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高等教育におけるアジャイル: オープン大学での経験

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原文(投稿日:2019/03/21)へのリンク

大学はアジャイルとプロダクトのマインドセットを受け入れる必要がある。彼らは自分たちがほとんど理解していない新しい種類のプロダクトやサービスの仮説駆動の開発に取り組んでおり、またユーザの振る舞いやニーズもほとんど理解していないからだ、とオープン大学のトランスフォーメーションの長であるMatthew Moran氏は述べた。彼はアジャイルのマインドセット、原則、プラクティスをオンライン開発コースに導入するという現行の仕事について、Aginext 2019で講演を行なった。

大学はカリキュラム、授業、他のサービスをデジタルプロダクトの形式で生徒に提供するようになってきている。Moran氏は、”大学は今、たとえ納得していなくても、プラットフォームとプロダクトビジネスの中にいます。”と主張した。公立大学が楽しんできたモノポリーはもはや存在しておらず、グローバルな、オンラインの、貪欲で競争的な高等教育の市場がある、と続けた。古い大学は、小規模で新参のオンラインの競争者にその座を取って代わられるのだ。彼らは古い大学と同等か、それ以上の経験や資格、そして極めて有意に、エンプロイアビリティに需要の高いスキル、雇用主への紹介を提供することができるのだ。

英国のオープン大学は、その学習システムの中で10年近くアジャイル開発を実践している。2017年にオンライン開発コースをリーンとアジャイルプラクティスで実験することから始まった。Moran氏は、1つの方法を推奨したり強要したりはしないと説明した - どちらかというと、彼らのアプローチは実験駆動なのである。コースチームが様々な方法や技術を理解し、それらをチームのコンテキストやニーズに形作り、全員で共有できるような新しい働き方を開拓できるようにした。彼らは今や、スクラムを使う多くのコース開発チームをサポートしている。

Moran氏は、チームがフレームワーク、手法、コーチング、ふりかえり、新しいプラクティスの適応と評価、効果の測定を学ぶのをサポートする、小さな内部コンサルト業務を作ったと言及した。

“自分たちのインクリメンタルで実験駆動のアプローチに期待しています。メンバーやステークホルダーの検査に対して透明でオープンで、この仕事をもっとするため、アジャイルの採用をもっと広げるために必要な信頼を築くものなのです。” とMoran氏は述べた。

InfoQはMatthew Moran氏にインタビューを行い、大学におけるアジャイルの採用、アジャイルの価値と開発プラクティスの活用、大学における文化がどう変化したかについて聞いた。

InfoQ: 大学においてアジャイルの採用を遅らせた(遅らせている)ことは何ですか?

Matthew Moran氏: わたしたちはアジャイルの採用を、ITやソフトウェア開発を越えて多くの異なるドメインとセクターで見ています。カンファレンス、ミートアップ、イベントに行くといつでも、マーケティング、小売、製薬、防衛、政府などの人々に会えるのは素晴らしいことです。しかしながら大学はアジャイル組織を戦略的に考えることはおろか、アジャイル開発プラクティスの採用にも遅れています。

わたしはこの遅れは、程度の差こそあれ、大学のマネージャやリーダーの間で認識と知識が単に欠落しているせいだと考えています。また、組織として自分たちを管理する方法に関して、概して、かなり時代遅れな、実にのろまな大学のあり方に至っているとも思います。大学は、学者が活発なドメインにおいて卓越したイノベーションを生み出します - World Wide Webを発明したのも結局のところ学者なのです! - しかし彼らは、自身の管理の考え方に関しては、かなり伝統的になるのです。

エンタープライズアジリティのテーマを考えてみると、最近ではSriam Narayan氏(Agile IT Organization Design)やSunil Mundra(Enterprise Agility)による素晴らしい書籍があります。わたしは、英国の大学がその逆方向に進んでいるのではと危惧しています。高等教育学校や学科をますます大きなメガ学部へと統合していき、すべての人を「プロフェッショナルサービス」メガ部隊に統合し、それゆえ、大きくて機能的なアクティビティ指向のチームが、コミュニケーションとコラボレーションに膨大なコストを掛けた、意志決定の遅い、顧客視点とスタッフの強化が低いサイロに多数いるのを見ます。しかし、大学はアジャイルの可能性に気付き始め、数校では自身の組織レベルでストラテジとデリバリのトランスフォーメーションにアジリティを利用しています。シンガポール国立大学は英国の高等教育セクターにとって素晴らしい手本となっています。

