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ペルソナを使ってミドルマネジメントを排除する

原文(投稿日:2017/11/30)へのリンク

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ミドルマネージャ(middle manager、中間管理職)のような役割を担うペルソナは、アジャル移行を行なう場合に有用である。ミドルマネージャがいる立場を理解さえすれば、彼らから何かを得るのは難しいことではない。何を聞くか、何を聞かないかを理解して、必要なものを得るチャンスを、ペルソナが拡大してくれるのだ。

Thales eSecurityのCarl Whittaker氏とClara Janes-Vallejo氏がAgile Cambridge 2017で、ミドルマネージャの排除に関するセッションを実施した。このカンファレンスに関してはInfoQでもQ&Aや要約,記事などを通じて取り上げる予定である。

氏らのセッションは、Thalesでミドルマネジメントと共に働いた体験に関する簡単な説明で始まった。組織の中で何かを変えようとしたり、あるいは新たな何かを導入しようとした時、その行動がミドルマネージャによって制止される可能性がある、と氏らは言う。

練習を行なうため、部屋は6つの正方形テーブルにセットアップされた。それぞれのテーブルには5人が着席し、すべてのグループが同じ演習を行なった。

演習はまず、緊張感をほぐすゲームから始まった。グループのメンバはそれぞれ、自分の武器を書いたカードを受け取った。テーブル上には質問を書いたカードが裏返しに置かれ、プレイヤは読むことができないようにされていた。

最も大きなダメージを起こすことのできる武器を持った人が、まず最初にテーブルのカードを取り、カードに書かれた質問をする相手をそのテーブルから選ぶ。回答の中に、質問者の持つ武器カードに書かれた言葉が含まれていれば、回答者がその質問カードを取得する。以降は質問者をテーブルの時計周りに交代していき、それぞれが回答者を選択する。もし誰かのカードがなくなって、テーブル中央にまだカードが残っていれば、そこから1枚拾うことができる。

言葉がひとつも言及されなかった場合、質問は次に回される。次の質問者は別の回答者を指名する。回答するのは一度にひとりだが、その人が正しい言葉を言うことができれば、一度にすべてのカードを取ることができる。

数分間続けた後でゲームは終了し、一番多くカードを持っていた人にチョコレートがプレゼントされた。

この演習には目的がふたつある。ひとつは物事を始めたり、グループ内の人々が相互に学び合うことを支援するためであり、もうひとつは、質問の方法さえ知っていれば、他者から何かを得ることがいかに容易かを示すためだ。逆に質問の方法を知らなければ、カードのない場合に他の誰かが勝利を得ることからも分かるように、それは信じられないほど難しくなる。

Whittaker氏とJuanes-Vallejo氏は、VersionOneのアジャイル実態調査について紹介した。この調査では、アジャイルの採用と拡大の主な課題のひとつとしてマネジメントサポートが挙げられている。ミドルマネージャは、プレッシャの下で作業しなければならないことが少なくない。ミドルマネージャの数多い業務の中には、情報伝達も含まれている。相手の現在の立場を理解して、何を望んでいるのかを分かっていれば、彼らから何かを引き出すのはさらに簡単になる、とWhittaker氏は主張した。

ペルソナはアジャイルへ移行の実施において有効だ。ペルソナでモデル化する役割のひとつとしてあげられるのが、ミドルマネージャである。このようなペルソナがどのように見えるのか、Whittaker氏はひとつの例をあげた。ペルソナを理解することは、何を質問して何を質問しないのかを知る上で役に立つ、と氏は言う。

メインの演習のために、参加者に事例が説明された。いくつかの問題を抱えたある企業のエンジニア、というのが彼らの役割だ。彼らには、自分たちの会社のミドルマネージャのひとりに関する情報に基づいて、彼のユーザペルソナを作ることが求められた。Whittaker氏は参加者に、情報の分類方法やペルソナカードに記入する内容、設計方法について考えるようにアドバイスした。ペルソナの作成が完了すると、チームがローテーションして、別チームのペルソナに補足するように求められた。

この演習の目的は、参加者が自身の組織で試すことのできるように、ペルソナを作る練習をすることにある。Whittaker氏とJuanes-Vallejo氏は参加者に、ペルソナを作ることによってその人の何が分かったかを質問した。回答のひとつは、ミドルマネージャに影響を与えたければ、最もよい時間は朝だということが分かった、というものだった。もうひとつ彼らが学んだのは、何かをやりたければキーパーソンが誰かを聞く必要がある、ということだ。

発表者である両氏は、セッション終了時に、要点を次のようにまとめた。

セッション終了後、InfoQはClara Juanes-Vallejo氏にインタビューした。

InfoQ: ミドルマネジメントにアジャイルを採用する上で、どのような問題がありましたか?

Clara Juanes-Vallejo: 典型的な問題は、変革を遅らせたり、完全にブロックすることですね。最初の兆候は、部門の枠を越えたスクラムチームを初めて作ろうとした時に起こります。ミドルマネージャは“自分の人員”に関する所有権を求めて、彼らをスクラムチームから除外することで、チームに“取り込まれる”のを防ごうとします。“自分の人員”がスクラムチームに参加することになれば、彼らは魔法のような能力を発揮して、彼らに対する自分の影響力や権力が失われるからです ... ですが、このような人員の所有権という考え方は、まったくもって間違っています!マネージャによる管理から逃れたいという、管理される側の考え方も間違いです!優れたマネージャは部下に対して、所有や管理ではなく、相互尊重に基づいた良好な関係を築くのです。

重要なのは、このような行動が、組織が変われば自分が必要とされなくなるのではないか、という恐怖心に根ざしたものだということです。アジャイルを実践すればマネジメントはもはや必要とされない、という話は誰でも聞いたことがあるでしょう。そのようなメッセージは、自分の仕事に対する不安感を抱かせます。そうではありません、アジャイルにはマネージャが必要なのです!但し、適切な存在であれば、ですが。

InfoQ: この問題にはどのように対処したのでしょう、そこから何を学びましたか?

Juanes-Vallejo: そうですね、とにかく何をやっても、例えコントロールではなくファシリテータとなるようにコーチすることで支援しようとしても、アジャイルが嫌いだという人がいる、というのは興味深い事実です。そして、彼らの会社が本気でアジャイル変革を目指していると分かれば ... そうすれば、彼らは離れて行きます。それだけのことです、どうしようもありません(し、それはそれでよいのです)。

しかしほとんどのマネージャは、現実問題として、権限委譲や透過性といった概念の有用性を認めるに至ります。権限委譲すれば作業をチームに一任して、自身は戦略(運用作業よりも遥かにやり甲斐があるはず)に専念できますし、透過性は自らの置かれた状況の理解や、他から聞かされる希望や要求ではなく実際のデータに基づいた意思決定を可能にするからです。

私が学んだ最も大きなことは、まずは自分が理解して、それをミドルマネージャに投げ掛ければよい、ということです。そうすれば、この新たな方法論には何が期待できるのか、そのためにアジャイルはどのように役立つのかを、マネージャに説明することができます。アジャイルは実際に日々の作業をより容易にしてくれますが、それだけではありません。アジャイル採用による企業の発展に合わせて、自分自身のキャリアをも向上させてくれるのです!

 
 

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