Gartnerは2017年から、“アプリケーション開発ライフサイクル管理”に代えて、“エンタープライズアジャイル計画ツール”に関する調査を実施している。アナリストによると、エンタープライズアジャイル計画(EAP)ツールは、顧客中心かつビジネス成果指向のプラクティスと継続的フィードバックを合わせて活用することによって、大規模なアジャイルプラクティスの確立を支援する。これは、プロジェクト中心のアジャイルツールと従来的なアプリケーション開発ライフサイクル管理(ADLM)からの進化を示している、というのが彼らの意見だ。
このMagic Quadrantでは、特に対象として、アジャイル方法論を採用したソフトウェア開発をサポートするツールを取り上げている。反復的開発と高度に加速化されたプロセスに根ざしたこのようなアプローチによって、Gartnerの筆者たちは、特に次のようなことをサポートするツールの必要性が増進されると考えている。
- ビジネス成果に基づく頻繁な成果の提供
- 作業フローに対する可視性の向上
- ユーザ視点から、特にエピックやユーザのストーリを使って捉えられた要件
さらにGartnerでは、次のような基準による採用と除外を定義している。
- 最低収益が1,000万ドルないし現地通貨での相当額
- 最低2人の顧客、500以上のライセンスユーザ
- ベータ版などの制限リリースではないユーザを対象とした一般的可用性
- サポートやトレーニングなどのサービスを提供するベンダ
- プロダクトが最低でも2つの重要なユーザケースをサポートすること
- 複数チームによるプロジェクト、クロスプロジェクト、およびポートフォリオ依存性の追跡と報告、ポートフォリオレベルのバックログを必ずサポートすること
- クラウドを必ずサポートすることと、顧客オプションとしてのオンプレミスでの可用性
- RESTfulな統合API
Gartnerでは、さまざまなベクタでの分析を通じて、“実行能力”や“ビジョンの完全性”によるツールのベンダの評価を行っている。調査を通じて収集したデータは、分析対象となったそれぞれの企業を、“リーダ”、“チャレンジャ”、“ビジョナリ”、“ニッチプレイヤ”の4つの既存グループのいずれかに位置づける上で使用される。次図はそのGartnerの基準に従って、現在のプレーヤが市場でどのようにパフォーマンスしているかを示したものだ。
その一方で、購入する側の企業は、エンタープライズアジャイルツールの選択に関して、さまざまな要因に対処する必要がある。自社のアジャイルプラクティスの習熟度はそのひとつだ。今回の調査では、81パーセントのケースにおいて、“開発文化を変えることが、依然としてアジャイル採用の最も重要な課題である”と報告されている。
ツールの選択理由としてユーザが最も多く挙げている理由は、次のようなものだ。
- プロダクト/プロジェクトの可視性の向上(対象となった顧客の76パーセントがこれを理由としている)
- 内部および外部業務の効率性の創造(70パーセント)
- チームのコーディネート(70パーセント)
- プラクティス採用の推進(69パーセント)
- ビジネスプロセスの成果の改善(67パーセント)
次のようにも述べている。
ほとんどの組織が、決定に際して、数多くのツールベンダを選択対象として検討しています。決定要因の大部分はプロダクトの機能とパフォーマンスが占めていますが、プロダクトのロードマップや将来的なビジョンも、全体のコストとともに重視されています。
Magic Quadrantの2018年版は今年初めに公開されている。Gartnerは先頃、具体的なユースケースを対象としていくつかのツールを分析した結果を、“critical capabilities of EAP tools”という補足資料として提供している。
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