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Apache Sofiware Foundationの20年 - ApacheCon 2019開幕基調講演より

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原文(投稿日:2019/09/11)へのリンク

先日ラスベガスで開催されたApacheCon North America 2019の開幕基調講演セッションでは、20周年を迎えたApache Software Foundation(ASF)の重要テーマとして、ASFの歴史、コミュニティとコラボレーションに対する強いコミットメント、一般からのコントリビューションを促進するための活動などが挙げられていた。さらにセッションでは、天体物理学者のDavid Brin氏による、AIの潜在的な危険性に関する講演も行われた。

ApacheCon Northa America 2019 Keynote

セッションは、Mark CoxRoy FieldingJim JagielskiBrian BehlendorfCliff SkolnickLars Eilebrecht各氏による、ASFの創設メンバをフィーチャーした、創設者のパネルディスカッションから始まった。参加メンバはそれぞれ、自らがどのようにプロジェクトに参加したかを語り、Apacheの成功に対するコミュニティの重要性について説明した。創設者の多くは1998年6月、Apache Groupの開発者の一部がサンフランシスコに集まったミーティングに参加しており、これがASF設立の契機となった。グループのメンバたちは、実際に顔を合わせるまで何年もの間、電子メールを通じて協力していた。

創設者全員が訴えたのは、コミュニティ、コラボレーション、コントリビューションの重要性だ。RESTアーキテクチャを最初に解説したことで有名なFielding氏は、グループの特徴として、商業的および学術的背景を持ったメンバが世界中から参加している点を挙げた上で、グループの成功の鍵が組織的な自己組織化と協力にあったことを指摘した。Skolnick氏は、氏とコントリビュータたちがビジネスを始める上でWebサーバを必要としており、コラボレーションすることで、それぞれが"少し与えて、多くを得る"ことができた、と説明した。また、Ellebrecht氏は、自身がそれほど多くのコントリビューションをしていなかったことから、グループに参加するという自身の選択に当初は戸惑っていたが、Ben Laurie氏(創設者のひとりで、当日は不参加)の、"コントリビュートしたコードの行数で貢献度を測っていたら、こんなに発展しなかったよ"、という発言に共感を覚えた、と話した。これについてはJagielski氏が、次のようにコメントしている。

オープンソースとApacheは、私がこれまでに返した以上のことをしてくれました。ですから私は、コミュニティに返すためにできる限りのことをしたいのです。

パネルセッションの後、SF作家で天体物理学者のDavid Brin氏が、AIの潜在的な危険性と可能な解決策について講演した。"Algorithm Soup"と題した講演の中で氏は、既存の"浮遊性(free-floating)"アルゴリズムとプログラムを、40億年前に地球上の生命誕生の契機となった"原始スープ(primordal soup)"と比較した。 Brin氏は、AIをプログラムする意図的な活動からではなく、このスープからAIの"生命"が生まれるのではいか、と予想している。さらに氏は、多数の中流階級と少数の上流階級 — および下流階級 — という、"ダイアモンド型"社会に生きることに我々が慣れている点を指摘した上で、AIエンティティがもたらす脅威は、上位にある独裁的なAIエンティティと下位に置かれた人間という、"ピラミッド型"社会への回帰にあることを示唆している。このような脅威に対する解決策としてBrin氏は、責任説明を持つことのできるIDにAIエンティティを分割するために、"細胞壁(cell walls)"を構築することを提案した。基本的には、異なるAIエンティティ間の競争が、人間を保護することになる。

Author and Speaker David Brin

Brin氏に続いて登壇した、IBMのOpen Technology CTOであるChristopher Ferris氏は、オープンソースプロバイダがテクノロジのライセンスを変更して、オープンソースとしてのコードの使用を困難にしている現状を取り上げた。クラウドプロバイダがOSSパッケージのマネージバージョンを販売しながら、そのプロジェクトにまったく貢献しない、というパターンもある。氏はRedmonkのSteve O'Grady氏の言葉を紹介した。

