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反省会での心理的安全性

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原文(投稿日:2018/09/06)へのリンク

インシデントが発生すると感情が前面で出てくる。学習プロセスの中で非難なしの心理的に安全な反省会は重要だ。反省会は穏やかに行い、なるべく部外者が参加し、非難なしで皆に話す機会を与えるべきだ。本当に何が起きたのかを明確に理解するまでは、インシデントの分析を開始してはならない。

AdaptavistでDevOps部門を率いているMatt Saunders氏は非難なしの反省会の心理的安全性についてAtlassian Summit Europe 2018で話をした。InfoQはこのカンファレンスの内容を記事やインタビューで取り上げている。

InfoQは氏にインタビューし、非難なしの反省会について、それが、アジャイルの振り返りとどう違うのか、感情への対処の仕方、反省会で皆が安全さを感じするためにできること、効果的な反省会を開催する方法について話を聞いた。

InfoQ: どんな場合に非難なしの反省会をするべきでしょうか。

Matt Saunders: どんなときであれ顧客に害を与えたインシデントが発生したときは、反省会をするべきです。そして、常に非難なしで実施するよう努力します。分析は簡単に魔女狩りになってしまいます。しかし、これはほとんどの場合、問題の根本を探ることにはなりません。何か問題が起こったとき、その問題が起きるか可能性がある状況になぜある人物がいたのかを分析しないのは近視的です。インシデントが起きたら常に非難なしの反省会をするべきです。何か予想していない事態が起きた場合もやった方がいいでしょう。

InfoQ: アジャイルの振り返りと非難なしの反省会の違いはどんなことでしょうか。

Saunders: いくつかの技法はとても似ています。アジャイルの振り返りの鍵となる考えは、チームの観点から何か起きたのかを分析することですが、これは反省会でも同じです。しかし、反省会は一般的に難しい状況で行われます。例えば、あなたの会社が障害で顧客を失った場合、皆が怒って答えを求めます。アジャイルの振り返りにも同じような圧力がかかる場合があるでしょう。しかし、反省会の方が、ストレスが強く潜在的に攻撃的な雰囲気で開催される可能性が高いです。

InfoQ: あなたは講演で、インシデントに対処するときの感情の影響について話しました。もう少し詳しく聞かせてください。

Saunders: エンジニアはいつも正しいことをしようとします。単にプロフェッショナルとしての誇りの問題ではありません。インシデントのときは、感情が前面に出てきます。このとき、平静を保とうと努力することができます。誰もが障害をいち早く直したいと思っています。しかし、この思いは高ぶった感情と大きな声で表されます。随分昔の意思決定が情動を伴って思い起こされます。しかし、これは役に立ちません。Richard Cook博士は"How Complex Systems Fail."という頻繁に言及される論文でコンピューターシステムが高度に複雑になり得ることを説明しました。あと知恵でインシデント後の分析が歪み、人々を愚かで防御的な気持ちに導きます。このような問題を念頭においた上で反省会を開催するのが重要です。

InfoQ: 非難なしの反省会でうまくいかないことはどんなことでしょうか。

Saunders: 結果に対して予断を持ってしまうのがよく起こる問題です。あと知恵によって明確な問題が反省会の結論になってしまいます。しかし、問題発生の現実はとても複雑です。行き過ぎた感情、パーソナルになってしまう人々もまたよくある問題です。役職者の影響も注意深く判断する必要があります。例えば、マネージャーが出席して、マネージャーとしてアドバイスをした場合、間違った判断になります。自由に話すことができないと感じてしまうからです。

さらに、組織的な制約がチームを間違いに導いてしまう場合もあります。中央チームに属するエンジニアが、他のシステムとの違いを知らないまま配置を実行してしまって失敗が起きる場合もあるでしょう。これはチームで管理できることではないかもしれませんが、インシデントの要因の重要な一部です。

InfoQ: 反省会を通じて皆が安全であると感じられるようにするにはどうすればいいでしょうか。

Saunders: 重要なのはインシデントについての反省会を実施しているのであって、ミスをした人についての反省会をしているのではない(実際に単一のミスでインシデントが起きたとしても)ということです。このことを中心に置いて反省会を実施する必要があります。反省会はチームや組織のための学習のプロセスであり非難ゲームではないということを始めに明確にしておきます。

個人を非難することは良い結果をもたらさないということは広く知られています。将来の恐怖を生み、システムを運用することに対して恐怖を抱くようになります。運用の流れも遅くなってしまうでしょう。反対に、反省会をより良いプロセスを生み出すための学習に基づくものとし、システムが運用者が失敗しないように手助けをする、というのが重要です。

このように準備し、上級の関係者を納得させられれば、安全を感じ、貢献しようと考え、より良いシステムを設計しようとします。

InfoQ: 効果的な非難なしの反省会を実施するためのアドバイスをください。

Saunders: 反省会は穏やかに実施します。部外者がいるといいでしょう。全員に非難なしで話す機会を与えます。インシデントの分析は何が起きたかについて明確な共通理解ができてから始めます。反省会を3つのセクションにわけます。タイムラインについて合意するセクション、何がおかしかったのかについて合意するセクション、そして、再び同じことが起きないようにするために何をするべきかについてのセクションです。

 
 

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