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インテリジェントオートメーションの爆発的成長と蔓延する組織的課題

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原文(投稿日:2018/09/16)へのリンク

プロフェッショナルサービス企業のKPMGが先日公開した、“Ready, Set, Fail?: Avoiding setbacks in the intelligent automation race”と題する調査報告書は、インテリジェントオートメーション(IA)ドメインの急速な成長を実感させる内容になっている。報告書によると、この分野での総支出額は、現在の124億ドルに対して、2025年には232億ドルに達する見込みである。一方で、この成長予想には、ツールの成熟度や熟練した労働力、組織の変革管理、ガバナンス、投資利益率(ROI)に関する明確性の欠如など、数多くの課題もある。

インテリジェントオートメーションは、ユーザがタスクを完了するために通常行っているアクションを模倣する、新たなテクノロジーツールのセットである。McKinsey & CompanyのパートナであるFederico Berruti氏は、インテリジェントオートメーションを次のように定義する

ビジネスプロセスの改善と、反復的かつ複製可能なルーチンタスクの排除によってナレッジワーカを支援する、次世代型ツールのスイート。インタラクションの簡素化とプロセスのスピードアップにより、顧客の作業を劇的に改善することが可能である。

市況が多くの分野において利益マージンを圧迫し続ける中で、企業は、コストの削減と生産性改善を両立させる方法を模索している。Mckinseyの調査によれば、インテリジェントオートメーションを使用する企業には、次のようなことが可能となる。

50~70パーセントのタスクの自動化。これは年間の経営コスト効率の20パーセントから30パーセントに相当します。

IA市場の予測される規模は爆発的なもので、チャンレンジする企業には明確な節約が可能であることを一部の初期証明が示す一方で、課題も数多く存在している。KPMGの報告書には、企業における課題が数多く取り上げられている。

尋常ではない変化の早さに立ち向かうこれらの企業は、何百という技術的オプションの理解と選択、効率的なデータと分析の必要性、自動化対象の優先順位付け、将来的な労働力の定義といった課題に直面しています。

KPMGはさらに、マネジメントによる期待や組織内で展開する場合の対象範囲など、さらなる課題の存在も報告している。

経営幹部は、インテリジェントオートメーションの影響に対して高い期待を持っていますが、トップダウンで大規模に実施する段階にはまだ至っていません。2つの重要な問題を理解するまで、彼らは適切なROIの獲得に苦慮することになります。すなわち、1) インテリジェントオートメーションへの投資の決定には、Cレベル(経営層)の戦略的責務が必要である、2) インテリジェントオートメーションは単なるテクノロジの導入ではなく、ビジネスと運用モデルの転換である、ということです。

これらの課題の多くは、企業の変革管理に問題が多いことを暗に示すものだが、先日のHFS Top 10 Robotic Automation Products (RPA)レポートからも、IAテクノロジの成熟度に関するいくつかの洞察が得られている。特に、自動化されたプロセスの実運用では、期待した成果が得られていない。

必要となるコーディングおよびコンフィギュレーション量に関するクライアントエクスペリエンスは、[製品満足度の]最低レベルと評価されています。RPAの提供するバージョン管理やアップグレード、トレーニング、サポートなどについても標準以下でした。

HFSレポートに見られるもうひとつの評価は、これらのインテリジェントなソリューションが本当に“スマート”なのか、という点にある。

RPAに導入されたインテリジェンスのレベルは、ユーザによる評価が最も低いもののひとつでした。構造化データを処理するRPAの能力には定評がありますが、対象が構造化されていないデータ、あるいは半構造的なデータになると、その評価は大きく低下します。RPAプロダクトの人工知能(AI)機能に対して、ユーザは信頼を置いていないのです。

これらの課題は現在も続く一方で、KPMGでは、今後7年間のIAソリューションに期待できる結果と成長のサポートを含む、いくつかのケーススタディを公表している。その中のひとつでは、銀行の仮想アシスタントによる、顧客サービスの向上と増加するミレニアル人口(millennial population)によるニーズへの対応について言及している。このソリューションには、音声とテキストを用いた会話型インターフェースへのアクセスを提供することによる、24時間無休のバンキングエクスペリエンス提供の実現が含まれている。

このようなイニシアティブは、現時点では企業内で実験的に行われているに過ぎないが、企業全体におけるAIの優先順位を確定しなければ、自らのビジネスモデルと運用モデルがディジタル先進企業との競合力を維持する上で苦慮することになる、とKPMGは考えている。

 
 

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