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Flashレガシコンテンツの延命にWebAssemblyを使用する

原文(投稿日:2020/07/18)へのリンク

Adobeは2020年12月31日にFlash Playerの配布とアップデートを終了する。しかしながら、長年にわたって蓄積された大量のFlashコンテンツが失われる訳ではない。Webゲーム保存プロジェクトのFlashpointが、30,000以上のWebゲームと2,000のWebアニメーションへのアクセスを可能にしてくれるはずだからだ。FlashエミュレータのRuffleとx86仮想化テクノロジのCheerpXも、ともにWebAssemblyを活用して、ブラウザ内で.swfファイルを再生可能にする。

2017年7月の発表でAdobeはすでに、Flashのユーザに対して、Adobe Flash Playerの終了日(end-of-life (EOL) date)が2020年12月31日であることを通知している。Adobeの説明によれば、

Adobeは2020年12月31日("EOL日")以降、Flash Playerの配布とアップデートを停止します。この発表は、AppleFacebookGoogleMicrosoftMozillaといったテクノロジパートナの協力の下で行うものです。Flash PlayerのEOLが開発者、企業、一般ユーザに与える影響については、それら各社から、さらなる技術的詳細を含めた追加発表が行われます。

Adobe Flash Professionalの機能の大部分はAdobe Animate、Adobe Air、Adobe Character Animatorに移行され、新たなアニメーションコンテンツの作成に使用できるようになる。さらにAdobe Animateは、複数のフォーマット — HTML5を含む — へのエクスポートも可能である。Adobe Airでは、iOSやAndroid、Windows、MacOSをターゲットとしたクロスプラットフォームなゲームを開発することができる。アニメーションをHTML5や、現在ではすべての最新ブラウザでサポートされているWeb Animation APIで直接記述することも可能だ。

2020年の現在、Flashを使用し続けているWebサイトは非常に少ないが、長年にわたって蓄積されたFlashコンテンツが、特にゲームや教育コンテンツの分野では多数存在している。このコンテンツが、来年にはFlash Playerで再生できなくなるかも知れないのだ。Adobeは明確に警告していた。

EOL日以降、Adobeは自社のサイトからFlash Playerのダウンロードページを削除し、FlashベースのコンテンツのAdobe Flash Player内での動作はブロックされます。
[…]
EOL日以降、AdobeはFlash Playerをサポートしないので、使用しないでください。
[…]
EOL日以降、Flash Playerのアップデートやセキュリティパッチの発行は行われません。すべてのユーザには、EOLより前にFlash Playerをアンインストールするように推奨します。

しかしながら、代替となるテクノロジのおかげで、Flashのレガシコンテキストがプレー可能になるかも知れないのだ。BlueMaximaのFlashpointは、38,000以上のWebゲーム2,400のアニメーションという、合計468GBのコンテンツのプレーを可能にする、WindowsとLinux用の無償のオープンソースアプリケーションである。

FlashpointはAdobe FlashやAdobe Shockwave、HTML5、Java、Unity Web Player、Microsoft Silverlight、ActiveXなど、かつては一般的だったWebプラグインで作成されたコンテンツを再生可能な、Webゲーム保存アーカイブを目指している。同プロジェクトはWebサーバ、リダイレクタ、ランチャ(launcher)から構成されており、これらが共同で、FlashコンテンツがWeb上にホストされているかのように動作可能にする。従って厳密な意味でのFlash Playerではない。

一方、Ruffleは、ブラウザ内およびデスクトップ上のAdobe Flash Playerの代替として使用可能な、オープンソースのFlash Playerエミュレータである。RuffleはRustで記述されており、WebAssemblyを利用する。Flashコンテンツの巨大なポートフォリオを所有し、RuffleのスポンサでもあるNewgroundsは、EOL日以降も自社のコンテンツの提供を続ける手段としてRuffleを使用することを発表した

Java-to-webコンパイラのCheerpJを開発するLearningtechCheerpXは、Flash Playerを仮想化することでブラウザ内でFlashコンテンツを動作させようとしている。CheerpXはさらに、レガシなFlex/Spark(企業向け)UIも延命する可能性がある。CheerpX自体はx86からWebAssemblyへの仮想化テクノロジであって、任意のx86アプリケーションを完全にクライアント側で動作させることができる、としている。同社は昨年、サンフランシスコのWasmSFミートアップでの講演で、このテクノロジを発表した。

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