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NetObjectivesのAl Shalloway氏が語る,バリューストリーム管理における経営陣とマネージャの役割

原文(投稿日:2019/03/26)へのリンク

2018年12月のCapital One Agile Conferenceで行ったプレゼンテーションの中で,NetObjectives CEOのAl Shalloway氏は,バリューストリームに関わる活動と人々を組織化することの重要性,および価値のフローを最適化する上での経営陣やマネージャの役割について語った。氏はバリューストリームとマネジメントについて,"The Effective Organization of the Future"でも意見を述べている。

組織がアジャイルに移行する,あるいは変革への道のりを改善する上で,経営陣の取るべき役割は,その文化やパフォーマンスの目標に最も適した効率的な組織のビジョンをデザインし,それについて語ることだ。自らが変革を起こすのではなく,変革が必要であることが明らかになった時に,そのビジョンを示し,変革をサポートする。既定のフレームワークを組織に課すのではなく,組織が進むべき方向を明確にし,変革の各ステップにおいて皆を支援する。それが経営陣の役割なのだ。

経営陣は日々の変革活動には関与しないが,必要とあらば,マネージャやチームによる組織的障害の排除を支援する。HRリーダやインフラストラクチャリーダといった組織のリーダ全体と連携して,バリューフローを継続させるために,ネガティブなリスクを排除し,対処するのが経営陣だ。

アジャイル転換は,価値を提供する方法の変化として現れる。それゆえ経営陣は,バリューフローの背後にある組織構造,すなわちバリューストリームを構築し,日々の価値提供に最も近い位置にあるチームのネットワークに意思決定権を与える必要がある。開発はビジョンに従ったものでなければならないが,Shalloway氏によると,ほとんどの組織ではこれが十分ではない。それらに共通する特徴は,短期開発や早期リリースにのみ重点が置かれていることだ。

マネージャの役割はここにある — バリューストリームとは,最高の価値を最短の時間で提供することを目的とするものだ。この目標達成をサポートするためにマネージャにできるのは,その障害を取り除くことだ。障害の存在はバリューストリームに遅延を発生させるだけでなく,遅延を管理し追跡しなければならないチームに対して,余分な作業を発生させ,混乱を引き起こす。最も効果的な組織においてマネージメントの負う責務は,ハンドオフや,あるいはチームが取り組む優先事項があまりに多い場合の作業遅延といった,バリューストリームを妨げる組織的ブロッカを取り除いて遅延コストを削減することだ。

ビジネスの方向性と開発の方向性を一致させることもまた,マネージャの仕事である。これを達成するためにマネージャは,価値のエコシステムを最適化しながら,変革の複雑性と遅延コストを継続的に低減することを目標に,絶え間なく活動する。

TasktopのCEOであるMik Kersten氏は,"Project to Product"の中で,バリューフローを改善する権限を公式に与えられているマネージャが果たすべき役割として,バリューストリーム・ネットワークアーキテクトを提案した。マネージャは障害や無駄の根本原因を調査し,遅延コストと組織の複雑性を低減する責任を負う。

バリューストリームはリーダやマネージャが定義するものではない。チームが自らのバリューストリームをマップし,非効率性を特定する必要がある。マネージャはバリューストリームを中心とした人材の再編成を実施し,コンセプトから価値実現までの時間とフローを短縮しなくてはならない。マネジメントの役割は,遅延コストの低減において非常に重要なものなのだ。

Shalloway氏によれば,経営陣やマネージャは,ネットワークチームの活動内容や価値の流れとバリューストリームの働きを理解しているものと思われていることが少なくないが,大部分はビジネスイニシアティブをチームに結び付ける方法を理解しておらず,そのためチームが成功するために必要な環境やツールをいかに提供すればよいのか分かっていないのが実情だ。マネジメントの役割は,人々がより効率的に働くことのできる環境をデザインすることであり,そのような状況で働くことを可能にすることである。マネージャは,コンセンサスを基盤とする透過的なガードレールと同意の中において,人々が独立して活動することを信頼し,一貫性を持って振る舞わなければならない。

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