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継続的な組織改革によって企業の急成長に対応する

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原文(投稿日:2020/07/09)へのリンク

急速に成長する企業には、さまざまな規模のさまざまな構造が必要になる。構造、プロセス、役割を繰り返すことで、企業の成長に伴って企業自身を改革し続けなければならない。企業の変革を成功させるには、継続的な学習が不可欠であると同時に、高いレベルの企業規模のアジリティが必要である。

Hendrik Haandrikman氏はStretch 2020で、チームあるいは企業全体を最高速度で構造化し、継続的に再編成する方法について講演した。

Bitrise(訳注: モバイルに特化したCI提供企業)は、単一の意思決定単位を持ったひとつの大規模な多専門的チームという構造から、複数チームによる体制に移行した。その際に同社は、外部依存を最小限とし、一方向的な決定が可能なようにチームを編成した。

速度を最大化するためのチームの構造化と継続的な再編成は、システムを理解することから始まった、とHaandrikman氏は言う。

ビジネス成果に対して、チームはいつ、どのように影響するのでしょう?この問いから基本的な"ミッションステートメント"を抽出し、チーム全体に所有の感覚を浸透させることによって、プロセスではなく、結果に集中するようになります。

十分な情報を持ち、適切なツールと構造によって力を得たチームは、この"再編成(reorganization)"を実際に数多く発生させ、自然に発露させるようになる、とHaandrikman氏は述べている。リーダはチームのミッションと、チームが協力する様子に注目していればよい。

InfoQは今回、Bitriseの成長担当VPであるHendrik Haandrikman氏にインタビューして、継続的な組織再編成を実現する方法、急成長企業が自身を改革する方法、変革による社員のオーバーロードを回避するために可能なこと、などの話題について聞いた。

InfoQ: 継続的な組織変革(organizational transformation)をどのように定義しますか?

Hendrik Haandrikman: 継続的な組織変革を話題にする時、実際に議論されるのは再評価の継続であり、構造やプロセスや役割の繰り返しなのです。このような環境は、急速に拡大する企業で見られるものです。そこでの働き方は、成長の過程で遭遇する、新たな課題の連続射撃によって決まることが少なくありません。

そのような混乱の中にも秩序があって、企業の新バージョンや変革のすべてがデータや洞察によって決められるのであれば、それが理想的です。このような企業において、継続的な学習が不可欠な理由はそこにあります。

InfoQ: 急成長する企業は継続的に自己改革する必要がある、という話題がありましたが、それについて詳しく説明してください。

Haandrikman: この継続的な改革の必要性を裏付ける、最も基本的な原則として、従業員数によって必要とする企業の構造やサイズが異なる、という事実があります。5人の会社で運用されるプロセスが50人の組織では不十分であり、50人で実施されているプロセスが500人ではまったく役に立たないというのは、誰にでも理解できることです。

成長する企業では、これらさまざまな"人員数問題"が、その他の数限りない内部的および外部的影響と相まって、時間とともに企業に重くのしかかってくるのです。規模が大きくなると、新たなカスタマセグメントが生まれたり、生産ラインが追加されたり、新たなチャネルが導入されたりします。このためには、すでに確立された企業では経験したことのないようなレベルのアジリティが必要なのです。

InfoQ: チームの自己適応や自己組織化は、どうすれば可能になるのでしょうか?

Haandrikman: 一例は、内部的にリソースが不足しているチームです。外部からリソースを繰り返し取り込んで役割に組み込み、チーム内部の機能へと発展させなくてはなりません。このような作業は、大きなチームよりも小さなチームの方がうまくいくのですが、それは単に、変更をする場合のコンセンサスが簡単に取れるから、という理由によるものです。長期的には、もっとモジュール化する方法を探らなくてはならないでしょう。チームを集結させた上で、改めてプロジェクトや、その他の状況に応じた形に分割することになります。

InfoQ: 企業全体を再編成するためには、何ができるのでしょう?

Haandriken: このような再編成の大半は — 私の経験では — チームが時間とともに進化するという、もっと穏やかなプロセスです。これらの変化の多くは、どちらかというとアドホックで、組織全体による適切なサポートを受けられていないため、自分が"スケールアップできないことをしている"(Paul Graham氏の有名なエッセイ)と感じることが少なくないでしょう。時間が経過し、この組織的負債が積み重なると、この負債の一部を返済したり、より効率的なシステムへと"公式に"再構成する過程において、急激に大きく変化する瞬間ないし一定期間を経験することになるでしょう。

このような大きな変化は、ひとつの大きな機能横断型チーム(スタートアップ企業の初期)を機能別に分割した上で、ビジネスにとって重要な特定領域に従って完全な機能横断型チームに再び分割する、というパターンにつながります。機能別の部門が機能横断的な部門になり、その結果として機能別チームが機能横断的なチームになることで、全体がフラクタル(自己相似的)になるのです。

企業が停滞していなければ、このような変化は自然なものです。リーダの役割は、できる限り多くの人がこの変化を確実に成し遂げるようにすると同時に、その変化が適切なタイミングで起こるようにすることにあります。チームには一緒に働こうという力が作用するので、後者は非常に難しいかも知れません。コースを変えるのには、常に、それまでの方法を継続するよりも多くの努力を必要とするものなのです。

InfoQ: 人々が変革を重荷に感じるのを防ぐには、どうすればよいのでしょうか?

この種の極めてダイナミックな環境で働く能力は、採用プロセスにおいて厳しく選択されるべきものなのですが、採用後に実際の業務で成功を収めるためには、適切なタイプの文化やプロセスの構築も必要になります。失敗を怖れず、窮地に立った場合はそれを不安なく認めることが可能で、そして — これが重要なのですが — 自分が何を知らないかを知り、支援を求めることができるならば、それが勝利の99パーセントです。

その中核となるのは、不満ではないフィードバック、継続的な内省、(非常に)寛容なサポートシステムです。移行と成長を通じた社員のコーチングに相当の時間を費やしている、マネジメントの位置にある人たちにも、同じようなサポート構造を提供する必要があります。

まだ試してはいないのですが、面白い"ハック"として教えてもらった方法のひとつに、所属するチームや特定のコンテキストにおける役割を参照せず、機能的な専門知識のみを強調した、非常に汎用的な肩書をメンバに提供する、というものがありました。多くの人たちにとって、職務上の肩書はアイデンティティのひとつですから、これを継続的変革(の大部分)の対象外にすることで、移行が少しは容易になるのではないか、と思います。"ライフサイクル・マーケタ(lifecycle marketer)"ではなく、単に"マーケタ(marketer)"なのです。ただし、組織における彼らの目的を確実に知ってもらうためのシステムを、別途用意しておく必要はあります。

InfoQ: 継続的な再編成を可能にするために、何かアドバイスはありますか?

Haandrikman: 新たな洞察というより、振り返りになるかも知れませんが、何よりもまず、アジャイルを再編成の目的にしないことです。より効率的になるために、アジャイルを目指してください。チームや部門の構成方法が常に変化するようならば、一貫性を提供できるような別のシステムが存在していることを確認ましょう。透過性を保ち、可能な限りのコンテキストを共有し、意思決定を行うようにメンバを鼓舞し、失敗する中から学んでください。

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