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量子コンピュータとマシンラーニングの関係性を探る

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原文(投稿日:2019/01/31)へのリンク

量子コンピューティングにおける重要な研究分野のひとつとして、量子ニューラルネットワークのトレーニングへの量子コンピュータの応用に関わるものがある。Google AI Quantumチームは先頃、量子コンピュータとマシンラーニングとの関係の調査に寄与する2つの論文を発表した

最初の論文"Classification with Quantum Neural Networks on Near Term Processors"の中で,Googleの研究者たちは、現存する量子プロセッサの限界、特に量子ノイズのレベルの高さとエラー訂正の重要性に適したニューラルネットワークモデルを提唱している。

2番めの"Barren Plateaus in Quantum Neural Network Training Landscapes"では、勾配消失あるいは勾配爆発として知られる古典的ニューラルネットワークの主要な問題の防止策として期待されている、量子幾何学の特異性について検討している。

InfoQは今回、Googleの上級研究科学者であるJarrod McClean氏に話を聞く機会を得て、これらの結果の重要性に関する理解を深めるとともに、この問題をより大きなコンテキストで把握する上での一助とすることができた。

Google AI Quantumチームが先日発表した2つの論文で示された結論の重要性について、詳しく説明して頂けますか?

論文では,量子ニューラルネットワークに関する、2つの全く異なる結果を取り上げています。最初の論文は、従来的な分類タスクに量子ニューラルネットワークで取り組む上で使用可能な、汎用的な手法について示したものです。古典的なマシンラーニングのタスクや問題に対して,量子デバイスのパワーを適用するためのフレームワークとして、これは非常に重要なものだと考えています。量子コンピューティングのメリットを推測することしかできないのであれは、パフォーマンスを実証的に評価することが重要になるでしょう。この論文は、そのためのフレームワークを提供するものです。

第2の論文の成果は、量子ニューラルネットワークのトレーニングにおける、基本的かつ興味深い現象に関するものです。この現象は、量子回路における十分な無作為化がブラックホールに近い動作をし得ることにより、情報の取り戻しが極めて困難になる,という事実を反映しています。ただし,このようなトラップは、巧緻な戦略を使うことで回避が可能です。この研究の重要性は、これらのトラップがいつ発生し、どのように検出可能かを示している点にあります。量子コンピュータの効果的なトレーニング戦略を設計する上で、この知見の重要性が証明される時が来ると、私たちは信じています。

Google Quantumチームが現在取り組んでいる研究の方向性について、簡単に教えてください。次の目標は何ですか?

グループの大きな目標は、私たちの量子チップ上で,古典的タスクを超越したタスクを実行してみせることです。これは”量子超越性(quantum supremacy)”と呼ばれるものです。並行して、いわゆるNISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)量子デバイス上でも動作可能な、短期間アプリケーションの開発にも関心があります。こういったアルゴリズムやアプリケーションの開発は,私たちにとって依然として大きな目標です。特に強く関心を持っているのが,物理システムの量子シミュレーション,組み合わせ最適化,量子マシンラーニングという3分野への適用です。

量子マシンラーニングによって,どのような成果が期待できるのでしょうか?

量子マシンラーニングにはこれまで,少なくとも2つの潜在的アドバンテージがうたわれてきました。ひとつは,既存の古典的ネットワークのトレーニングの速度向上ないし改善です。この方向は,私たちの現在の研究対象ではありません。

ふたつめは,量子ネットワークが旧来のものに比べて,関心の確率分布をより簡潔に表現できる,という考え方です。このような考え方は,古典的手法ではサンプリングが難しいと確認されている量子確率分布が存在する,という知見を基礎としています。

この分布の違いが古典的データにも当てはまることが確認されれば,より正確なマシンラーニング分類器(machine learning classifier)をより安価に,あるいはよりよい汎化エラー(generalization error)で実現することが可能になります。ただし,現時点でのこの分野におけるメリットは,古典的データにおいてはおよそ推測の域を出ないものであり,従って古典的マシンラーニングの場合と同じく,最初に実証的な証明が必要と思われるものである点は,明確にしておきたいと思います。そのような理由から,今回の2つの研究では,近い将来の量子デバイスを使ってアイデアがテスト可能になることを期待しながら,その可能性の向上を試みているのです。

量子超越性とは,量子コンピュータが古典的なコンピュータでは不可能な問題を解決することができる,という推測である。量子コンピューティングにおいては最も注目されている分野のひとつであり,GoogleやIBM,Microsoftなど,ほぼすべての主要企業がこれに関わっている。Googleの場合,50量子ビットの量子プロセッサを開発することによる量子優位性の実証を目指して,コイン投げのシミュレーションを証明の場として使用している。

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