PayaraがPayara Server 5.193.1をリリースした。これによって同社は、Eclipse FoundationやIBM、Red Hatとともに、2019年9月10日のJakarta EE 8の公式リリース以降にJakarta EE-8準拠と承認されたプロダクトの提供者のひとつになった。
CEOのSteve Millidge氏は、次のように述べている。
Payara Platfom 5.193.1によって、Jakarta EE 8の完全なプラットフォーム準拠を最初に達成した数少ない企業の仲間入りを果たせたことを、Payaraチームは心から誇りに思います。Payaraとチームにとって今回のリリースは、多大な開発努力が実を結んだ、大きなマイルストーンになりました。さらに、Payara ServerがJava EE 8の実装でないということは、Jakarta EEがオープン標準であり、新たな組織や実装への導入が可能であることを示す上で、Jakarta EEの一般的な採用例として大きな意味を持つものだと思っています。
2016年に創立されたオープンソース企業であるPayaraは、Javaコミュニティでは新参者の部類に入るが、2016年のMicroProfileイニシアティブのローンチの初期コラボレータのひとつであると同時に、Jakarta EEの戦略的メンバとしても活動している。Eclipse FoundationのエグゼクティブディレクタであるMile Milinkovich氏は、今回のPayaraのマイルストーン到達を次のように称賛する。
公約であったJakarta EEのオープン仕様とブランディングプロセスを達成した最初の企業となったPayaraを、心より祝福します。同社がこのエコシステムでは新しいベンダであり,Java EEライセンスを所持していなかったことは、特に注目される部分です。Jakarta EEのオープンコミュニティプロセスに、新たな組織や実装が加わるのは素晴らしいことです。Payaraの切り開いた道に、今後多くの組織が続くことを強く期待しています。
Jakarta EE仕様とAPI、TCKはすべてオープンソースであるため、ベンダはTCKにアクセスして、自身のプロダクトがJakarta EE 8準拠であると証明することができる。これに対して、プロプライエタリなJaka EE TCKにアクセスするには、Oracleとの複雑なライセンス契約が必要である。
PayaraのJavaソフトウェアエンジニアであるPatrik Duditš氏が、今回のマイルストーンについてInfoQに語ってくれた。
InfoQ: 現在のあなたの責務は何ですが、つまり、毎日どのようなことをしているのでしょうか?
Patrik Duditš:エンジニアリングチームで、Payara ServerやPayara Microをさまざまな方法で改善する作業に従事しています。10年前からあったバグを解決したり、最新のMicroProfile APIサポートを実装したり、Jakarta EE TCKを実行するためのビルドスクリプトを書いたりしています。
InfoQ: TCK認証プロセスは正確に機能しているのでしょうか?
Duditš:Jakarta EEのオープンな認証プロセスのおかげで、テストスイートをパスさえすれば、プロダクトをJakarta EE準拠と認証することが可能になりました。
TCKは、多少幅が広いことを除けば、エンタープライズアプリケーションのテストツールであるArquillianと概ね同じような動作をします。スイートは、各アプリケーションをさまざまな面からテストするための、多数の小さなアプリケーションで構成されています。アプリケーションはサーバにデプロイされると、複数のトランスポートを使用するように起動されます。サーブレットやJSPページ、アプリケーションクライアントコンテナ、といったように、です。
InfoQ: TCKには50,000近いテストがありますが、認証プロセスにはどれくらいの時間が必要なのでしょうか?
Duditš: テストスイートをすべて実行するには、120時間近く必要です。とはいえ、フィードバックループに1週間も費やすことはもちろんできませんから、一晩で完了するように70程度のジョブに分割しています。このアプローチはGlassFishの方法にヒントを得たもので、その後TCK CIジョブをJavaコミュニティがレビューする場合もあります。
InfoQ: TCKプロセスを導入するには、どうすればよいのでしょうか?
Duditš: 最初はGlassFishを使ってプロセスを実行してみるとよいでしょう。GlassFishのディストリビューションは、テスト用に予め設定してあります。特にテストをパスするための環境設定方法については、ここから多くのことを学べると思います。
Payaraでのテストについても、ランナやポーティングプロセスをオープンソースとして公開する予定です。これが叶えば、TCKテストのサブセットを、当社のサーバ上でも行えるようになります。
TCKディストリビューションはJakarta EE PlatformのWebサイトからダウンロードして、プロダクトを実行するために設定することが可能です。テストレポートの関連部分は、互換性要求と合わせて提示されます。
InfoQ: Payara ServerとPyara Microの今後の見通しを、特にJakarta EEとMicroProfileのサポートについて教えてください。
Duditš: 現時点では、標準の更新を引き続きサポートすることが中心になります。12月初め以降の最新リリースについては、すでにMicroprofile 3.2をサポートしていますが、今後はさらに、Jakarta EE 9と次世代MicroProfileをサポートすべく、コミュニティに積極的に関わっていきたいとい思っています。詳細は、今年1月にリリースされた2020年のロードマップを参照してください。
オープンソースのミドルウェアプラットフォームであるPayara Serverでは、プロジェクトへのコントリビューションに関心のある開発者を広く求めている。すべてのオープンソースプロジェクトがそうであるように、無償の、コントリビュータ同意書へのサインが必要だ。