すべてを見える化する、ペアを組む、オープンフライデー、トレーニング予算なし。これらはSipgateでワークライフを改善してきた「組織的ハック」の一部だ。TopConf Linz 2017において、Sipgate社の開発者であるCorinna Baldauf氏が12のワークハックについて語った。
Sipgateはドイツにある電話会社で、2010年からスクラムを使ってきた。約120名いる従業員の多くが、チームで仕事をしている。
Sipgateには、達成したい目標に合わせた職務横断型のチームがある。チームが新しい製品機能を開発している場合、彼らは顧客サポート担当を雇うことがある。そうする理由は、あなたがチームに外部との依存関係を持たせたくないためだ、Baldauf氏はいう。このやり方の欠点は、チームが大きくなりすぎることにある。
彼女はすべてを見える化するよう提案する。Sipgateでは、チームはスクラムボードを使っている。また、廊下に掲げたボードで、会社の戦略やバグボードといった情報を見える化している。そうする利点は、ボードのそばを通ることで、何が起こっているかわかることだ。例えば、誰が何に取り組んでいるかがわかれば、互いに意見交換できるようになる。
Sipgateでは、何を公開すべきか指示されることはない。望むものを自由に共有して構わないのだ。これには信頼が必要であり、現在役立っていないメトリクスを使って改善したい場合は、特にそうだという。
ふりかえりは改善のエンジンの構築だと彼女は主張する。トライしたいことはチームが決める。ふりかえりには優れたファシリエーターが必要だ。それはスクラムマスターでもよいし、いないときには、信頼している人に頼んでもよい。ファシリエーター役をローテーションして、ふりかえりをリードさせても構わない。
Sipgateでは、定期的にふりかえりを実施しているという。それで起こる変化は小さいかもしれないが、小さな一歩が積み重なっていく。これは複利のようなもので、時間とともに大きく成長していくと考えなくてはならない。
Sipgateでは知識を共有するために、ペアリングがよく行われている。ペアリングはどこでも行うことができる。例えば、チーム、経理、ロール間、モブプログラミングでも。
仕事を成し遂げたいなら、自席でひとりで食べるのは効果的ではない、とBaldauf氏はいう。Sipgateでは、ランチの間に多くの情報が流れる。彼女はチームメイト以外とランチすることをすすめている。たとえ週に一度であっても、これはすぐに役に立つ。
Sipgateには、隔週でオープンフライデーがある。その日は、Sipgateにとって価値があると思うことなら、何でも自由にやることができ、そうしたオープンスペースに参加することができる。話題を持ってくると、みんなが集まってくる、と彼女はいう。もちろん、コーディングしても構わない。みんなが参加すると思うものを提案すればよい。
Sipgateは従業員に自由を与えている。Baldauf氏は一例を挙げた。「それで別のチームが16時間節約できるなら、あなたは難なく2時間手伝えます。」
Sipgateでは、ピアリクルーティングを実施しているという。これはチームが、職務内容の説明書き、応募のレビュー、インタビュー、チームメンバーの雇用と解雇の判断などに関わることを意味する。
ピアフィードバックはもともと新規採用の試用期間をサポートするために作られたものだが、そこから発展して、全従業員のための重要なフィードバックループになっているという。フィードバックの話題は、キープ、アイデア、ハイライトだ。毎週5人がメールを受け取り、フィードバックに参加する。メールを受け取った人は、誰からフィードバックをもらいたいか選ぶことができる。フィードバックは自己啓発のみを目的としており、管理するためのものではないという。ピアフィードバックを頻繁に行うことで、全員がフィードバックの仕方と受け方を学ぶことができる。
優れた判断には数字が必要だ、彼女は主張する。Sipgateでは、分析チームがデータを収集して公開する。従業員はすべての製品関連データにアクセスできる。
Sipgateの従業員にはトレーニング予算というものがない。研修やカンファレンスに参加したければ、日程がチームにとって問題ないか確かめて、それに参加する動機を説明すればよい。また、社内ワークショップが開催されており、職場や自由時間で読める本を揃えた図書館もある。
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