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Volkswagenのソフトウェア主導企業への変革

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原文(投稿日:2020/05/28)へのリンク

Volkswagenが同社のソフトウェア開発方法を変革しようとしている。自身の開発スキルを取り戻し、新たなテクノロジとメソッドに基づいた新製品の開発に重点を置いているのだ。使用するテクノロジはチームが独自に決定する。

Holger Urban氏はOOP 2020で、Volkswagenのソフトウェア主導企業への移行について基調講演を行い、その課題と機会、成果について発表した。

Volkswagenは自社のビジネス形態を自動車メーカからモビリティプロバイダへと移行させつつある。ビジネス需要が拡大し、ユーザやテクノロジのニーズを取り込んだ結果、複雑性のレベルが高まることになった、とUrban氏は言う。

Volkswagenは社内に専門知識を蓄積し、開発者コミュニティを確立しようとしている。Urban氏によれば、開発者たちは共通のコードリポジトリで作業を行っている。

WolfsburgにあるSoftware Development CenterのオフィスリーダのひとりであるHolger Urban氏に、Volkswagenが直面している課題、使用しているテクノロジ、ソフトウェアの開発方法、移行の過程で学んだことについてインタビューした。

InfoQ: ソフトウェア開発の移行過程において、Volkswagenが直面した課題は、どのようなものだったのでしょう?

Holger Urban: いろいろな課題があります。これまでは、特に自動車産業においては、ビジネス上の要求に対する強い対応が常に必要でした。特に重要なのがコスト、品質、そして時間です。

最近では、ユーザやテクノロジといった新たな要素がこれに加わりました。ユーザは速度や機能、そしてもちろん、製品のユーザビリティに関心があります。テクノロジの面でのニーズは安定性、スケーリング、可用性といったものです。

これらの課題がVolkswagen Group(現在13のブランドがあります)のサイズと相俟った結果として、高度な複雑性を伴うものになっています。自動車メーカからモビリティプロバイダにビジネスを移行するためには、リプレースしなければならないレガシシステムも多数あります。これだけ課題があれば十分ですよね ;-)?

InfoQ: どのようなテクノロジを採用しているのでしょうか?その理由も教えてください。

Urban: 企業の規模が大きいので当然ですが、依存するテクノロジはさまざまです。SDC(Software Develop Center)では、開発のバックボーンとしてクラウドソリューションを採用しています。このために、独自の開発プラットフォームを構築しました(AWSをベースとしたVWS VW Cloud Services)。

使用するテクノロジ — プログラミング言語、フレームワーク、ツールなど — は各チームが独自に決めています。この方法で、これまで非常にうまくいっています。どのテクノロジが適切なのかを、それを毎日使う仲間以上に分かる人はいませんよね?

InfoQ: Volkswagenでは、どのようなやり方をしているのでしょう?それはどのような理由からなのでしょうか?

Urban: 私たちはVolkswagenで"back to tech"というイニシアティブを立ち上げました。過去10年間、アウトソーシングが大きな問題になっていました。それによって、ソフトウェア開発の専門家をたくさん失うことになったのです。"back to tech"では、この数年の間、社内にある程度の専門知識を再構築してきましたが、まだ完了ではありません。すべてを社内開発しようというのではありませんが、中核となるビジネス知識に関するプロジェクトは、社内に留め置くべきだと思います。

SDCでは、社内に開発者コミュニティを確立したいと思っています。すべての開発者をつなぐのはコードです。この理由から、共通のコードリポジトリを立ち上げて、グループの全開発者にこのコードへのアクセス権を与える作業を行っているところです。ロケット科学のようではないかも知れませんが、私たちの複雑な環境の中で、特に外部パートナの協力がいまだ必要な状況においては、これは大きなチャレンジです。

複雑な課題がたくさんある、という話を先程しましたが、その解決方法は当然ひとつだけではありません。このために、いくつかのSDC方式を展開してきました。その中のひとつについて、詳しく説明しましょう。外部のあるテクノロジ企業との協業の中で、XP(extreme programming)の価値に大きく依存したメソッドをBerlinで始めました。中でも特に、ペアリングとTDD(テスト駆動開発)、バランスの取れたチーム(balanced team)を重視しています。今はこのメソッドを、WolfsburgやLisbonといった他の場所に展開しているところです。

InfoQ: 今回の経験から、どのようなことを学びましたか?

Urban: たくさんのことを学びました。なによりも重要なのは、開発スキルを取り戻すことです。また、複雑なレガシシステムに新機能を実装するのは無意味なことですから、思い切って捨てて、新たなテクノロジとメソッド(TDD)に基づいた新たなプロダクトを開発しなければなりません。私たちはユーザエクスペリエンスを製品の中核においています。ステアリングコミッティのためではなく、ユーザのためにプロダクトを開発しているのですから、常にそのメリットを考え、目に見えるメリットがないのならば、そのプロダクトは止めるべきです!

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