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フィンランド国営放送Yleにおけるリーンとアジャイルカルチャー

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原文(投稿日:2017/03/21)へのリンク

リーンとアジャイルをスケールすることはフレームワークの問題ではない -  価値、原則、そしてマインドセットの問題なのである。Yle の会社経営層は、実験を行うこと、学習して実施することにより、アジャイルトランスフォーメーションに深く関わってきた;フレームワークを実装したことによるのではない。マジックは、あらゆるレベルにいるチームの人々と一緒に作業することで起きる。

フィンランド国営放送(Yle)の代表であるMirette Kangas氏は、Yle の企業文化のリーンとアジャイルへのトランスフォーメーションについて、Lean IT Summit 2017 で講演した。InfoQはこのカンファレンスについてQ&A、サマリ、記事とともに取り上げる。

Yle(Yleisradio、フィンランド国営放送)はフィンランドの公共テレビ・ラジオ局である。アジャイルとリーンに向けた旅を2009年にインターネット開発チームでスタートした。2012年には最初のリーンビジョンワークショップを開催した。それからアジャイルとリーンは、メディア部隊、運用、コンテンツ制作、戦略的かつマルチプラットフォームのプログラムプロジェクトを含む組織の様々な部署に広がった。現在は40を超えるチームがリーンとアジャイルを使っており、組織の従業員の17%が参画している。

2012年、インターネット開発分野で行われている仕事のスナップショットを取り、活動の25%しか顧客に付加価値をもたらしていないということがわかりました、とKangas氏は述べた。これによりアクションが必要なことが非常に明確になった。彼らは組織をよりフラットに、より透明にする方法を探し始めた。

Yleは顧客価値とサイクルタイムの短縮に役立つことを携え、アジャイルへのロードマップを作った。それにはリーン、アジャイルポートフォリオやプログラムモデリング、チーム間の協力、DevOpsの文化、アジャイルチェンジに対するリーダーの準備、といった活動があった。

可視化はアジャイルやリーンな仕事の仕方において重要な役割を担う。部署のチームと彼らのマネージャはカンバンボードを使い、デイリーまたはウィークリーのスタンドアップミーティングを行っている。効果がありました、とKangas氏は言う:マネージャは模範を示して指導し、チームは改善のために、フィードバックループ、PDCA、ふりかえりなどの新しい方法を検討している。例えばリーンリーダーシップ、システム思考、リーンスタートアップ、グロースハックを用いることで、文化は変化した。

InfoQはMirette Kangas氏にインタビューを行った。Yleの経営層をトランスフォーメーションにどう巻き込んだのか、透明性は文化の変化にどう役立っているか、アジャイルとリーンのプラクティスはスケーリングにおいてどう相互作用しているか、Yleにおけるアジャイルとリーンのスケーリングから何を学んだのか、そしてなぜティールがアジャイルとリーンを越えた次のステップになるのか。

InfoQ: Yleの経営層をアジャイルとリーンのトランスフォーメーションにどうやって巻き込んだのですか?

Mirette Kangas氏: すべてはウェブ開発から始まりました。従来のプロジェクトマネジメントモデルはもはや機能していませんでした。投資プロセスの伝統的なモデルは多くのの無駄を意味していました。そのため、インターネット開発の全プロセス - プロジェクトレベルから、投資プロセスを含むトップマネジメントまで - がリーンとアジャイルに変わりました。

この変化は会社のほかの部分にとっての実験でもありました。これを例として、ベストプラクティスをインターネット以外の他のビジネスエリアに段階的に拡大していくのです。今日、会社の17%がリーンとアジャイルの方法を理解し、かつ/または、リーンとアジャイルの方法を使って仕事をしいたり、継続的なラーニングプラクティスを実践しています。

手短に言うと:会社の経営層は、実験を行うこと、学習して実施することにより、アジャイルトランスフォーメーションに深く関わってきました。特定のフレームワークを実装してきたのではありません。

InfoQ: 透明性に対して多くフォーカスすることを挙げていましたね。何か例はありますか?

