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ソフトウェア開発での個性の問題

原文(投稿日:2017/09/14)へのリンク

素晴らしいチームを作るためには、リーダーは異なる個性を持つ個人からの多様な貢献を組織化する必要がある。チームのメンバは自身の個性の外に出て、チームをゴールへ進めるためにコンフォートゾーンの外で活動することもある。燃え尽きてしまったり、健康を害するリスクを低めるためには、本当の自分に戻ることができる、回復できる場所が必要だ。

Brian Little博士はケンブリッジ大学の心理学科とジャッジビジネススクールで研究教授を務めている。氏はAgile Cambridge 2017で個性についての講演する予定だ。このカンファレンスはケンブリッジで9月の27日から29日に開催される。

InfoQは氏にインタビューをし、協力して働くときの個性の違いが果たす役割、チームで働くときに内向性と外向性はどのように違うか、"自由な特性"はどのように私たちの振る舞いを駆動するか、チーム内での個性の問題にどのように対処するのか、どのように素晴らしいチームを作るのかについて話を聞いた。

InfoQ: 人が協力して働くとき、個性の違いはどのような役割を果たしますか。

Brian Little博士: 個性について研究している心理学者は個性を5つの大きな次元に分類します。この分類は頭文字をとってOCEANと呼ばれます。

  • 体験に対してオープンか、体験に対して閉じているか
  • 律義か軽率か
  • 外向的か内向的か
  • 同調的か非同調的か
  • 神経質か安定しているか

この次元のどこに属するかは働き方に重要な影響を与える予測因子になります。例えば、オープンで律儀な人は成果をあげやすいです。しかし、優れている点については違いがあります。オープンな人は新しいアイディアを職場に持ち込むことができるので優れています。一方で、律儀な人は信頼され定型的な作業を効率的にこなすことができるので優れているのです。同じように、外向的で同調的な人は職場での社交的な面で実力を発揮します。外向的な人は社交的で刺激を求め、同調的な人は他人を育てたり動機付けたりするのが得意です。神経質な人は環境の中で彼らを脅かすものに対して敏感に反応します。炭鉱のカナリアのように、普通の人なら見逃してしまうようなことに注意を向けるでしょう。

InfoQ: チームで作業する場合、内向と外向はどのように違うのですか。

Little: 違いをもたらす分野はたくさんありますが、ここではチームでの作業に影響を及ぼす5つを紹介します。

  1. 刺激の必要性の違い。内向的な人と比べ、外向的な人は、効果的なパフォーマンスに関わる脳の領域の神経生理学的覚醒度が低く、環境から刺激を求める必要があります。内向的な人は刺激を低める必要があるので、グループの活動から身を引くことで、そのような状態を実現します。正しくはありませんが、このような態度が、非社交的であると思われてしまいます。
  2. 学習をするときの情報処理の仕方の違い。外向的な人は学習をするときは、取り決めが必要です。言葉のやりとりと議論を好みます。一方、内向的な人はそのようなやりとりはせずに、ミーティングの前に明確でしっかりと組織化されたコミュニケーションをすることを好みます。
  3. やりとりのスタイルの違い。外向的な人は近くで大きな声で話し、内向的な人よりも素っ気なく話します。内向的な人はより複雑で迂遠な言い方をします。異なる文化は、彼らの相互作用スタイルがより超越的であるか内向的であるかによって異なるため、誤ったコミュニケーションのリスクが生じます。異なる文化同士だと、やりとりの仕方が外向的か内向的かという違いがあります。この違いはミスコミニケーションのリスクを生み出します。
  4. 環境に対するプローチの仕方の違い。外向的な人は褒賞を求めることが動機になります。一方、内向的な人は罰を回避するのが動機になります。この結果、外向的な人は自分の行動の欠点を見ない場合があります。内向的な人は自分の行動の良い点を見ない場合があります。両方ともチームに問題を起こす可能性があります。
  5. あとはお酒とカフェインからの影響や性的な振る舞いにも違いがありますが、このような話題は関心を集めないでしょう。

InfoQ: "自由な特性"とはなんでしょうか。私たちの振る舞いをどのように駆動しますか。

Little: 自由な特性はその人の個性の外で振る舞う個人を説明するときに私が使う言葉です。例えば、生理的には内向的な女性が個人的な計画を達成するために外向的(彼女の自由な特性)に振る舞うことがあります。また、とても同調的な人が仕事上の役割のために非同調的(彼の自由な特性)に振る舞う場合があります。職業上の理由、または、愛のために個性の外で振る舞うことがあります。このような振る舞いには利点もありますし、コストもあります。利点としては、計画がより前に進み、コンフォートゾーンの外で振る舞うことで、自分たちの敏捷性を困難な状況に対処するということに対して拡張できます。しかし、長い期間、自分の個性の外で活動するとコストも生まれます。燃え尽きるリスクが生まれ、最悪の場合は体調を崩します。

私の言う"回復できる場所"を使うことでこのようなコストに対抗できます。回復できる場所とは自由な特性モードを手放して、自然なあり方で気ままに振る舞う場所です。例えば、私は生来内向的な人間です。なので、教授として外向的に振舞った後は刺激の少ない、休息するための静かな場所を見つける必要があります。また、生来外向的な人がオフィスで1日内向的に振舞ったら、刺激が多く、賑やかで、エネルギーに満ちた場所を探し、回復をはかるでしょう。

InfoQ: チーム内の個性の問題にはどのように対処したらいいでしょうか。

Little: 発生するかもしれない問題に対処するには、個性がどのように機能するかを意識することが重要です。個性の次元、個人の計画、自由な特性に対するちょっとした概観が、個人の間で個人的な体験を共有するコミュニケーションを刺激するということがわかったのはこのためです。これは個人を支援する方法としてはとても効果的です。問題というよりも個人を見るからです。職場を人間的なものにするにはユーモアはとても重要です。

InfoQ: 素晴らしいチームを作るためのアドバイスをお願いします。

Little: 素晴らしいチームを作るには個性はとても重要です。暖かく歓迎できる個人だけで構成されたチームは、幸せで、評価は高いものの、非生産的である可能性が高いのに対し、安定していて、目標に対して集中している、非同調的なチームは効率的かもしれませんが、モチベーションを失う危険があります。理想的には、素晴らしいチームは個性の多様さを活用します。例えば、律儀な人が標準的な有用の手順を効率的に実装する一方で、体験に対してオープンな人は創造的なアイディアを生み出すことに貢献できます。OCEANの両端の特性を持つ人はチームに何らかの重要な貢献をしてくれます。優れたリーダーはこの多様な貢献を組織化するでしょう。リーダーは、行われている作業によっては、チームの共通の願望を達成するためにームのメンバの誰か由な特性を発揮する場合があることを意識する必要があります。ここで"自由な特性についての取り決め"が必要になります。つまり、個性の外で活動してチームをゴールに導くのは、自然なあり方を回復できる場所が確保されている場合だけである、という取り決めです。

 
 

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