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エッジからクラウドへ - Tesla Virtual Power Plantの構築

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原文(投稿日:2020/03/18)へのリンク

先日のQCon London 2020で、TeslaのエンジニアたちがTesla Virtual Power Plantについて講演し、同社が構築したソフトウェアが分散コンピューティングと再生可能エネルギの最も困難な問題にいかに対処したかを説明した。講演ではTeslaがIoT、エッジ、クラウド、リアクティブなアーキテクチャを活用した方法が、50分間にわたって詳細に語られた。

Tesla Virtual Power Plant(VPP)は、エッジコンピューティングを活用したクラウドネイティブアーキテクチャの最新事例である。かつてない変化の中にあるエネルギ市場の要求に応えるべく構築されたこのシステムには、エッジテレメトリを備えたリアクティブアーキテクチャとエッジデバイスのコマンド/コントロールにより、山と谷の連なるエネルギ市場の激しい変動を処理することの可能なプラットフォームの実現方法が示されている。

それ自身のキャパシティを保存する能力を持たないエネルギ市場では、電力消費の需要と供給にマッチするような調整能力は不可欠である。このコントロールは従来、発電プラントの出力の増減によって行われてきた。これをコントロールする能力がなければ、市場はブラックアウトに直面し、インフラストラクチャはダメージを被り、巨額のコスト超過が発生する。小規模な再生可能エネルギリソースの導入により、需給関係の調整とコントロールはさらに難しいものになった。VPPは、小規模なプロバイダを集約することによって、エネルギ市場への参入を可能にするソフトウェアだ。

VPPでは、リアクティブストリームを活用して消費者の自宅にあるようなエッジデバイスを予測管理する、レジリエントなメッセージ駆動システムを提供する手段として、クラウドベースのプラットフォームを使用する。VPPはこれを、ネットワークパーティションや異種コンフィギュレーション、エネルギ市場のダイナミックなニーズといった問題に直面しながら実行するのだ。

Tesla VPP アーキテクチャ

予測とエッジデバイス管理を可能にする中心的なコンセプトは"デジタルツイン(digital twins)"だ。セッションの中で、講演者のひとりである同社シニアスタッフソフトウェアエンジニアColin Breck氏は、デジタルツインのコンセプトを次のように説明した。

[...] ソフトウェア内に仮想的にモデリングされた、IoTデバイス(バッテリ、インバータ、充電器など)の物理的表現。氏はさらに、これがデバイスとその関連性の"モデリングと現在の状態を表現する"ために使用される、と述べている。

システムとデジタルツインはクラウド内に、Akka上のアクタモデルを使用してモデリングされている。Lightbendの開発したAkkaは、並列分散アプリケーションの構築を容易にする、JVM用のオープンソースのツールキットである。Akkaが、その稼働するプラットフォーム上において詳細な粒度のメッシュを提供する — イミュータブル(immutable)なメッセージパッシング、サーキットブレーキング、リトライといった機能を提供する — 一方で、粒度の粗いサービス管理にはKubernetesが使用され、そのコンテナオーケストレーションエンジンによって伸縮性(elasticity)、復元性(resilience)、可用性(availability)といった機能を提供している。AkkaとKubernetesに加えて、このプラットフォームではAkka StreamsAlpakkaを活用して、数百万のIoTデバイスに加えて、Scalaによる記述を中心とした150のマイクロサービスからなる多言語環境からも発するテレメトリを、Kafaクラスタに取り込むためのインターフェースとして使用している。

プラットフォームによって提供されるインフラストラクチャを活用して、同社のチームでは、Teslaのサービスにオプトインされたエッジデバイスを対象に、予測の結果から推奨されるコントロールプランを配信するアプリケーションである"Autobidder"を構築した。講演者のひとりである、同社スタッフソフトウェアエンジニアのPercy Link氏が"共同最適化(co-optimization)"と呼ぶプロセスを用いて、ローカルデバイスのオーナと市場全体のニーズにして、デバイスレベルでの対処が行われる。共同最適化は、コンシューマ個々の目標に従って、市場全体のニーズに応えるように機能する。

講演の中でBreck氏とLink氏は、エネルギプラットフォームのアーキテクチャを取り上げた。単一のバッテリ(オーストラリアのHornsdale蓄電施設)を使用したエネルギ市場への対応からの教訓、エネルギピークの予測とカットを可能にする方法などを取り上げた後、氏らは、Autobidderがこのアーキテクチャを使用して、リアルタイムで市場への参入を可能にする方法について詳細に説明した。その中で両氏は、分散システムのエンジニアとして、アプリケーションとプラットフォームの構築を通じて発見した要点について、上級開発者を対象とした解説を行った。具体的には次のようなものだ — リアクティブの原則を取り入れること、開発者を(制限するのではなく)解放するための制約を学ぶこと、テクノロジ選択では安全策を取る(follow paved path)こと、バウンダリにおける複雑性を管理すること。

講演の内容は、エッジデバイスのテレメトリとコマンド/コントロールを活用した現代的なリアクティブシステムと、分散システム構築における専門家レベルのガイダンスを兼ね備えた、素晴らしい事例紹介だった。Tesla Virtual Power Plantは、Qcon Londonからオンライン公開されるビデオの、最初のバッチのひとつになる予定である。間もなく公開されるプレゼンテーション全体を、オンラインで見てほしい。

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