商用オープンソースプロバイダは、オープンソースとプロプライエタリソフトウェア両方のメリットを得ようとして、境界を曖昧にしたモデルに転向しようとする傾向があります。しかし、そのような試みは、結果として両方の弱点で終わる可能性が高いのです。

Ferris氏は、"テクノロジーリーダはオープンソースを消費するだけではなく、オープンソースに貢献もする"と主張し、IBMが、プロプライエタリソフトウェアとメインフレームの企業であるという認識とは対照的に、社内プロジェクトから多くのオープンソースをリリースしている点を強調した。さらに氏は、IBMがASFの設立の支援だけでなく、Linux FoundationEclipse Foundationにおいても中心的な役割を果たしている点にも言及した。これまでのIBMは仕様の標準化を強く主張してきたが、同社の新たなスタンスは、標準は重要だが、オープンソース実装によって相互運用性を促進すると同時に、ベンダのロックインを排除する共通コードベースを提供する、というものだ。その鍵となるのはオープンガバナンスである。単一のベンダがソフトウェアのライセンスを任意に変更できなくすることで、採用時のリスクが軽減され、ソフトウェアがより大きな成功を収めることが可能になる。ASFとLinux Foundationの成功は、企業の利益に関係なく、開発者たちが力を合わせるための"セーフスペース"を提供したことにある、と氏は指摘した。

DataStaxの創業者兼CTOのJonathan Ellis氏が次に、Apache CassandraTinkerpopプロジェクトに対するDataStaxの"3つの柱のコミットメント"として、コード、コンテント、コミュニテイについて講演した。コードの柱の紹介として氏は、パブリッククラウドベンダとオープンソースソフトウェアにコントリビューションする企業との間にある緊張関係に言及した。特に取り上げたのは、Managed Streaming for Kafka(MSK)サービスを販売しながら、Kafkaプロジェクトに"大した"貢献をしていないAWSに関してである。MSKは、プロジェクトのコントリビュータであるConfluentの提供するKafkaサービスと競合関係にある。多くのオープンソースベンダは、一部のディストリビューションのライセンス契約を変更することで対応したが、この問題に対する明確な解決策は存在していない。

DataStaxは主として、近くリリースされる4.0を含むCassandraのコードベースにコントリビュートしている。同社はまた、同社のプロプライエタリなドライバのリプレースとなる、負荷分散機能の強化やSpring Bootのサポートといった新機能を備えた統合Cassandraドライバセットを、近々オープンソースとして公開する予定である。さらにDataStaxは、Tinkerpopグラフデータベースへの最大のコントリビュータとして、次期リリースの開発も行っている。Ellis氏はまた、Cassandraクラスタ用の監視ツールとして、DataStax Insightsという新たなクラウドベースのプロダクトを発表し、すべてのCassandraユーザに無料利用枠を提供する予定であることを明らかにした。

ASF President Sam Ruby

現在はASFの社長であるSam Ruby氏が最後に登壇し、"フェザーの状態(State of the Feather)"と題して講演した。最初に氏は、Apacheプロジェクトへのコントリビューション経験について聴衆に質問し、最初に行ったのがいつ頃だったのかを尋ねた。5年以下のコントリビューション歴を尋ねる段になった時に氏は、ASF理事会が近いうちに、彼らのような"若い"メンバが参加するようになってほしい、と希望を述べた。氏自身、1999年に最初のコードのコミットを行なって、2003年にはApacheの理事会に参加している。

Ruby氏は、ASFのプロジェクトとコントリビュータの成長グラフを示し、過去20年間、ほぼ線形に安定して成長していることを指摘した。ASFでは現在、7,000人以上のコミッタを持つ334のプロジェクトをホストしている。Ruby氏はASF成功の要因を、"ボトムアップでコミュニテイ中心のオープンソースプロセス"である、と評価した上で、資金調達やコミュニテイ開発、新たなライセンスなど、過去1年間のASFの活動の概要を発表して、講演を締め括った。
 

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