FirefoxにWebVRサポートを追加した後、MozillaはWebにMR(Mixed Reality)をもたらす、WebXRと呼ばれる新しいAPIに取り組んでいる。WebXRはもともと昨年に発表されたもので、ゆくゆくはWebVRを置き換え、WebVRの利用者にスムーズな移行を促すことを目指している。
MozillaのVR/AR担当リサーチエンジニアリングマネージャであるLars Bergstrom氏は次のように書いた。
MozillaにおけるJavaScript APIに関して、新たな作業段階に入っています。これはVR(Virtual Reality)およびAR(Augmented Reality)プロジェクトをオープンウェブ上で作成・共有するのに役立つでしょう。
新しいWebXR Device APIは、ブラウザにおけるAR体験構築の基盤を提供し、リアルワールドとコンテクチュアルオーバーレイの統合を可能にする。たとえば、ユーザーは、Webページの背景をSkyboxで置き換えて、空、山、遠くの建物といったすぐ側にないもののライブイメージにすることができる。加えて、ユーザーがバーチャル空間をもっと自然にナビゲートできるように、WebXRでは音声やジェスチャーといった様々なユーザーインプットがサポートされる予定だ。
WebXRコミュニティは、現在の無線デバイスにある制約をターゲットにして、ドラフト仕様に取り組んでいます。たとえば、Skybox設定を作ることで、Webページの背景画像の変更を可能にします。また、初期のARプラットフォームのワールドセンシング機能をWebに開示する手段にも取り組んでいます。これにより開発者は、複雑なコンピュータビジョンのコードを必要とすることなく、バッテリ駆動のデバイスでサーフェイスを特定できるようになります。
WebXRの現在のドラフトは、光推定、アイトラッキング、Skybox, 静的3D favicon、コントローラサポート、コンピュータビジョンなどをカバーしている。Webページは、VR/AR能力を検出・クエリし、デバイスの向きと位置をポーリングし、没入感のあるARセッションに必要なフレームレートでグラフィカルフレームを生成する。仕様はまだ安定していないが、Mozillaは現状ベースで進め、必要に応じて必要な調整を行っていく予定だ。
最初は、Firefox Realityと呼ばれるFirefoxの専用バージョンで没入感のある体験がサポートされるが、その後、MozillaがWebVRをサポートする全プラットフォーム(Windows、Linux、macOS、Android、iOSを含む)にも展開されていく。iOSプラットフォームに関して、MozillaはすでにAppleのARKitに基づくARアプリをリリースしている。そのソースコードはGitHubに公開されている。このMozillaのiOS WebXR Viewerアプリは、MozillaエンジニアによるWebXRのARアイデア実験場のようなものだ。
WebXRについて詳しく知りたければ、現在の仕様ドラフトとWebXR Device API Explainerは必見だ。ここには、デバイス能力のクエリ、XRセッションのオープン、グラフィカルコンテンツの出力など、基本タスクを実行するための豊富なコードスニペットも含まれている。
Rate this Article
- Editor Review
- Chief Editor Action