Kangas氏: ビジュアルマネジメントです。例えば、会社のウェブ開発のポートフォリオカンバンは、自分たちが全体的に何をしているのかをはっきりと示してくれます。誰もがスイムレーンとエピックにある重複と相乗効果を見ることができます。ウェブマネジメントチームは実際、今やコミュニティとして活動しています - 巨大なカルチャーチェンジが起こったのです。

ほかにも、主要なプロダクト戦略と、それをどう実践に落とし込んだかの例があります。主要なプロダクトのカンバンではプロジェクトの進行状況を容易に見ることができます。あまり調子が良くなければ、何をする必要があるかを知り、必要な決定をくだすことができます。戦略と実践のレベルで大きな問題が発生する前にです。

InfoQ: アジャイルとリーンのプラクティスは、スケーリングにおいて互いにどんな作用をしていますか?

Kangas氏: アジャイルとリーンのプラクティスは日々の生活で非常によく混ざり合います。マネジメントチームを指導するとき、わたしは例えば、リーンスタートアップの文化を作るためにスクラムを使っていました。Build-Measure-Learnが一般的なマネジメントにとって何を意味するかを理解するためです。A3はマネジメントチームが働いている方法で、トランスフォーメーションに向けたビジョンや共通のゴールを設定するときに特に便利でした。最も重要なことは、リーンアジャイルコーチとして有言実行すること、特にスケーリングに関して方法やプラクティスを創造的に実験することです。行動を起こすのに出来合いのプロセスやモデルはありません。

InfoQ: Yleにおけるアジャイルとリーンのスケーリングから何を学びましたか?

Kangas氏: リーンとアジャイルのスケーリングはフレームワークの問題ではありません。価値、原則、マインドセットの問題です。マジックは、あらゆるレベルにいるチームの人々と一緒に作業し、プラクティスを構築し、実験し、速く失敗し、関与をもたらすメリットを見るときに生まれます。企業開発プロジェクトのようなものではなく、ベストプラクティスとチーム間の経験を分かち合う、開発プロセスのネットワークなのです。人を中心とした旅にあるフィードバックループと継続的学習に関するものなのです。

リーンITサミットでKangas氏は、Frederic Laloux氏の書籍Reinventing Organizationsに基づいて、ティールオーガニゼーションのアイデアをどう探求しているかについて話した。InfoQはFrederic Laloux氏のアイデアを adopting innovative ways to manage organizations という記事にまとめた。そこで彼は、違いを生み出すマネジメントにおける3つの抜本的なブレークスルーについて触れている。

  1. 自己管理 - 組織はマネージャや上司部下の関係なしで完全に運営できる。
  2. 一体性 - 自我と自己の深い部分を結びつける
  3. 進化的目的 - 人は自分の力と知恵を組織の生命力に合わせる

InfoQ: 講演の中で、ティールがアジャイルとリーンを越えた次のステップとなると指摘されていましたね。理由を説明いただけますか?

Kangas氏: ティールはリーンリーダーシップとマネジメントにおける次のステップであり次のレベルであると考えています。自己管理、イントラプレナーシップ、自律は組織の中心にあります。組織は階層的というのでは全然なく、むしろ生命体のようで、生きるシステムのようで、ネットワークに近いのです。

ティールでは、組織とは自己管理しているイントラプレナーの集まりのことです。彼らは自分たちがしていることに応じてネットワークを築き、インタラクションやコントリビューションを最大限に利用します。結果はネットワークの効果で決まります。リーダーの役割は、このエコシステムの中では庭師のようなものです。あなたがいい庭師だとしたら、いいリーダーとしての役割を持つでしょう。もしいい庭師でないとしたら、リーダーとしては全然働けません。

適応性はデジタルワールドのような複雑な環境で成功するための鍵です。生きているシステムは複雑性の中でも先回りできるでしょう。このような仕事環境では、自らを励まし、モチベーションを上げられるときに、従来の環境よりパフォーマンスが良くなります。非常に重要なことです

 
 

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