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Microsoftが量子コンピューティングの競争に参戦

| 作者: Sergio De Simone フォローする 5 人のフォロワー , 翻訳者 h_yoshida フォローする 0 人のフォロワー 投稿日 2017年11月6日. 推定読書時間: 5 分 |

原文(投稿日:2017/10/07)へのリンク

Microsoftは同社のIgniteカンファレンスで、量子コンピューティングプラットフォームのプレビューを新たに発表するとともに、近年の素粒子物理学の進歩を活用したトポロジカル量子コンピュータ(topological quantum computer)の開発計画を公開した。

Microsoft Quantum Previewには量子コンピューティングシミュレータと、Visual Studioに統合された量子コンピューティング用の新プログラム言語が含まれている。Microsoftによると、同社のトポロジカルキュビットは従来よりも長く、一貫性を持って、少ないエラーで動作する。

Microsoftは、現在まだ開発の初期段階にある、スケーラブルな汎用トポロジカル量子コンピューティングをも視野に入れている。同社CEOのSatya Nadella氏は、開発チームから4名が参加した仮想パネルセッションの司会として、量子コンピューティングに関するさらなる洞察を提供している。セッションに参加したのは、コンピュータ科学者のKrysta Svore氏、トポロジカル量子コンピューティングの第一人者で数学者のMichael Freedman氏、Microsoftでトポロジカル量子コンピュータ開発を担当する物理学者のCharlie Marcus氏とLeo Kouwenhoven氏である。

Microsoftの量子コンピュータにおける中心的なアイデアは、新たな形態の物質で構成されたトポロジカルキュービットにある、とFreedman氏は言う。このトポロジカル物質には、保持する情報が特定の場所にローカライズされず、トポロジ構造体内でグローバルに保持される特性がある。このアイデアは、紐の輪に結び目がついているか、あるいはいないか、という考え方で説明できる。紐に結び目があるかどうかは部分的な特性からは判断できず、全体像、すなわちトポロジを見る必要があるのだ。

この特性の背後にある物理的効果は電子の分化(electron fractionalization)、すなわち電子を、特定の場所に存在しているかどうかによってマヨナラフェルミオン(Majorana fermion)に分割するプロセスである。これらの量子が元の電子の情報をエンコードして物質全体に拡散することにより、その物質のグローバルな特性になる。2012年に初めてこれを観測したひとりであるKouwenhoven氏は、マヨナラ量子は非常な低温下でのみ観測可能である、と説明している。マヨナラ量子は、量子が存在する状態と存在しない状態という2つの状態が同時に存在する、量子重ね合わせ(quantum superposition)であり、情報をグローバルに格納することの最大のメリットは、ローカルエラーからの保護にある。

トポロジカル量子コンピュータを実現するための基本的なステップは、この分散化された電子のひとつが別のひとつに影響し、それがさらに別のものに影響する、というものだ。これがMicrosoftの量子チップの基本要素であり、Marcus氏がプロトタイプで示したものである。これに関する課題のひとつは、それを測定することなくコントロールする方法を見つけ出すことである。測定が重ね合わせ効果を破壊するためだ。Microsoftのソリューションは、超低温で動作する従来型コンピュータを使用するものだ。これは絶対温度4Kで動作し、0.01Kで動作する量子チップのコントロールを行う。

Svore氏の説明によると、この超低温コンピュータ上には、スケーラブルな量子コンピュータのプログラム用に設計されたドメイン特有言語を含むMicrosoftのソフトウェアスタックがあり、その上に量子アプリケーションが構築されている。以下に示すのは、Microsoftの新しい量子言語を使った“hello world”に相当するものだ。

operation () EPR (Qubit q1, Qubit q2) {
    Body {
        H (q1)
        CNOT (q1, q2)
    }
}

operation () Teleport (Qubit msg, Qubit here, Qubit there) {
    Body {
        EPR (here, there)
        CNOT (msg, here)
        H (msg)

        let m_here = H (here)
        if (m_here == One) {
            X (there)
        }
        let m_msg = H (msg)
        if (m_msg == One) {
            Z (there)
        }
    }
}

operation (Result) TeleportTest (Result msg) {
    Body {
        mutable res = Zero
        using (qubits = Qubit[3]) {
            let msgQ = qubits[0]

            // set msgQ to message state
            SetQubit(msg, msgQ)
            
            Teleport (msgQ, qubits[1], qubits[2])
            
            set res = H (qubits[2])
        }
        return res
    }
}

新言語はVisual Studioに完全に統合されており、シンタックスカラーリングやデバッグ、テストがサポートされる。デバッガでは、システムの量子状態の経時的変化を表示することができる。Visual Studioには最大30キュービットの量子シミュレータが含まれている。それよりも強力なAzureベースのシミュレータには、最大40キュービットが提供される。

ここ数年間、量子コンピューティング分野への関心が高まっているが、Microsoftはこの分野での最初のプレーヤではない。中でもIBMは、先頃、16キュービットのプロセッサと量子コンピューティングSDKのQISKitを発表した。中国の研究者も重要なマイルストンを達成している

Microsoftの量子プラットフォームプレビューは、今年末までのリリースを予定している。

 
 

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