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分散型アジャイルチームによる作業から学んだこと

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原文(投稿日:2019/05/09)へのリンク

分散型チームでは、同僚との対面によるコミュニケーションが頻繁に行えないことが、コミュニケーションの成立を通常よりも難しくしている、とABN AMRO BankのスクラムマスタであるShabi Shafei氏は言う。氏は、アムステルダムで開催された"Agile, Testing, DevOps Showcase 2019"において、分散型チームを優れたアジャイルチームへと転換させる方法について講演した。

分散型チームが直面する大きな課題は、チームメンバ間の物理的な距離によるものだ、とShafei氏は言う。"同僚と定期的に、物理的に会えなければ、信頼やオーナシップ意識を築くのは難しい"、とする氏は、さらに、分散型チームでは文化の違いがより顕著になる、とも述べている。

Shafei氏が提案するのは、互いに協力を望む規範の確立に注力することである。有用なのはチームが明確な同意を持つことだ、と氏は言う。チームとしてのコミュニケーションの方法、情報の保存場所、全員が共有できる時間帯など、基本的な規則を明確にする必要がある。相互に訪問したり、あるいは定期的に集まる時間を設けることも重要だ。氏は昨年、自身がインドのチームメンバーを訪問した際のことを説明した。地理的に離れた同僚の仕事場の雰囲気を経験することができて、非常に貴重な時間になったという。

Shafei氏は講演で、分散型チームを優れたアジャイルチームに変えるための、5つの重要なヒントを紹介した。

  • コミュニケーションを可能にする: 適切なツールと、よりリッチなコミュニケーションチャネルを使用する
  • 正しい方法でキックオフする: 立ち上げ段階で短期間、すべてのチームメンバを物理的に1か所に集める
  • ゲームのルールを確立する: チームが自分自身を効果化し、成功を収める上で、必要な基本ルールを定義する
  • 知識サイロの形成を避ける: ロケーションを越えて知識を均等に広める
  • ローテーションプログラムを用意する: チームメンバが一時的に、別のロケーションに移動して、遠方の同僚と机を並べて仕事ができるようにする

投資がなければ収益は得られない、とShafei氏は言う。パフォーマンスの高い分散型アジャイルチームは、相応の投資(資金、労力、時間)なしには実現しないのだ。さらに氏は、考え方を変えなければ何も変わらない、とも言う。高度なツールを所持していて、定期的に互いを訪問したとしても、メンバが正しい考え方を持っていなければ、大した成果は上げられないだろう、と氏は主張する。

Shabi Shafei氏に、分散アジャイルチームで働いた自身の経験について聞いた。

InfoQ: チームアグリーメントは、どのように確立すればよいのでしょう?

Shabi Shafei: 方法はたくさんあります。一般的な方法は、チームで会議をセットアップすることです。誰でも参加できるように、音声、Webカメラ、ビデオ会議ソフトウェアなど、適切なツールを必ず用意してください。準備作業として、チームアグリーメントが必要なさまざまな"分野"を、前もって特定しておくと役に立ちます。重点的に取り組むべき共通分野は、コミュニケーション(どのような方法で互いにコミュニケートするのか?)、情報(どのような種類の情報を、どのような方法で共有するのか?)、コラボレーション(どのように連携するのか?)の3つです。

会議中は、デジタルポストを使用して、これら各カテゴリに誰でも入力を提供できます(例えば、funretroなどのサイトを調べてみてください)。会議の時間枠が適切に設定され、話し合いの時間があり、行動が適切に策定されることが必要です。アグリーメントが明確になったら、それを見えるようにして(それぞれの職場に掲示して)、チームと一緒に定期的に見直しましょう。

InfoQ: ロケーションを超えて知識を均等に広めることがなぜ重要なのでしょう、また、ABN AMRO Bankでは、どのようにしてそれを実現したのですか?

Shafei: 例えば、ひとつの場所には初級者ばかり、別の場所には上級者ばかり、というような、いわゆる"知識サイロ"を回避することは、極めて重要です。

私自身が分散型チームの運用を始めた頃、開発者とビジネスアナリストはすべてオランダから働いていたのに対し、テスターはおもにインドにいました。これは理想の形ではありません。さまざまなロケーション間で不平等感が生じるかも知れませんし、すべてのチームメンバーが共通のオーナシップを持つことが困難になる可能性があるからです。そのため私たちは、両方のロケーションにおいて、実用的なソフトウェア開発を十分に自己充足できるような、チームの構築に努力しました。実現のために、両地(オランダとインド)のさまざまなスキルと専門分野をマッピングして、潜在的な知識のギャップを特定しました。より多くのフィードバックを集めるために、分析の結果は、チームとのレトロスペクティブセッションでも発表されました。その後は、ロケーション間の知識のギャップを埋めることに努力しました。例えば、インドで作業しているチームメンバーがテストだけを担当するのではなく、開発やビジネス分析にも関与できるようにしたのです。結果としてチームの幸福感とベロシティが高まったので、チームにとって素晴らしい結果となりました。

InfoQ: 分散型チームを円滑にするために、スクラムマスタとしては何をしますか?

Shafei: スクラムマスタとしての私は、チームメンバ間のコミュニケーションを円滑に進めるために、透明性と信頼性のある雰囲気を作り出そうと努めています。他のスクラムマスタともベストプラクティスを共有して、分散型アジャイル戦略に関する共同アプローチを作成しています。分散型アジャイルチームには、ビデオ会議ツールが機能しなかったり、あるいはメンバ間の誤解の調整に役立たなかったりなど、日々の障害が比較的多いことも分かったので、それらの解決をサポートする必要もあります。

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