オープン大学は英国で最も大きい大学で、200,000人の学生を抱えています。毎年、200近いオンラインコースを開設し、300近いコースを更新しています。わたしたちは、全てをオンラインコースで提供する英国で初めての大学で、学習システムにおいて10年近くアジャイル開発を実践しています。今のところはコンテンツの生産システムは出版パラダイムから得ていて、長いリードタイムと重厚な初期費用のあるウォーターフォールとなっています。しかし、オンラインコースチームは、教育経験と学生からのフィードバックに応えて、プロダクトをインクリメンタルに洗練できるようになる必要があります。

InfoQ: オンラインコースと関連するカリキュラムプロダクトの設計と開発にアジャイルの価値と開発プラクティスをどう活用するのですか?

Moran氏: アジャイルはエイリアンとか学術文化に拮抗するものとよく聞いていました。表面的には、なぜ人々がそう言うのか理解できますが、自分が完全にそう思っているかはわかりません。学者は新しい知識を仮説と調査と省察を通して開拓します。学者のコミュニティでは、これはインクリメンタルで、コレボレーティブな作業です。学者は恐らく多くの人より、透明であることの重要性、検査と適応を評価しています。両方とも調査と教育演習のためであるのです。これらは、チームにアジャイルの考え方とプラクティスを導入してサポートをしているわたしたちにとって、非常に強力なサポートとなります。わたしの考えでは、エイリアンや外生的コンセプトや専門用語を人々に押し付けようとするよりも、人々にとって重要で、彼らが大切にしている理論、概念、構文、慣習に基づいてこれらの基盤を構築するのがベターだと思います。

時折、これは人々に理論をしっかり守らせなければならないことを意味します。支持してはいるものの、恐らく実践にまでは移していないもの - このコンテキストにおいて尊敬と勇気の価値は絶大な効果を発揮すると思うのです。アジャイル開発を、ソフトウェアを越えた他のドメインに導入する人にお勧めします - あなたの組織やセクターにおいて、チームがアジリティを安心して理解し、評価し、実行に移せる既存の、強力で大切にしてきた理論、価値、当然のことには何があるでしょうか?

InfoQ: アジャイルマインドセットとアジャイルな働き方を適応するために文化はどう変化したでしょうか?

Moran氏: まだ始まったばかりですからね。わかったのは、ITやソフトウェアを越えて、人々はアジャイルの手法の知識や経験は持っていないかもしれませんが、それはアジャイルに関するアイデアや認識や、さらには誤解もないというわけではないということです。このことは明らかですが重要です - これらのアイデアや誤解について知る必要があります。なぜなら彼らは、チームがアジャイルについて学ぶことと、アジャイルの適応についてサポートしたことを取り消すことができるからです。

わたしはITとソフトウェアを越えた適応とスケーリングの議論において、十分な注意を払っているとは思いません。しかし、文化の変化について考えると、信頼というのはわたしたちにとって大きなことです。わたしの認識では、大学は一般的にかなり信頼が低いです - 文化はかなり政治的で、階層的で、これらの力はアジャイルの手法を導入しようとしている人に重くのしかかります。しかしそれでも、わたしが気付いたのは、リーンとアジャイルの旅は、チームが信頼と尊敬、幸福感とエンゲージメントを、互いに持てるようにしたということです。それはチームが古いサイロなやり方で得られるよりも、ずっと大きい度合いなのです。

InfoQ: InfoQ読者が高等教育におけるアジャイルをより学びたいとしたら、彼らはどこに行けるでしょうか?

Moran氏: 正直に言うと、そこかしこにあるわけではありません。TwitterLinkedInでわたしをフォローしてくれたら嬉しいです。オープン大学でのアジャイルの旅もブログに書いていますので、こちらでも他の世界中の大学におけるアジャイルに関する調査をシェアしています。

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