誕生から16年、科学技術計算のための主要なPythonライブラリSciPyが、技術的および組織的な目標を達成して、バージョン1.0になった。
SciPyの作者のひとり、Travis Oliphant氏は次のように語る。
今回のリリースは多くの人たちの夢を表しています。20年近く、熱心なパイオニアたちが我慢強く追い求めてきたもので、その間、数百人もの人たちが多岐にわたり一貫して取り組んできました。
SciPyが1.0になったのは、新機能や安定性によるというより、必要条件とみなされた新しい技術的および組織的なこと全体によるものだ。現在のプロジェクトリーダーであるPauli Virtanen氏は、次のように語る。
私たちはSciPy 1.0をもっと前にリリースできたかもしれません。ですから、ようやくリリースできてうれしいです。プロジェクトには長い歴史があり、その間、ソフトウェアプロジェクトとしても成熟してきました。1から始まるバージョン番号を認めることは、その価値をよく示していると思います。
バージョン1.0の技術的成果は以下の通り。
- WindowsプラットフォームでPython wheelが使えるようになった。wheelはpython配布形式の新標準で、eggを置き換えようとするものだ。
- Linuxに加えて、WindowsとmacOSで継続的インテグレーションがセットアップされた。
- 新しいODEソルバとそれらに対する統一インターフェイス。
- 2つの新しい信頼領域最適化と新しい線形計画法。
scipy.optimizeが提供していたものと比べて、性能が改善されている。 - 多数の新しいBLASおよびLAPACK関数がラップされた。BLASラッパーは完成し、新しい関数として、
*gbmv,*hbmv,*hpmv,*hpr,*hpr2,*spmv,*spr,*tbmv,*tbsv,*tpmv,*tpsv,*trsm,*trsv,*sbmv,*spr2が入った。LAPACK関数のラッパー、*gels,*stev,*sytrd,*hetrd,*sytf2,*hetrf,*sytrf,*sycon,*hecon,*gglse,*stebz,*stemr,*sterf,*steinが追加された。
加えて、SciPyに正式なガバナンス構造ができた。これはBDFL(優しい終身の独裁者)のPauli Virtanen氏とSteering Committeeで構成される。
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