、マネジメントは、時間の無駄です。多かれ少なかれ、他の人のことを考えることを好む、高度な教育を受けた人々の日中の活動です。目下、私たちは”暫定的な”、または”中間的な”時期にいるのです...

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