Microsoftは.NET Framework 4.8をリリースした 。過去2年間で最初の、重要な.NET Frameworkリリースとなる。
新しいリリースには、Windows Forms、WCF、WorkFlow、WPFなど、複数の製品分野における改善が含まれている。Base Class Library(BCL)と共通言語ランタイム(CLR)にも変更がある。このリリースに影響を受けるすべての製品分野において、さまざまなセキュリティの脆弱性に対処するためのバグ修正が行われている。
新フレームワークのリリースはWindows 10 May 2019 Updateの一部だが、Windows 7以降およびWindows Server 2008 R2以降でも利用できる。
新リリースは、Windows Formsに大きな影響がある。アクセシビリティ機能がいくつかの点で強化され、コンポーネントコントロールとNarratorとの統合により、視覚障害のあるユーザ向けのアプリケーション開発の支援が重視されている。新たな機能拡張によって、ユーザは、キーボードによるナビゲート時にツールチップを聞いたり、あるいは現在の作業領域以外で発生した変更についての通知を受けたりすることが可能になった。その他の機能拡張には、Windows Formsでのテーマの使用、CPUとメモリの使用量、全体的な制御動作に関連する、複数のバグ修正が含まれている。
WCFには、"?health"エンドポイントを公開する新たなサービス機能が加えられた。新しいエンドポイントでは、サービスの外部状態の監視や、リスナ障害などのイベント発生時に特定のHTTP応答コードを取得することが可能になる。開発者が個々のニーズに合わせて拡張したり、独自のビジネスルールに合わせたり、必要に応じてサービスの状態監視を強化したりすることも可能だ。
今回のリリースでは、WorkFlow、WPF、WCFにも大きな影響がある。WorkFlowには、チェックサムとメモリ内キャッシュキーを生成する新たなハッシュアルゴリズムが導入されて、既存のアクセシビリティの問題が解決されている。WPFは、アクセシビリティ、メモリ使用量、その他クラッシュにつながる複数の問題が修正されるとともに、自動化制御や高DPIモニタでの表示に関する改善が行われている。
BCLの圧縮ライブラリが最新のzlibバージョン(1.2.11)にアップグレードされ、デフォルトのコンテンツアルゴリズムがEnvelopedCmsからAESに変更された。 CLRでは、System.Thread.Timerのスケーラビリティと、全体的なプロファイリングパフォーマンスが改善されている。さらに、.NETをアンチマルウェア・プロバイダと統合して、バイト配列からロードしたアセンブリをスキャンすることも可能になった。
今回のリリースにおいてMicrosoftが、新機能の導入よりも、既存のバグ修正やセキュリティ脆弱性へのパッチ、影響を受けるすべての製品分野でのパフォーマンスの向上に重点を置いたことは、.NET開発コミュニティからすぐに注目を集めることになった。しかしながら、.NET Core 3 Preview 4のリリースや、 ASP.NET Core 3とEntity Framework Core 3のアップデートも並行して実施されている。Coreに関するイニシアチブは、オープンソースコミュニティに対するMicrosoftの姿勢を表すものだ。
新たなフレームワークのリリースが対象とする他の製品分野は、ASP.NET、ClickOnce、Networking、SQLなどだ。アプリケーションの互換性に関する詳細は、こちらで確認できる。すべてのAPIの変更はこの資料に、完全なリリースノートはここにある。